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政治講座ⅴ1247「米中は第二次世界大戦の前夜の様相」

大日本帝国VS米国の覇権争いで、米国は日本に対して石油と鉄スクラップの輸出を止めた。そして、平和的解決を望む日本に対して、ハルノートの過酷な要求はこれが実質、宣戦布告に近い内容であった。今の中国が米国から戦前のABCD包囲網のような仕打ちを受けているのである。ABCD包囲網とは、1930年代後半(昭和10年頃)から、海外に進出する日本に対抗して行われた石油や屑鉄など戦略物資の輸出規制・禁止による米英蘭中諸国による経済的な対日包囲網。「ABCD」とは、貿易制限を行っていたアメリカ(America)、イギリス(Britain)、中国(China)、オランダ(Dutch)と、各国の頭文字を並べたものである。差し詰め今回は対中包囲網であり、日本と中国が立場が変わったのである。前出の「中」は中華民国であり中国共産党ではない。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年8月3日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

米国防予算、中国からの部品輸入を民主・共和の両党議員が問題視

Russell Flannery によるストーリー • 

米下院は7月14日、総額8860億ドル(約125兆7500億円)にのぼる国防予算の大枠を定める国防権限法案を可決した。賛成219票、反対210票という結果は、一見すると民主党と共和党の間の深い溝を反映しており、実際に共和党議員の大半は反対票を投じた。だが、武器購入において見落とされがちな側面に関する二大政党の見解は、見た目ほどかけ離れてはいないのかもしれない。ここで注目したいのは輸入、特に中国からの輸入だ。

さまざまな地政学的問題をめぐって米中間の緊張が高まるなか、下院軍事委員会のメンバーである民主党の進歩派議員と、中国に批判的な保守派の共和党員の両方が、米国の国内武器製造能力について疑問を投げかけた。

ドナルド・トランプ政権下で米国通商代表を務めたロバート・ライトハイザーは、新著『No Trade Is Free(いかなる貿易も自由ではない)』の中で、次のように警告した。「米国は、自国で軍需品を製造する能力をもたなければならない。これにはハイテク軍事装備も含まれる。自国の軍事装備を国内で製造できない国は、有事の際に、装備の供給を妨害されるリスクを負う

フィナンシャル・タイムズが6月、米国最大級の防衛関連企業であるRaytheon(レイセオン:本社マサチューセッツ州)のグレッグ・ヘイズCEOに対して行ったインタビューでも、米国の課題が浮き彫りになった。レイセオンには「中国に数千の下請企業があり、関係を断つことは不可能」であると、ヘイズが認めたためだ。

「リスクの軽減は可能だが、関係を完全に断つことは不可能だ」というヘイズの発言を、フィナンシャル・タイムズは報じた。「中国から撤退せざるを得ないとなれば、国内または友好国とのあいだで製造能力を再構築するのに長い年月を要するだろう

一方、民主党のロー・カンナ下院議員(カリフォルニア州選出)は、7月に行われた電話インタビューで、米国の武器部品輸入に関して国防総省のデータが不足していることを批判した。

構成部品の何%が米国で製造されているかが不明だ」とカンナはいう。「巨額の支出であるにもかかわらず、まったく監督されていない。この問題には対処が必要だ

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「国防予算が1兆ドル(約142兆円)近くに膨れ上がっているというのに、大砲すら満足に国内製造できないのだろうか? 軍需品のなかで大量生産が最も容易なのは大砲かと、私は思っていた」とカンナは述べた。「1兆ドルもの予算がありながら、なぜ製造できないのか?」

カンナは、国防予算の大枠を定める国防権限法案に修正を加え、国防総省に対して、物品および構成部品の購入に関する詳細情報の提供を義務づけようとした。これにより「軍需品の調達に関する脆弱性が可視化されるだろう。我々は少なくとも、現状を数量的に把握しなくてはならない」と、カンナはいう。

一方、米国国防総省は取材に対し「法案の起草に関してはコメントや声明を差し控える」とEメールで回答した。

米中貿易、そして米国の対中貿易赤字は、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、増加の一途をたどっている。中国はすでに、ソーラーパネルなどの再生可能エネルギー機器に関して、米国にとって最大の輸入元の1つとなっている。同時に、中国で操業するスターバックスなどの米国企業にとって、同国は巨大な市場だ。

スタンフォード大学で経済学の客員講師を務めた経験をもつカンナは、米国の武器のサプライチェーンが注目を浴びるようになったのは、パンデミックの間の全体的なサプライチェーン混乱を受けてのことだと説明する。「世界のサプライチェーンの脆弱性は、十分に認識されてこなかったと思う。パンデミックで、多くの人々が危機感を覚えた

また、近年の米中関係に対する落胆も背景にあるとカンナはいう。「これまでは、(政治学者の)フランシス・フクヤマがいう『歴史の終わり』が訪れ、中国は民主化に向かうという見方があった。世界が難局を迎える可能性について、楽観しすぎていたのかもしれない」と、カンナは述べ、国防装備をどれだけ中国からの輸入に依存しているかを把握する差し迫った必要性が認識されていなかったと述べた。

カンナは2023年、注目度の高い米下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」のメンバーに指名され、中国通の議員たちのあいだで注目を浴びた。オバマ政権下で商務次官補代理を務めたカンナには、『Progressive Capitalism: Making Tech Work for All of Us(進歩的資本主義:テクノロジーをすべての人に役立てる)』や『Entrepreneurial Nation: Why Manufacturing Is Still Key to America’s Future(起業家国家:それでも製造業が米国の未来の鍵を握る理由)』といった著書がある。

皮肉なことにカンナは、自身の手による修正を含む包括的歳出法案に賛成票を投じなかった。「委員会でも議場でも反対した」と彼は述べ、中絶の権利の制限など、その他の修正を理由にあげた。

予算法案は現在、上院でさらなる審議が重ねられている。カンナの予測では、社会保障に関する部分を一部削った修正法案が「8月中」に提出される見込みだ。

forbes.com 原文

参考文献・参考資料

米国防予算、中国からの部品輸入を民主・共和の両党議員が問題視 (msn.com)

ABCD包囲網 - Wikipedia

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