見出し画像

政治講座ⅴ1835「戦争犯罪者のプーチン氏とロシアの窮状」

 ロシア人は自国の指導者が戦争犯罪者の烙印を押されたことに「恥」を感じないのであろうか。民主主義国家の目的は国民の幸福達成である。然るに、他国を侵略してまで、自国を優先するこの犯罪者が指導する国家は国民を幸せにできるのであろうか。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年6月28日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

「プーチン電撃訪朝」でもまさかの「ロシア空軍による事前偵察ゼロ」...そこから推測される「ロシアの窮状」と「中国の動向」

鈴木 衛士(元航空自衛隊情報幹部) によるストーリー

19日の未明、深夜2時過ぎという時刻にロシアのプーチン大統領が北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)の空港に到着し、金正恩総書記がこれを出迎えた。

一国の首脳が他国を親善訪問する時間帯として、これは極めて異例である。

しかも、このような時間帯に到着する相手を、受け入れ国の首脳が直接空港まで出迎えに行くというのも尋常ではない。まさに、これは「戦時下の国家元首が警戒心を強めつつ、重要かつ緊急な用件で同盟(に相当する)国を訪れた」という在りようなのだろう。そして、このような在りようを裏付けるような軍事的活動が、わが国や朝鮮半島周辺で起きている。

米軍は、(プーチン大統領が訪朝するとされた)18日、グアム周辺で米空軍のステルス戦略爆撃機「B-2:スピリット」、ステルス戦闘機「F-22:ラプター」、米海兵隊の垂直/短距離離着陸戦闘機「F-35B」らが編隊で飛行している様子を公開した。これは、太平洋地域で7日から行われている米軍の大規模な実動演習「バリアント・シールド」に参加していたものである。

本演習は、グアム周辺などで隔年実施されているものだが、今回初めて日本国内を含めた地域で、陸海空の自衛隊からも約4,000人の隊員が参加して行われた。そして、グアムなどから飛来した米軍戦闘機などが、初めて青森県の海上自衛隊八戸基地や宮城県の航空自衛隊松島基地に展開し、航空自衛隊戦闘機などと共同訓練を行った。

北朝鮮の動向

一方で北朝鮮は、このような日米韓の動きに対し、何もせずに指をくわえて見ているはずはない。このような活動に対抗して、弾道ミサイルを実戦配備につけていつでも発射できる態勢をとっていたであろうことは容易に想像がつく。

というのも、在日米空軍嘉手納基地に展開してきた弾道ミサイル追尾専用機であるRC-135S「コブラボール」が、14日以降、連日北朝鮮東方沖の日本海上空で偵察活動を行っていることが(民間の航空機追跡サイトで)確認されていたからだ。

ettyimages© 現代ビジネス

これは、何らかの関連情報によって、北朝鮮で弾道ミサイルの発射兆候があることを米軍が探知していることを示している。特に、この機体が偵察に来るのは、通常長射程の弾道ミサイルの発射兆候がある場合であり、今回米本土まで届くICBM級弾道ミサイルの活動が確認されていた可能性もある。

極東ロシア軍の動向

これら米韓の動きに対応しているのは、北朝鮮だけではない。

ロシア国防省は18日、ロシア太平洋艦隊による約40隻の艦船、約20機の航空機(海軍のヘリKa-29、Ka-27等、対潜哨戒機Tu-142M3、II-38等)が参加する海軍演習を日本海、オホーツク海及び太平洋の海域で行うと発表した。

しかし、実際にわが国周辺で確認されたのは、ロシア海軍の駆逐艦「ウダロイI級/8,500トン級」1隻(艦番号「548」)と、戦車揚陸艦「ロプチャーI級/4,000トン級」1隻(艦番号「066」)及び戦車揚陸艦「ロプチャーII級/同」1隻(艦番号「077」)の計3隻のみであり、海上自衛隊が津軽海峡を通狭して太平洋へ進出したこれら3隻の警戒に当たった。

つまり、これが、今の極東ロシア軍にとってできる精一杯の対抗措置だったのだろう。


統合幕僚監部報道発表資料より(24/6/19)© 現代ビジネス

それにしても、このような日本海の情勢にも拘わらず、この周辺においてロシア空軍の偵察活動や戦闘機による警戒飛行などの活動が全く行われなかったのは驚きである。本年3月4日の拙稿(相次ぐ空軍の主力損失でロシア軍の国防力は「ガタ落ち」した)で触れたようなロシア空軍の窮状は、想像以上に深刻なのかも知れない。https://www.mod.go.jp/js/pdf/2024/p20240619_01.pdf

近い将来に歴史の審判は下るだろう

今回のプーチン大統領の訪朝がもたらすわが国などへの影響については、様々な識者がすでに述べられているので、ここであえて触れることはしない。しかし、日米韓の結束の強化やNATOを含む民主主義国間の軍事的連携の強化で、ロシアや北朝鮮がかなり苦しい立場に立たされ、それが今回のように露朝の軍事同盟化へと駆り立てていることだけは間違いないだろう。

これは、金総書記にとっては大きな賭けである。

今のところ、少し引いてこの露朝の姿勢を静観している中国。場合によっては、トランプ政権が誕生するかも知れない米国。そして、何よりも置き去りにされているロシアや北朝鮮の国民。これらすべてが今後の露朝情勢を左右する要素となり得る。

この会談が、露朝両国にとって復調の兆しであるのか、崩壊の兆しであるのか、これが判明するまでには、それほど長くかからないような気がする。

プーチン大統領らに逮捕状、ウクライナ侵攻めぐる戦争犯罪容疑 国際刑事裁判所

2023年3月18日

画像提供,GETTY IMAGES

画像説明,プーチン大統領(左)と、ロシアのマリア・リボワ・ベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)の会談の様子(2月16日)

オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らに逮捕状を出した。

ICCは、ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちをロシアへと不法に移送しており、プーチン氏にこうした戦争犯罪の責任があるとしている。

また、ロシアが全面的な侵攻を開始した2022年2月24日から、ウクライナで犯罪が行われていると指摘している。

ICCは声明で、プーチン氏が直接、また他者と連携して犯罪行為を行ったと信じるに足る合理的な根拠があると説明。また、プーチン氏が大統領権限を行使して子どもたちの強制移送を止めなかったことを非難した。

ロシア政府は、戦争犯罪疑惑を否定し、逮捕状は「言語道断」だとしている。

ICCには容疑者を逮捕する権限はなく、ICC加盟国内でしか管轄権を行使できない。ロシアは非加盟国のため、この動きが何か大きな影響をもたらす可能性は極めて低い。

しかし、海外への渡航ができなくなるなど、プーチン氏に何らかの影響を与える可能性はある。

ICCは当初、プーチン氏らに対する逮捕状を非公開にすることを検討していたが、これ以上の犯罪を阻止するために公開を決めたと説明した。

ICCのカリム・カーン検察官はBBCに対し、「子どもたちを戦争の戦利品として扱うことは許されず、子どもたちを国外へ移送することを許されない」と語った。

この種の犯罪がどれほど悪質なものか、弁護士でなくても理解できる。人間なら、どれほど悪質なものか理解できる

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「国家による悪」を追及すると決定したカーン検察官とICCに感謝していると述べた。

同国のアンドリイ・コスティン検事総長は、「ウクライナにとって歴史的」な決定だとした。アンドリー・イェルマク首席補佐官は「まだ始まったばかりだ」と称賛した。

アメリカのジョー・バイデン大統領は、逮捕状は「正当だと思う」と述べた。アメリカはICCに加盟していないが、ICCは「非常に強力な主張をしていると思う」、プーチン氏が「戦争犯罪を犯しているのは明らかなので」と述べた。

連れ去った子どもを洗脳か

ロシアで子どもの権利を担当するマリア・リボワ・ベロワ大統領全権代表にも、戦争犯罪容疑で逮捕状が出された。

リボワ・ベロワ氏は過去に、ロシアに連行されたウクライナの子どもたちを洗脳する取り組みについて公然と語っていた。

昨年9月には、ロシア軍に占領されたウクライナ南東部マリウポリから、「(ロシア大統領の)悪口を言い、ひどいことを言い、ウクライナ国歌を歌った」一部の子どもたちを排除したと主張した。

また自分自身が、マリウポリ出身の15歳の少年を養子にしたと主張している。

ロシアの反応

逮捕状が出されてから数分後、ロシア政府は即座に戦争犯罪疑惑を否定した。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ大統領報道官はICCの決定はいずれも「無効」だと主張。ドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は、逮捕状をトイレットペーパーに例えた

メドヴェージェフ氏は、「この紙をどこで使うべきかなんて、説明する必要もない」と、トイレットペーパーの絵文字付きでツイートした。

一方で、ロシアの野党指導者たちはICCの発表を歓迎した。刑務所に収監されているアレクセイ・ナワリヌイ氏の側近イワン・ジダーノフ氏は、「象徴的な一歩」だが、重要な一歩でもあるとツイートした。

動画説明,国際刑事裁判所、プーチン氏に逮捕状 逮捕は可能なのか

プーチン氏が裁かれる可能性は

ICCの逮捕状は、プーチン氏を逮捕するための非常に長いプロセスの最初の一歩に過ぎない。

ロシアはICC加盟国ではない。そのため、プーチン氏やリボワ・ベロワ氏がオランダ・ハーグで出廷する可能性は極めて低い。

ロシア国内で揺るぎない権力を享受しているプーチン氏を、ロシア政府がICCに引き渡す見込みもない。

つまり、プーチン氏がロシアにとどまる限り、逮捕のリスクはないということになる。

国際的な制裁により、プーチン氏の移動の自由がすでに大きく制限されていることを考慮すると、同氏を裁判にかけようとする国に自ら現れることはまずないだろう。

2022年2月にウクライナに侵攻して以降、プーチン氏が訪れた国はわずか8カ国。そのうち7カ国は、同氏が「旧ソ連諸国」とみなす国だった。

「旧ソ連諸国」ではない訪問先は、昨年7月に訪れたイランだった。プーチン氏はイランの最高指導者アリ・ハメネイ師と会談した。

イランは無人偵察機などの軍用装備品をロシアに提供し、ウクライナ侵攻を支援していることから、同国を再び訪問したとしてもプーチン氏に危険が及ぶことはないだろう。

<関連記事>

プーチン氏を裁くには少なくとも2つの大きな障害がある。

ICCの設置法「ローマ規程」は、国際犯罪の責任を負う者に対して自国の刑事裁判権を行使することが、すべての国の義務だと定めているICCが介入できるのは、国家が捜査や加害者の訴追を行えない、あるいは行おうとしない場合に限定される。

ローマ規程は現在、123カ国が批准しているが、ロシアは含まれない。ウクライナなど、署名はしているが批准していない国もあり、ICCの法的地位がすでに揺らいでいることがわかる。

もう1つの障害は、ICCが容疑者不在の欠席裁判を認めていないことだ。

ウクライナでの戦争にとって何を意味するのか

ICCの逮捕状は、ウクライナで起きていることは国際法違反だという、国際社会からのシグナルだと捉えられている。

同様の犯罪が現在も続いていること、そしてさらなる犯罪の発生を抑止することを理由に、今回の発表に踏み切ったと、ICCは説明している。

しかしロシアは今のところ、逮捕状は無意味だと一蹴している。ロシア政府はそれどころか、自軍による残虐行為はないとの主張を変えていない。

(英語記事 Arrest warrant issued for Putin over alleged war crimesWill Vladimir Putin ever face a war crimes trial?

誰がプーチン大統領を裁けるのか?戦争犯罪とは 国際刑事裁判所(ICC)の役割とは…

2022年4月4日 06時00分

<ウクライナ侵攻~そこが知りたい!>


ロシアのプーチン大統領=AP

 ロシア軍によるウクライナ侵攻により、米欧諸国を中心にプーチン大統領の「戦争責任」を追及する声が強まっています。ロシア軍が支配した地域では民間人の遺体が多数見つかり「ジェノサイド(集団殺害)だ」との批判も出ています。そもそも戦争責任とは何か。プーチン氏を裁くことは可能なのか。国際刑事裁判所(ICC)の役割とともに、萬歳寛之・早稲田大学法学学術院教授(国際法)に聞きました。(聞き手・岩田仲弘)

萬歳教授のポイント
プーチン氏の行為は「侵略犯罪」に問われ得るが、実際に逮捕・訴追するのは難しい。
・これまでICCの活動に後ろ向きだった米国の姿勢の変化は注目に値する。
ICCの役割にも自ずと限界がある。今回のICCの捜査で重視すべきは、ウクライナで何が起きたかを明らかにすることだ。
・ウクライナ侵攻の経緯と実態を知った結果、ロシアの国民がどのような選択をするかによって、民主主義の価値が試される。
・今こそICCなど国際機関の存在意義が問われている。

Q 戦争犯罪とは具体的にどんな行為を指すのでしょうか。
A 戦争で個人一人一人が負う刑事責任を指します。国家の指導者が違法な武力行使の決定に関与した場合、あるいは兵士らが武力紛争時に違法なかたちで損害を発生させる場合、それらが国際社会全体の関心事である「最も重大な犯罪」に当てはまると判断されれば、刑事責任を追及されます。

Q 「最も重大な犯罪」とは。
A ICCはその管轄権が及ぶ対象犯罪として
①集団殺害犯罪(ジェノサイド):集団の全部または一部を破壊する意図をもった殺害など
②人道に対する犯罪:広範囲または組織的な住民の殺害や奴隷化、強制移送、拷問、強姦など
③戦争犯罪:殺人・捕虜の違法な待遇などや、民間人や病院、学校など軍事目標でない民間施設を故意に攻撃することなど
④侵略犯罪:国の政治あるいは軍事指導者らによる侵略行為の計画・準備・開始または実行
の4つを挙げています。
 
Q ウクライナ侵攻では具体的にどんな行為が戦争犯罪になり得るのでしょうか。
A ICCのカーン主任検察官は、戦争犯罪や人道に対する犯罪について捜査を始めたと発表しています。米国のブリンケン国務長官は具体的に、ロシア軍がアパートや学校、病院、ショッピングセンターなど、民間人が使っていると明らかに分かる場所を攻撃していると指摘。特にウクライナ南東部マリウポリで産科小児科病院や多くの市民が避難していた劇場が爆撃されたことを重く見て「米政府はロシア軍の構成員がウクライナで戦争犯罪を行っていると評価する」と表明しています。

Q カーン氏は英国やフランス、ドイツなど、ICCの設立条約である「ローマ規程」締約国の付託を受けて捜査開始を発表しましたが、そもそもウクライナ、ロシアは締約国ではありません。それでも捜査はできるのですか。
A ローマ規程上、犯罪が行われた国が非締約国であってもICCの管轄権を受諾した場合は捜査ができることになります。ウクライナはクリミア半島がロシアに併合された後の14年4月と15年9月の宣言によってICCの管轄権を受諾しているので捜査は可能です。特に15年の宣言では、ウクライナで行われたロシア高官らによる人道に対する犯罪と戦争犯罪などについてICCの管轄権を認めています。

Q プーチン氏の罪が問われるとすると、どんな罪が想定されるのですか。
A ウクライナ侵攻を決断、命じた国家の最高指導者なので、戦争の決定にかかわったとして「侵略犯罪」に問われる可能性はあります。

国際刑事裁判所(ICC) 1998年7月、ローマで開かれた国連外交会議で120カ国が賛成し、設立条約のローマ規程を採択。2002年7月に発効し、ICCが発足した。裁判官で構成する「裁判所長会議」「裁判部」と「検察局」「書記局」の4部門で構成。死刑はない。加盟国・地域数は123(21年11月現在)で、日本は07年10月に加盟米国、中国、ロシアなどは非加盟

ロシア軍とプーチンが犯した犯罪・国際法違反を徹底解説

国際刑事裁判所の逮捕状が国際社会にもたらす影響

2023.3.25(土)横山 恭三

オランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC、ICCのサイトより)

 国際刑事裁判所(ICC)は3月17日、ウクライナを侵略するロシアが、占領地の子供を違法に自国に連れ去った行為は「戦争犯罪」に当たる疑いがあるとしてウラジーミル・プーチン大統領ら2人に逮捕状を発行した。

 ウクライナ戦争を巡る初めての逮捕状である。

 ICCが国家元首級に対して逮捕状を発行したのはスーダンのオマル・アル=バシール大統領(2008年、「人道に対する犯罪」と「戦争犯罪」)、リビアのムアンマル・アル=カダフィ大佐(2011年、「人道に対する犯罪」)に続いてプーチン氏が3人目である。

 これでプーチン氏は国際社会のお尋ね者になったわけである。今後、国際社会におけるプーチン氏の威信は失墜し、孤立が強まる可能性がある。

 ロシアのウクライナ侵略を巡っては、キーウ近郊のブチャなどで多数の民間人が虐殺された。しかし、大統領の指示を立証するには多くの証言が必要になる。

 そこで、ICCはプーチン氏の指示が明確な子供の強制移送を「戦争犯罪」の容疑で立件したものと見られる。

 ICCは、ローマ規定(またはICC条約)に基づき、「集団殺害犯罪(ジェノサイド)」「人道に対する犯罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」について国際裁判管轄権を有する。

 従って、今後は「集団殺害犯罪」「人道に対する犯罪」または「侵略犯罪」の容疑でもプーチン氏に逮捕状が発行される可能性もある。

 ICCのカーン主任検察官は3月17日、「具体的な最初の一歩だ。今後も 躊躇なく逮捕状を発行し続ける」と今後もロシアの戦争犯罪等を追及していく意向を示した。

 ICCは、「犯罪は少なくとも2022年2月24日からウクライナの占領地で行われたとみられる。プーチン氏が前述の犯罪について個人的に刑事責任を負うとみなす合理的な根拠がある」とした。

 このほか、ロシアの「子供の権利担当大統領全権代表」のマリヤ・リボワベロワ氏に対しても逮捕状を発行した。

 ICCの声明によると、プーチン氏は2023年1月、リボワベロワ氏に対し、ウクライナの露軍占領地域で保護者のいない子供を見つけ出すよう指示した。

 また、2022年5月の大統領令への署名で、占領地域の子供のロシア国籍取得を簡素化し、孤児をロシア人と養子縁組させることを奨励していた。

 これまでの捜査から少なくとも数百人の子供がウクライナの児童養護施設などから連れ去られ、多くはロシアで養子に出されたとみられている。

 カーン主任検察官は「こうした行為は、子供たちをウクライナから永久に連れ去ろうとする意思を示している」と述べている。

 ちなみに、英国籍のカーン主任検察官は、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所とルワンダ国際刑事裁判所の検察局での法律顧問やイスラム国(ISIS)によるイラクでの犯罪を調査する国連チームを率いた経験がある。

 他方、プーチン政権は、占領地からの子供に移送は、戦地の孤児らを保護するためだと主張している。

 さて、各国の反応である。

 ジョー・バイデン米大統領は3月17日、ホワイトハウスで記者団に対し、米国は自国に対するICCの管轄権を認めていないものの「正当だ。強い説得力がある」と述べた。

 そのうえで「彼が戦争犯罪を行っているのは明白だ」と改めてプーチン大統領を非難した。

 岸田文雄首相は3月18日、日独両首脳による共同記者会見で、「捜査の進展を重大な関心を持って注視したい」と述べた。

 筆者は、日本政府が2022年3月9日にICCに捜査を付託したことを踏まえると、ICCの取り組みを評価するなどの表明があっても良かったのでないかと思う。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3月17日、ロシアに連れ去られた子供の実際の数は1万6000人を「はるかに上回る」とし、プーチン氏に責任があると非難した。

「テロ国家の舵取りをする男の決定なしにこのような犯罪的作戦を実行することは不可能だっただろう」とも述べた。

 一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は3月17日、ICCがプーチン氏に対し逮捕状を出したことについて、「法的な観点も含め、ロシアにとって何の意味もない」とし、「ロシアはICC条約の締約国ではなく、何の義務も負っていない」と述べた。

 また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は3月20日、ロシアはICCが提起した問題そのものが「言語道断かつ容認できない」とし、ICCのロシアに関するいかなる決定も「無効」であると述べた。

 ところで、ICCは容疑者不在の「欠席裁判」を認めないため、訴追には容疑者の逮捕と引き渡しが不可欠である。

 従って、プーチン氏が失脚しない限り訴追される可能性はない。

 しかし、プーチン氏がウクライナやICC加盟国の領域に入れば、彼を逮捕してICCで裁判にかけることが可能となる。

 捜査協力はICC約締約国の義務となっている。2023年3月現在のICC条約の締約国は123か国である。

 さて、本稿ではウクライナに侵攻したロシアの国際法違反の実態を明らかにしたい。

 以下、初めに国際刑事裁判所について述べ、次に子供の移送は国際法のどの条文に抵触するのかを述べ、最後にウクライナでのロシア軍の行為はどの国際法に違反しているのかについて述べる。

ICC赤根裁判官 “プーチン氏に逮捕状出す十分な証拠あった”

2023年12月7日 12時15分

ウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したICC=国際刑事裁判所の赤根智子裁判官が記者団の取材に応じ、プーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出すのに十分な証拠があったと強調しました。

オランダのハーグにあるICCはことし3月、ロシアがウクライナの占領地域から子どもたちをロシア側に移送したことをめぐり、国際法上の戦争犯罪の疑いでプーチン大統領など2人に逮捕状を出しました。ICCの赤根裁判官は6日、ニューヨークの国連本部で記者団の取材に応じ「逮捕状を出すときは逮捕の必要性があるかどうか、事実の裏付けがあるかどうかだけで判断している。これはプーチン大統領だろうがほかの人であろうが、全く変わらない検討過程だ。かなりの証拠がないと逮捕状を出さない。あくまでも実務的に検討した」と述べ、プーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出すのに十分な証拠があったと強調しました。

一方、ICCの逮捕状についてロシア政府は強く反発し、ことし7月にはロシアの国営メディアがロシア政府が赤根裁判官を指名手配したと伝えました。

これについて赤根裁判官は「予想はしていた。何があっても中立で職務を全うするだけだ」と述べる一方、身の安全を守るため、外出先での食事や水など口にするものには普段から注意していることも明らかにしました。


参考文献・参考資料

「プーチン電撃訪朝」でもまさかの「ロシア空軍による事前偵察ゼロ」...そこから推測される「ロシアの窮状」と「中国の動向」 (msn.com)

ロシア 1~3月GDP 去年同期比+5.4% “巨額軍事費が一時的に経済を浮揚”専門家 | NHK | ロシア

プーチン大統領らに逮捕状、ウクライナ侵攻めぐる戦争犯罪容疑 国際刑事裁判所 - BBCニュース

誰がプーチン大統領を裁けるのか?戦争犯罪とは 国際刑事裁判所(ICC)の役割とは…:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

ロシア軍とプーチンが犯した犯罪・国際法違反を徹底解説 国際刑事裁判所の逮捕状が国際社会にもたらす影響(1/5) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

ICC赤根裁判官 “プーチン氏に逮捕状出す十分な証拠あった” | NHK | プーチン大統領

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?