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政治講座ⅴ651「中国コロナ一揆で始まる恐怖政治の号砲」

 旧ソ連時代のスターリンの恐怖政治で人民を統治する方法は「告げ口」朝礼、つまり密告の奨励であった。家族間でも子供が親の反政府思想を密告を奨励していた。 密告で粛清されたことも多々あったようである。
中国の旧ソ連時代を彷彿させる監視社会と恐怖政治には驚かされるばかりである。
中国は映画を実践しているような現状である。2011年から放送を開始した「パーソン・オブ・インタレスト」は、高度な犯罪予知システムを使う億万長者の天才プログラマー(マイケル・エマーソン)と最強の元CIA工作員(ジム・カビーゼル)が手を組み、未来に起こる凶悪犯罪を予知、制裁するクライムサスペンスである。
この様な監視は中国では中国共産党の政権・権力維持のために行われており、反対勢力の排除のために人権弾圧も厭わないところに重大な問題がある。

         皇紀2682年12月6日
         さいたま市桜区
         政治研究者 田村 司

中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて

厳格な新型コロナウイルス感染症対策(COVID-19)へ抗議活動を行った中国の国民が、過去10年をかけて中国政府が構築してきた強力な監視ツールにより正確に追跡されていることがニューヨーク・タイムズより伝えられました。政府がどのようなツールを使い、どのように人々を追跡しているのかについて、ニューヨーク・タイムズが解説しています。

中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、
大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて
© GIGAZINE 提供


How China’s Police Used Phones and Faces to Track Protesters - The New York Times https://www.nytimes.com/2022/12/02/business/china-protests-surveillance.html 中国の警察は街角やビルの入り口に何百万台ものカメラを設置し、強力な顔認識ソフトを導入して人々を追跡しています。政府が採用するソフトウェアの1つ「Face++」は以下のように性別や髪型、服装、車の種類などを特定し、これらの情報をもとに警察当局が個人を特定することができます。


中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、
大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて
© GIGAZINE 提供


by Gilles Sabrié 顔認識による個人追跡システムに加えて個人の携帯電話を基地局から追跡するシステムも配備されており、たとえ顔を隠していたとしても、追跡を免れないことがあるそう。実際にCOVID-19のデモに参加した張氏も、変装のかいなく警察に見つかってしまったといいます。 感染症対策のデモに目出し帽とゴーグルを付けて参加したという張氏は、途中私服警官に尾行されそうになったとのこと。茂みに隠れて上着を取り換え、その場を難なくしのいだ張氏ですが、翌日に警察から「スマートフォンがデモの現場で検出された」という電話がかかってきたそうです。その後警察から直接取り調べを受けた張氏は「二度と抗議活動に参加しないように」と警告されたあと解放されたと、ニューヨーク・タイムズの取材に対し語りました。


中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、
大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて
© GIGAZINE 提供


張氏のような事例は同様のデモに参加した人々の多くが語っており、張氏と同じような警告を受けたとのこと。また、スマートフォンの中身を見られ、多くの人が抗議活動の情報配信や海外への画像拡散に使われていた「Telegram」や「Signal」のようなアプリの存在を確認されるとも話しているそうです。抗議者たちは自分たちがどのようにして突き止められたのかに困惑し、さらなる追跡を恐れ、上記アプリを敬遠し削除しているとも伝えられています。 監視システムの構築は中国国内外で周知の事実ですが、これらは反体制派や少数民族、出稼ぎ労働者を追跡するために使われるという認識が国内にあるため、「何も悪いことをしていなければ、隠すことはない」という考え方のもと、多くの人がこのシステムを支持しています。しかし、張氏のような中国の最も裕福な都市に住む中産階級に監視の目が正面から向けられたのは初めてのことであり、国民の間で不安が高まりつつあるといいます。多くのデモ参加者にとって身元が特定されることのショックは大きく、それだけで政府の威嚇戦術として機能しているとニューヨーク・タイムズは分析しています。 ニューヨーク・タイムズは「今回のデモ行進は、1989年の天安門事件以来、最も広範で公然たる政治的抗議行動です。今や中国当局はハイテクを駆使して主催者や不満分子を狙い撃ちし、拘束することによって、不安を封じ込めることができます。信奉者や野次馬は厳しい脅しを受け、活動から離れていくでしょう」と述べました。

習近平主席への「中国コロナ一揆」ルポ 天安門事件以来となる“全土での抗議活動”に

1 時間前

 言論弾圧が日常の中国で、大規模な反政府デモが続発している。天安門事件以来とされる大陸全土での民衆の抗議活動はなぜ起きたのか。


上海のウルムチ路でデモは起こった(写真/共同通信社)
© NEWSポストセブン 提供

 真っ白な紙を持つ数百人の民衆が大声をあげる。

「独裁はいらない!」「共産党退陣!」

 すると、最初は遠巻きに見ていた市民が一人、また一人と抗議の列に加わっていく。

 11月27日深夜、中国・北京市中心部で大規模な反政府デモが行なわれた。手に掲げる白紙は、「何か書いても消される」という言論封殺の象徴であり、表現の自由を渇望する人々の心を表わす。

 中国第一の経済都市・上海にもデモの波は及び、「皇帝よ、退陣せよ!」とのシュプレヒコールが鳴り響いた。抗議活動は拡大を続け、湖北省武漢や広東省広州では当局に拘束される参加者が続出した。

 デモに参加した民衆の中には、くまのプーさんに「PCR検査はしたか」と問いかけるイラストを示す者がいた。中国のネット上でプーさんは最高指導者・習近平国家主席を指し、この絵が習氏への露骨な皮肉であることは明白だった。

 中国全土で吹き荒れる抗議活動に在中ジャーナリストは驚きを隠さない。

「習政権発足後、政権を批判する大規模なデモは初めて。しかも北京でデモが発生したのは、習氏ら政権幹部が執務する『中南海』からわずか10kmのエリアで、習氏の母校である清華大でも抗議集会が行なわれた。これまでにない事態です」

 異例のデモの発端となったのは、11月24日に新疆ウイグル自治区のウルムチで発生し、逃げ遅れた住民10人が死亡したマンション火災だった。

「人口400万人のウルムチはコロナ対策のため3か月にわたり広域にロックダウン(都市封鎖)され、一部の市民は数週間に及ぶ外出制限が課せられていました。マンション火災の発生時、封鎖措置の影響で消防車が現場に近づけず、救助を求める人を見殺しにしたと地域住民が怒りの声をあげた。その様子がネットで拡散して、習氏のコロナ対策に対する不満が爆発しました」(前出・在中ジャーナリスト)

3万人が閉じ込められた

 習氏の推し進めるゼロコロナ政策は凄絶だ。2020年に新型コロナが広がると、習氏は徹底的にウイルスを封じ込めるゼロコロナ政策を断行した。全住民にPCR検査を繰り返し、感染者や濃厚接触者が出たら即座に隔離して一帯を封鎖した。

「ゼロコロナの名目で住民は移動の自由を制限され、医療措置を受けられず亡くなる人が続出し、2歳児が計74回のPCR検査をしたと報じられた。今春に上海を封鎖した際は防護服を着た監視員が屋外で目を光らせ、政府からの配給が届かず餓死した人々の映像がSNSに出回りました」(同前)

 中国でオミクロン株が流行したここ数か月は、ゼロコロナ政策による悲劇が続いた。9月中旬、中国内陸部の貴州省で、感染リスクがある住民を隔離先に搬送する大型バスが横転し27人が死亡した。住民はのちに全員非感染者だったことが分かった。

 10月末には開園中の上海ディズニーリゾートが突如封鎖され、入園者全員にPCR検査が行なわれた。4日前に入園した1人の感染が判明しての措置だったが、ハロウィンを楽しむ3万人の入園者が夢の国に夜半まで閉じ込められた。中国に詳しいジャーナリストの富坂聰氏が語る。

「3年近くに及ぶゼロコロナ生活で人々は疲弊し、経済や生活が立ち行かなくなった。溜まりに溜まった不満がウルムチの火災をきっかけに爆発し、抗議のデモが全土に広がりました」

 当初は中国最大級のSNS「微博(Weibo)」にも政権批判の声が書き込まれたが、当局の検閲で削除され、現在は「習近平退陣」などと検索しても〈法律と政策に基づき表示できません〉と表示されるのみ。

 その一方で、〈自由になりたい〉〈閉じ込められるのは嫌だ〉といった、過酷な日常を呪う声は残されている。

 世界各国が続々とウィズコロナにシフトする中、習氏のコロナ対策はなぜ真逆を行くのか。ひとつは中国の脆弱な医療体制にある。

「都市部には大病院がありますが、地域の診療所のような施設はほとんどありません。これは地方に行くほど顕著で、治療施設がないのでパンデミックが起きたら手に負えない。だからこそ感染者をゼロに抑え続けるしかないのです」(富坂氏)

 そしてもうひとつの要因が、熾烈な権力闘争だ。10月に開催された中国共産党大会。5年に1度開かれ、中国共産党の指導体制や基本方針を定める大会でビッグサプライズがあった。党序列2位の李克強首相が政界引退に追い込まれたのだ。

「李氏は“ゼロコロナよりも経済安定優先”を打ち出し、コロナ政策を転換するキーマンと目されていました。しかし習氏は党大会で李氏に引導を渡して改革派を一掃し、上海で過酷なゼロコロナ政策を断行した李強・上海市党委員会書記をナンバー2に引き上げ、身内をイエスマンで固めた。この人事でゼロコロナ体制はますます盤石になりました」(全国紙北京特派員)

 党大会最終日には、李克強氏に近く、習氏と対立するグループに属する胡錦濤前総書記が、警備員に会場から連れ出された。党大会で慣例を破り3期目の政権を発足させた「習帝国」を象徴する一幕だった。中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏が語る。

「党大会で子飼いが幹部を独占した習氏は軍や秘密警察、メディアを掌握して独裁を完成させました。彼にとってゼロコロナは自らの威信をかけた政策で失敗は許されません。“習皇帝”がやれと言ったら従うのが臣下の務めであり、庶民がいくら死のうが関係ない」

 だが、万難を排して絶大な権力を手に入れた習氏に叩き付けられたのは、「皇帝よ、退陣せよ!」というコロナ一揆だった。

暴力的弾圧も

 強硬姿勢が招いた反政府デモの衝撃は世界に波及した。海外メディアは、白紙を掲げる民衆の姿を続々と報じ、国連のドゥジャリク事務総長報道官は習政権をこう牽制した。

「平和的な集会と結社、デモの権利は重要だと信じている。当局には権利の保障を要請する」

 日本も例外ではない。11月30日夜には東京・新宿でも数百人の在留中国人たちが白紙を掲げ、「自由が欲しい!」と訴えた。

 過去に中国全土で大規模なデモが起きたのは、習氏が権力を握る前の2012年9月に遡る。尖閣諸島問題に端を発し、暴徒化した群衆が日系企業の工場やスーパーを襲撃した反日暴動である。だが今回のデモは2012年とは異なると宮崎氏は言う。

「当時の反日暴動は中国共産党が民衆に生卵やペットボトルなどを配って演出したもの。当局は愛国無罪を掲げ、群衆がいくら暴れてもお咎めなしでした。しかし今回のデモは背後に扇動する組織はなく、自然発生しました。国外での抗議活動を含めて、習氏にとっては非常に不気味なデモであるはずです」

 民衆の不満の対象はゼロコロナだけではない。若者や地方にはさらなるマグマが溜まっている。

「大学新卒の就職先がなく、若者の失業率は40%超とされます。地方では投機用マンションブームが終焉して、ローンを支払っているのに建設が中止される事態が相次ぎ、経済への鬱憤が充満しています。党大会で追いやられた傍流の共産党員も習氏の独裁に不満を抱いています」(宮崎氏)

 今回のデモで思い起こされるのは、1989年の天安門事件だ。最初は改革派の胡耀邦元総書記を追悼するため北京大や清華大の学生らが追悼集会を行ない、それに呼応した学生や市民が民主化を求め、最終的には数万人のデモ隊が天安門広場を埋め尽くした。

 その同胞に向けて人民解放軍が発砲。死者は1万人超とも言われ、中国は国際社会から激しく非難された。

 奇しくも11月30日、天安門事件をきっかけとする指導部交代を機に共産党のトップに上りつめた江沢民・元国家主席が死去した。経済で改革開放路線を取りながら、政治の自由と民主化を認めなかった江氏は、現在につながる歪な中国社会の元凶とも言われる。

 この先、習氏はどうなるのか。宮崎氏が語る。

「ゼロコロナ政策を変更しない限り国民の不満は収まらないが、習氏にそれを進言できる側近は皆無で、メディアも批判しません。デモが拡大すれば、習氏が暴力的にデモを弾圧する可能性は否定できない。そうなれば国際的な孤立は避けられないでしょう」

 追い詰められた独裁者は、またも悲劇を繰り返すのか。

※週刊ポスト2022年12月16日号


参考文献・参考資料

中国政府がスマホ追跡や顔認識などを駆使し抗議者を追跡し自宅を特定、大規模な監視が裕福な都市の中流階級の人々に向けられたのは初めて (msn.com)

習近平主席への「中国コロナ一揆」ルポ 天安門事件以来となる“全土での抗議活動”に (msn.com)

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