政治講座ⅴ1659「中国の財政は本当に大丈夫か?」
中国政府は必死に経済情報や統計を隠蔽・改ざんして、良く見せようとして、その広報活動をしている。いくら、数字を並び立てて飾っても国民の生活実態が経済破綻を表している。
中国の輸出減少により外貨獲得は「一帯一路」の融資は「元」建て、その返済は「ドル」建て決済のようである。為替スワップを使い貿易の輸入代金を賄っているようである。今回は威勢の良い投資話のプロパガンダと庶民の苦境な生活実態報道を織り交ぜて紹介する。
皇紀2684年2月29日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国の非銀行部門、1月の国際収支55億ドルの黒字
新華社 によるストーリー • 23 時間
中国国家外貨管理局。(資料写真、北京=新華社記者/劉開雄)
【新華社北京2月26日】中国国家外貨管理局は23日、企業や個人など非銀行部門の1月の国際収支は55億ドル(1ドル=約150円)の黒字だったと発表した。為替市場は安定しており、国際収支はおおむね均衡を保った。市場の見通しも安定しており、為替取引は合理的で秩序立ったものとなった。
うちモノの貿易は、資金純流入額が前年同月比10%増、前月比7%増となり、引き続き国際収支のファンダメンタルズ(基礎的条件)を安定させる役割を担った。外資による本土債券の買い越しは270億ドルで、関連資金の純流入額は過去最高水準を維持した。
同局の王春英(おう・しゅんえい)副局長兼報道官は「将来の中国の為替市場には、安定した運営を維持する基盤と条件がある」と指摘。中国経済の回復と上向き基調は絶えず固まり、強化され、ファンダメンタルズによる為替市場を支える機能も依然として盤石であると述べた。「国際収支構造は強固で、内生的強靭(きょうじん)性の強化は、外部からの衝撃への対応にも役立つ」との見方も示した。
中国当局の「享楽主義的」バンカー締め付け、金融から人材流出加速
Bloomberg News によるストーリー • 1 時間
(ブルームバーグ): 中国・広東省深圳市の投資銀行で働くグレーシーさんの年間ボーナスは60%カットされ、毎月の給与は据え置かれた。学校に通う2人の子供がいるため、家計の支出は増加の一途をたどっている。グレーシーさんが辰年の抱負を思い付くのに時間はかからなかった。それは、より高給の香港で職を得ることだ。
「途方に暮れており、出口があまり見えない」とグレーシーさんは話す。敏感な話題だとして名字を明かさないことを条件に語った。中国各地で企業が規模を縮小していく中、最大の心配は仕事を失うことだという。
金融業界の人々の暮らしぶりがぜいたくだとして、中国当局から「享楽主義者」と悪者扱いされ、グレーシーさんらはキャリアの再考を余儀なくされている。中国共産党の習近平総書記(国家主席)が唱える格差是正を目的とした「共同富裕」のスローガンは、給与に大きな打撃を与え、倹約の引き金となった。
さらに、習総書記が市場寄りの改革と金融イノベーションから離れつつあることを示す兆候も増えている。毛沢東氏以来、最も影響力を持つ指導者となった習氏は、共産党による金融セクターの「集中統一領導」を強調。欧米諸国とは全く異なる「中国の特色ある現代金融システム」の構築を打ち出している。
香港大学の陳志武教授(金融学)は、「金融セクターには政府系銀行と政府系保険会社の2種類しか存在しない新しい中国経済が近く形成されると私はみている」と指摘。「1978年以前の計画経済モードに完全に戻るわけではないが、それに近いものになるだろう。従って、中国の金融セクターはそれほど多くのプロフェッショナルを必要とせず、他の選択肢があろうとなかろうと、多くの人が他の場所で仕事を見つけなければならなくなる」と語る。
行き詰まり
国内消費者や海外投資家の信頼感が停滞し、中国経済は勢いを取り戻すのに苦労している。銀行は融資の強化を求められているが、資金需要がそもそも低迷している。不動産市場の不振はなお深刻で、株式市場からは投資家が逃げ出している。
北京の証券会社で部長を務めるマイクさんは、中国経済の低迷に加え、当局によるテクノロジーや教育関連会社への広範な締め付けが企業全般に打撃となっていることに行き詰まりを感じている。金融業界でのキャリアアップは今や仕事よりも、正しい政治陣営にいるか、イデオロギー学習で優れているかにかかっているのかもしれないと漏らす。
また、中国の大手証券会社に勤務していた元債券トレーダーは、共産党による「集中統一領導」というメッセージについて、同僚や友人は金融業界に儲けたお金を「吐き出せ」と言っているようなものだと受け止めていると、匿名を条件に話した。
主要な銀行や証券会社はボーナス削減などを進めている。中国国際金融(CICC)は昨年、シニアバンカーに対する一部報酬を40%余りカットし、中信証券は一部従業員の基本給を15%引き下げた。
中国当局による批判は続いている。昨年には、共産党中央規律検査委員会が3500字に及ぶ論評で、「金融エリート」論の打破や「享楽(快楽)主義的」生活様式の是正をバンカーらに訴えた。
「快楽主義」改めよ、中国共産党がバンカーに警告-西側模倣にもくぎ
ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「こうしたスローガンや締め付けは統制のためだ」と分析。「中国指導部は金融の不安定化を防ぎ、製造業など国家が重要と見なすセクターに確実に融資を回すには、統制が必要だと考えている」と述べた。
中国がシステミックリスクの回避で金融業界を厳しく管理することにはそれなりの理由があるとはいえ、今回の締め付けはイノベーションを必要としている金融業界をまひさせる恐れもある。グレーシーさんの勤務先を含む一部の金融機関は現在、「寝そべり」状態となっており、潜在的な失敗を恐れて長期戦略の設定や多額の投資を控えるようになっている。
グレーシーさんは「当局がいつまた金融業界を規制するキャンペーンを打ち出すか分からない」と言い、「何もしないでじっとしている方が、間違っていると判断される可能性のあることをするよりよっぽどいい」と語る。
遠のく夢
モーガンマッキンリーによる最近の調査によると、中国の銀行や金融サービスセクターでは企業の約80%が過去半年間に人材を失った。全セクターでは78%となっている。
ロバート・ウォルターズ・チャイナのアソシエートディレクター、レイ・シフイ氏は、「新卒者が銀行業に挑戦し、インターンシップや研修に参加する可能性はまだある」としながらも、「より大きな問題はプログラム終了後に残る人が少ない点だ」と話す。
中国本土を離れて香港や他の場所に行くのも難しい。グローバルな金融機関は1年余り前から中国を軸とした仕事を減らしている。
つまり、新卒者は今、他の分野で仕事を探している。インベストメントバンカーとしてのキャリアを始めるために金融を専攻し、大手証券会社でインターンをしていたエマさんは、英オックスフォード大学でコンピューターサイエンスの修士号を取得することに決めた。
「金融業界では、以前のような高給は得られないと思う」と、エマさんは姓を明かさないことを条件に述べた。共産党の指導を強化するとの方針は、金融イノベーションを抑える政策スタンスを示唆しており、インベストメントバンカーになる夢から遠ざかることになった。
一方、北京の証券会社に務めるマイクさんは、金融の魅力が失われつつあるが、新卒者には入社を引き続き勧めるだろうと説明する。
マイクさんは、優れたものは傷んでもそれなりの価値を保つという意味を持つ「痩死的駱駝比馬大(ラクダは痩せても馬より大きい)」という中国のことわざを使いながら、「金融業界がなお重要だと私は思いたい」と述べた。
原題:Xi Crackdown on ‘Hedonistic’ Bankers Fuels Industry Brain Drain(抜粋)
中国「国家隊」が本土株買い支え、年初来で8.6兆円相当購入-UBS
John Cheng によるストーリー • 1 時間
(ブルームバーグ): 中国の「国家隊」と呼ばれる政府系ファンド(SWF)は今年に入り、相場下支えのために4100億元(約8兆5700億円)余りを本土株につぎ込んだ。スイスの銀行UBSグループの試算で明らかになった。同行はさらなる購入を予想している。
UBSは中国の上場投資信託(ETF)54本の「超過」取引額に基づいて算出。孟磊氏らストラテジストによると、資金流入額の75%余りを占めたのが、本土株の指標であるCSI300指数に連動するETFで、CSI500指数に連動するETFが約13%を占めた。
政府系ファンドは最近の株安の沈静化の鍵を握っており、中国投資(CIC)傘下の中央匯金投資は今月に入り、ETF保有拡大を続けると発表。多くのETFで売買高の急増が相次いだことから、当局が優良株と小型株の両方を積極的に購入していることがうかがえる。
CSI 300CSI 500CSI 1000CSI 2000
Excess Turnover (in billion yuan)312532819
Source: Wind, UBS-S estimates. NOTE: Data as of Feb. 23. For a given ETF, the amount of “excess transactions” is the amount of daily transactions in the 20%+ excess of the 2023 daily average amount.
UBSのストラテジストらによると、中国で大規模な市場介入が行われた2015年9月、国家隊は1兆2400億元相当の本土株を保有していた。現在の年初来の保有額は「過去の水準を大きく下回っているが、極端な状況下では一段と増加する可能性がある」とストラテジストらは指摘した。
CSI300指数は今月に入り7%余り上昇し、香港上場の本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は9%余り値上がり。一部の投資家は、バリュエーションが低迷しているほか、マネーマネジャーのポジショニングが低水準にとどまっているため、一段高の可能性があるとみている。
原題:China’s National Team Bought $57 Billion of Shares, UBS Says(抜粋)
中国の政府系ファンド、ETF買い増しへ-本土株上昇
Felix Tam
2024年2月6日 10:57 JST 更新日時 2024年2月6日 11:37 JST
CIC傘下の中央匯金投資、ETFの保有拡大続ける
中央匯金がETF買い増しを明らかにしたのは昨年10月以来
中国の政府系ファンド(SWF)、中国投資(CIC)傘下の中央匯金投資は6日、資本市場の円滑な運営を維持するため、上場投資信託(ETF)の保有拡大を続けると発表した。
中央匯金は声明で、人民元建て「A株市場の価値を十分に認識している」と表明。これを受け、同日の本土株相場は上昇。CSI300指数は一時1.6%高となった。
CICは1兆4000億ドル(約208兆円)規模。SWFによる株式買い入れは、今年に入り売りが深まる本土市場で投資家から強い注目を集めてきた。主要な指標に連動する一部ETFへの資金流入総額は1月に記録的水準に増加。いわゆる「国家隊」が株価急落を食い止めるために市場に介入した2015年7月の総額の5倍を超える規模となった。
中央匯金がETF買い増しを明らかにしたのは、昨年10月以来。
中央匯金の発表を受け、証券監督管理委員会(証監会)は今後もさまざまな機関投資家やファンドが市場に参入するよう、より一層の取り組みで指導していくとする声明を出した。証監会は上場企業の自社株買い強化を支援するとともに、市場の安定的な運営を維持し続けるとも誓った。
原題:China Sovereign Fund Vows to Buy More ETFs, Fueling Stock Rally、China to Guide Funds to Increase A-Share Holdings, CSRC Says (抜粋)
中国の銀行、顧客からのスワップ経由のドル購入、1月は過去最高
Reuters によるストーリー • 22 時間
[上海/シンガポール 26日 ロイター] - 中国の銀行が顧客から為替スワップを通じて購入したドルが1月に過去最高の509億ドルに達した。外為当局の公式データで26日明らかになった。
輸出業者の間で海外で得た利益などをスワップ市場で元に交換する動きが広がっていることが浮き彫りになった。ドルを直接売却せず、ドルの高い利回りを確保し、為替レートが有利になるのを待つことが狙い。
こうしたスワップ取引では輸出業者が銀行にドルを渡し、人民元を受け取る。満期時に逆の取引を行う。
奇妙な現象、中国人の預金はなぜ増え続けているのか―中国メディア
Record China によるストーリー •
中国メディアの三聯生活週刊は27日、「金利がこんなに低いのに、なぜ中国人の預金は増え続けているのか」との記事を発表した。
記事は、「わが国の預金金利は過去1年以上にわたり下がり続けており、建国以来最低を記録しているが、ある奇妙な現象が起きている。金利がどれほど下がり続けていてもわが国の住民の預金はますます増えており、低金利は庶民の貯蓄意欲に少しも影響を与えていないのである」と述べた。
その上で、中国では2022年9月以降、相次いで利下げが行われていることに言及。「金利が下がると預金を別の場所に移したり、投資に回したりするのが普通であり、わが国が持続的な利下げを行っているのもそれが目的の一つだ。しかし、金利を下げれば下げるほど庶民の預金への意識は積極性を増している」と指摘。18年までは毎年の新規預金額が4兆~5兆元(1元=約20円)だったが、新型コロナの流行で急増し20年の新規預金額は11兆元、22年には18兆元に達したと説明した。
預金額が増えている背景について記事は「金利を下げているということは景気が後退していることを意味し、大幅な利下げで経済成長を刺激するのが狙いだ。庶民からすれば今後も景気の下振れが続くと考えれば、資産の安全確保が第一となる」とし、「中国人はかねてより預金を好む。主な目的は金利を得ることではなく一種の予防だ。わが国の社会保障水準が低いことを背景に、庶民の多くは将来的なリスクに備えて預金するのだ」と説明した。
そして、庶民の預金ブームについて「コロナとそれ以降の経済動向により多くの人の将来に対する不確実性が高まり、より強い預金意欲につながった」と分析。また、「リスクへの備えだけでなく、良い投資先がないことも確かだ」と指摘し、「株式市場も不動産市場も基本的に庶民の富は増えず、大幅に目減りしている。ここ数年は預金を選んだ庶民が、実は勝ち組になっている。資産運用を行っている人の多くは荒波に巻き込まれた状態で、むしろ保守的な預金こそが最も安定したリターンを得ている」と述べた。
記事は、「庶民の預金が爆発的に増加していることについて、どこからそのお金が出てきているのかという疑問がある。経済は下降しており、預金が増加したのは収入の増加によるものであるはずがない。多くはやはり、消費を減らして節約したお金を預金しているのである」とし、「株も家も買わない人が増え、日々の消費を減らし、それによる連鎖反応として市場の低迷が続き、物価まで下落し始めている」と説明した。
その上で、「現在の経済情勢は、デフレの悪循環を形成している」とし、これを断ち切るためには政府による社会保障システムの拡充が必要と主張。「庶民が社会保障システムを頼り、将来の介護、病気などへの不安がなくなり、過剰貯蓄の必要がなくなれば、より多くの資金が放出されて経済を刺激することができる」とし、「そうした安心感がない限り、パニック的貯蓄は止まることはないだろう」と論じた。(翻訳・編集/北田)
新年早々、外資の中国投資は着々と進む―中国メディア
Record China によるストーリー •
福建省漳州市でこのほど、中国とサウジアラビアが協力した、総投資額約448億元(約9400億円)の古雷鎮エチレンプロジェクトの主体工事が全面的に着工しました。また、広東省恵州市では、既に300億元(約6300億円)余りが投資されているエクソンモービル恵州エチレンプロジェクトに、今年さらに100億元(約2090億円)が追加投資されることが明らかになりました。一方で、山東省日照市では、シンガポールの金鷹集団傘下のアジア・シンボル社が新たに150億元(約3100億円)を投資した紙・繊維一体化プロジェクトが着工前の最終認可を終えました。新年早々、外資系企業は中国での事業を加速させています。
中国国際貿易促進委員会が発表した調査報告書によると、インタビューを受けた外資企業のうち、前月を約5.8ポイント上回る90%以上の企業が今後5年間の中国での投資利益率は横ばいか向上すると予想しています。また、インタビューを受けた外資企業の90%以上が中国市場は魅力的だと見ています。商務部のデータによると、1月は全国で前年同期比74.4%増となる4588社の外資系投資企業が新たに設立されました。「中国への投資は未来への投資」という見方は依然として多くの外資企業の共通認識となっています。
商務部は2023年7月から外資企業円卓会議制度を実施し、定期的に会議を開いて外資企業から報告された困難な問題や意見・提案を聴き取った上で、関連部門や地方と共同で問題解決に取り組んでいます。今年1月末時点で、商務部は既に16回の外資系企業円卓会議を開き、400社以上の外資系企業や外国企業団体が参加しており、会議で報告された300件以上の問題が解決されました。(提供/CRI)
中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…!海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」
藤 和彦 によるストーリー • 4 時間
習近平がぶち壊した「チャイナドリーム」
習近平への怨嗟の声が、中国のZ世代で高まっているようだ。
1995年〜2005年の生まれで、高度経済成長を謳歌し、ITに慣れ親しんだこの世代はいま、中国版「大就職氷河期」のただなかで自信を喪失しようとしているという。
2028年にはアメリカのGDPを抜くとさえ言われた、中国の「チャイナドリーム」。Z世代は、自分たちが社会人になっても続いていくと信じて疑わなかった。
しかし、彼らはいつ終わるとも知れない長期停滞期に社会人生活を送りかねない厳しい環境に置かれている。
ない袖は振れない…
春節(旧正月)明けの中国経済は相変わらず芳しくない。
大型連休(2月10~17日)の国内観光収入は前年比47.3%増の6327億元(約1.3兆円)とコロナ前の水準を上回ったようだが、中身が悪い。
ロイターの試算によれば、1人当たりの観光支出額の平均は1335元にとどまり、2019年の1475元を9.5%下回っており、中国人の節約志向が続いている。
不動産市場も絶不調のままだ。
不動産関連指標を扱う中国指数研究院は18日、「春節期間中の新築住宅販売(成約面積ベース)が昨年に比べて約27%減少した」と発表した。
中国政府は不動産市場の立て直しに躍起になっている。
中国人民銀行(中央銀行)は20日、住宅ローン金利の目安となる期間5年超の金利を年3.95%と過去最低水準にまで引き下げた。5日に1兆元(約21兆円)の長期資金を市場に放出したことに続く緩和策となる。
人民銀行が支援の先頭に立っている背景には、これまで景気対策を牽引してきた地方政府の苦境がある。地方政府全体が発行した債券の残高は2023年末時点で40兆元(約820兆円)を突破し、年間の支払い利息が1兆2000億元(約25兆円)を超えている。
「ない袖は振れない」状態なのだ。
とどめを刺した「反スパイ法」
にもかかわらず、中央政府は大規模な財政出動をためらっていることから、中央銀行による支援頼みの構図は強まるばかりだ。
海外金融機関の間では、「中国で進行中の景気の落ち込みは春から夏にかけて悪化する」との見方が広まっていることが災いして、春節明けの株式市場も依然として低調だ。
悪い話題はまだ続く。
昨年の中国への直接投資額が前年比82%減の330億ドル(約5兆円)にとどまり、30年ぶりの低水準になったことが明らかになっている。その要因として、昨年7月に施行された改正反スパイ法など中国での事業環境の悪化が指摘されている。
中国では、さらにスパイ摘発などを担当する国家安全部がネット上に流れる中国経済に関するネガテイブな言動を厳しく取り締まるようになっており、これを嫌気した海外投資家の「中国離れ」が加速することは間違いないだろう。
絶頂から「どん底」へと落ちる若者たち
思い起こせば、英国のシンクタンクは2020年末に「中国は2028年に米国経済を追い抜く」との予測を発表した。中国の2012年の経済規模は米国の約半分だったが、2021年には米国の76%に急接近した。今から振り返れば、このときが中国経済のピークだった。
その後は2年連続で米中の格差は再び広がり、昨年の中国経済の規模は米国の64%にまで縮小した。
足元では「不動産バブルが崩壊した中国では日本のようにデフレが数十年続く可能性が高く、中国が米国を追い抜くことは永遠にない」との声がコンセンサスになりつつある。
習近平国家主席は2013年、中国民族の復興という「中国の夢」というビジョンを掲げたが、米国を抜いて中華帝国の過去の名声を取り戻す前に、中国の夢が悪夢と化してしまうという危機に直面している。
このことに最もショックを受けているのが、Z世代なのだ。
後編記事『「習近平は田舎者」と罵詈雑言も…!大型連休中に飛び交った「習近平への怒りのメッセージ」、そのヤバすぎる中身』では、中国経済の絶頂期に生まれたZ世代の怨嗟の声と中国人がいかに習近平への不満を募らせているのかを見ていこう。
確実に進む日米欧の中国からの「デカップリング」、データが証明
Milton Ezrati によるストーリー • 3 時間
米国や欧州各国、日本が調達先を中国から他国に移して多様化させる取り組みがうまくいっていることが、中国と世界各国のデータで示されている。これらの主要な市場はそれぞれ中国との貿易を著しく減らしている。中国企業は第三国へ進出し、あるいは他国で商品を積み替えて輸出しているが、そうした事業は中国貿易のデータには含まれていないため、データは調達先の多様化を多少誇張しているかもしれない。
中国企業のそうした工作により統計を鵜呑みにはできないだろうが、実際的にはそれほど大きな違いはないかもしれない。結局のところ、デカップリング(切り離し、経済分断)、あるいは欧州の人々が好んで使う「デリスク」のポイントは、中国の脅しに対する脆弱(ぜいじゃく)性を減らすことであり、第三国への移行はそれはそれで効果がある。
データで最も印象的なのは、対米輸出で中国がトップの座を失ったことだ。今やその地位はメキシコに移っている。この変化は主に、米国のバイヤーが調達先を中国から特にメキシコ、またベトナムやインドに移して多様化を図る独自の取り組みによるものだ。詳細はともかく、中国税関総署の直近のデータによると、2023年1月から同年11月の中国から米国へのスマートフォン輸入は前年同期比約10%減少し、ノートパソコン輸入は同30%減少した。インドからのスマートフォンの輸入、ベトナムからのノートパソコンの輸入は、比較水準が低いとはいえ、それぞれ4倍に増えている。
欧州のデータは完全にまとまっているわけではないが、ドイツの連邦統計局の発表によると、同国の中国からの輸入はこの1年間で13%減少した。中国とドイツの貿易関係は長い間発展してきたにもかかわらず、予備調査報告によると、ドイツへの輸出で米国が中国を上回った可能性がある。
日本と韓国も、少なくともある程度は中国から遠ざかっている。統計をどう解釈するかは、それぞれの中国との複雑な関係にもよる。日中、韓中の貿易の多くは、中国に設立された日本と韓国の事業所を中心に展開されている。2国は部品やコンポーネント、消耗品を中国の事業所に輸出し、そこで完成品にしてから輸入というかたちで国内市場に戻す。中国からの輸入に関するデータはまだ入手できないようだが、中国の情報筋によると、日本と韓国の対中輸出は減少しており、中国拠点の事業が重視されていないことを示している。同時に、米国勢調査局によると日本と韓国の対米輸出が増加し、今や中国を上回っていることもそうした事態を示している。
中国との貿易が活発になっている唯一の地域は、原材料や農産物の輸出に依存している経済圏だ。中国税関総署によると、ブラジルと中国の貿易は急増している。ブラジルから中国への輸出は昨年、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前の水準を60%ほど上回り、ブラジルの中国からの輸入は50%増加した。いずれもパンデミック以前の水準は低かった。
オーストラリアも対中貿易が伸びている。2023年の中国への輸出は前年比17%増だった。この数字は将来の発展性を誇張しすぎており、中国が2020年にオーストラリアからの輸入品に課した懲罰的な関税を撤廃したことで、以前の貿易水準に追いついたことを反映しているだけの可能性がある。
ロシアも中国との貿易が急増し、主にエネルギーを輸出し、消費財を輸入している。西側諸国がウクライナ侵攻をめぐってロシアとの貿易を制限し続ける限り、中国とロシアの貿易は拡大し続けるだろう。
こうした動きの結果、中国の貿易の構成は著しく変化している。中国税関総署によると、中国の輸出入に占める米国の割合は2018年から2023年にかけて2.5ポイント低下した。日本のシェアは2ポイント近く、韓国は約1.5ポイント縮小。欧州のシェアは約0.5ポイント減った。
対照的にロシアのシェアは2ポイント、ブラジルとオーストラリアはそれぞれ0.5ポイント拡大した。東南アジア諸国連合(ASEAN)のシェアは2.5ポイントほど増えているが、これは互いの位置付けの変化というよりも、ASEANが比較的急成長しているためだ。こうした数字は小さなものに見えるかもしれないが、貿易の一般的な流れから見ると比較的短期間に驚くべき動きがあったことになる。
こうした状況からして、世界有数の経済大国が中国からかなりデカップリングしていることは確かだ。また、この動きはすぐに反転しそうにもない。何年にもわたって続いている傾向だ。米国では2018年に当時のドナルド・トランプ大統領が中国からの輸入品に高い関税を課したことが始まりだった。トランプは2019年にさらに関税を引き上げた。バイデン大統領はこれらすべての関税を維持し、さらに中国への先端半導体と半導体製造装置の販売、そして中国の技術への米企業の投資を禁止した。直近では、中国製の電気自動車(EV)の輸入に25%の関税を課す案も浮上している。
一方、日本はレアアース(希土類)を中国以外から調達するための国際的な取り組みを主導しようとしており、欧州連合(EU)は安価なEVを欧州市場で大量に販売しようとしている中国に罰則を科す措置を取っている。
最初にトランプが関税を課した時からそうしてきたように、間違いなく中国企業はメキシコやベトナムなどの第三国で事業を立ち上げたり、単に中国製品をこれらの国で積み替えたりすることで、締め付けを回避し続けるだろう。こうした動きは関税を回避できるかもしれないが、米政府は対抗策を取っている。中国企業の回避行動は、入手可能な貿易データの解釈を確かに混乱させるだろう。だが、そうではあっても、製品の流れに影響を及ぼす中国の力を弱めることになる。結局のところ、デカップリングがそもそもの目的だったのだ。
また、2020〜2022年に中国の政策で打撃を受けた供給の中断を回避するために、調達源を中国から多様化しようとする欧米や日本の企業の継続的な取り組みも、中国企業の締め付け回避の動きに妨げられることはないだろう。こうした傾向には明らかに持続性がある。
時価総額1000兆円消失すらかすむ、中国から届いた「最悪のニュース」
中国への外資企業による直接投資、過去30年で最低に 不透明感を反映
2023年の外資企業による中国への直接投資額は330億ドル(約4兆9600億円)と、過去30年間で最低になったとの統計が発表され、中国経済の健全性や、中国の金融市場に関して欧米の投資家がどう対応すべきかが問われている。
確かに中国は世界第二位の経済大国だが、経済面そして政治面で実際に何が起きているのか、我々はほとんど知らない。過去10年間、欧米の投資家は国内総生産(GDP)のような主要な経済指標を重視せず、電力使用量のようなミクロ指標を好んで用いてきた。当局が発表する指標は「実態を反映していない」との懸念からだ。政治的にも、中国は「開かれた国」とは言い難く、それゆえに中国政府の意図を読み取ることが難しい。明快さの欠如により、投資家は中国から遠ざかっている。
それを反映して、中国の資産のパフォーマンスは低迷し、株式のバリュエーション(株価評価)は非常に低くなっている。例えば、アリババとアマゾンのパフォーマンスを比較してほしい。そこには、投資家が中国に対して抱いている懸念が織り込まれているのではないかと考えることもできる。
具体的には、米中関係と台湾をめぐる紛争のリスク、中国経済の構造的リスク(欧州の読者なら中国の不動産市場のリスクを認識しているだろう)、そして経済政策決定における緊急性の欠如だ。
こうしたリスクの一部は、差し当たっては和らぎつつある。台湾の総統選挙は何事もなく終わり、米中の外交対話も改善した。
経済的には、リスクは依然としてある。中国は今後10年間、「大計画」を軌道に乗せるために年4%近い成長を望んでおり、またそれを達成する必要がある。ここ数十年、中国は大きな不況を経験していないが、その結果、過剰となっている生産能力や非効率的な投資、膨大な債務など、構造的な不況の要因が蓄積されつつある可能性が高い。米国との新たな貿易戦争(トランプ前大統領が再選を果たせば必ず起こるだろう)や、電気自動車(EV)のダンピングに対する欧州の厳しい姿勢など、外部リスクは残っている。
筆者の感覚では、2010年代半ばにユーロ圏がそうだったように、大きな市場が「投資できない」と見なされたら、そろそろ投資案件を温め始めるときだ。中国は割安だが、圧倒的な刺激やちょっとした危機的状況(貿易戦争や債務問題の噴出)のような誘因はまだない。(forbes.com 原文)
時価総額1000兆円消失すらかすむ、中国から届いた「最悪のニュース」
3年間で7兆ドル(約1050兆円)もの時価総額が失われた中国の株価暴落について、エコノミストたちはその途方もなさをどう説明したものやら頭を悩ませている。中国の株式市場は2021年以降、日本とフランスの国内総生産(GDP)の合計に匹敵する時価総額を失ったと言えば、規模の大きさが最もよく伝わるだろうか。
とはいえ、アジア最大の経済大国から伝わってきた最悪のニュースは、他にある。中国のデフレが過去数十年で最速のペースで進んでいるという話ではない。大手不動産会社の中国恒大集団に香港で清算命令が出されたという件でもない。最悪のニュースは、まさに中国に関する「悪いニュース」に対して、中国の習近平指導部が戦いを本格化させたらしいことだ。
報道によれば、中国の主要な情報機関である国家安全省は最近、中国経済や市場の見通しに関して批判的な見解を広める者を見張っていると明らかにした。「虚偽の言説」によって「中国経済をおとしめる」言動をするな、という背筋の寒くなるような警告は、アダム・スミスに始まる近代経済理論とはかけ離れた毛沢東的な発想だ。そしてこれは、中国の影響力が高まるなかで非常に厄介な問題を引き起こしている。
国家安全省は「経済宣伝と世論誘導を強化する」と公言した。だが、本当に気がかりな問題は、具体的にどのような行為が取り締まりの対象になるのかという、発表文の「行間」に隠された部分だ。
ブルームバーグ通信は1月、米金融大手のシティグループが中国本土を訪れるプライベートバンカーたちに、人民元やその為替ヘッジ戦略について話さないよう指示していると報じた。また、習主席の強い意向を受けた香港政府は先ごろ「国家安全条例」の制定手続きを開始すると発表した。香港の憲法にあたる香港基本法23条に基づくこの法令は、中国共産党が20年前から香港に押し付けようとしてきたものである。
あいまいな条文の国家安全条例は、かつて「アジアのロンドン」と呼ばれた香港で、中国本土と同様に、政府が国家にとって危険とみなした情報を統制するのが狙いだ。香港の法令としては、2019年に起きた大規模抗議行動を受けて翌20年に施行された香港国家安全維持法(国安法)を補完するものになる。
国家安全条例の原案では、「国家に対する反逆」「反乱」「スパイ行為」「国家の安全に危害を加える破壊活動「外国勢力による干渉」の5つの犯罪を取り締まるとしている。だが、どのような行為が各犯罪に問われるのかははっきりせず、外資系投資銀行や報道機関、コンサルティング会社、インターネットプラットフォームの関係者からすれば腹立たしいほどだ。
たとえば、中国経済は苦境にあると確信しているエコノミストは、中国国内で発表するリポートやスピーチでそれに言及しても大丈夫なのか。中国本土の企業が帳簿をごまかしていると判断できる場合、当局の事情聴取を受ける危険を冒さず投資家に警告するにはどうすればいいか。あるいは、中国本土の不動産開発会社が近くデフォルト(債務不履行)に陥りそうだと感じたストラテジストは、その懸念を公の場で表明してよいものだろうか。
外国の報道機関の場合も同様だ。所属する記者が、中国の地方政府の債務リスクは知られている以上に悪いという内容の記事を執筆した場合、それを配信してよいのか。記者がマディ・ウォーターズのような空売り投資会社を取材したら、国家安全省の手入れを受けることになるのか。
ソーシャルメディア企業は、カイル・バスのようなヘッジファンドマネジャーやジョージ・ソロスのファンドが人民元の下落や香港ドルの米ドルペッグ制崩壊に賭けているニュースがSNSでシェアされたとして、責任を問われるのだろうか。
昨年過去最悪を記録して政府が公表を取りやめた中国本土の若年失業率の影響を研究している香港の学者は、その研究を葬り去るべきか。非政府組織が中国の広域経済圏構想「一帯一路」による環境破壊に関する研究を中国で禁止されたくない場合、どうしたらよいのか。
ここ最近の動きを踏まえると、こうしたシナリオはもはや仮定の話にとどまらなくなりつつある。
昨年12月、中国のSNS「微博(ウェイボー)」は一部のユーザーに、中国経済についての悪口を言わないよう求めた。ユーザーは「中国経済をおとしめることを意図したさまざまな決まり文句」や「中国を戦略的に封じ込め、抑圧しようとする試み」を控えるよう促されている。
また、ここ数週間で、著名なエコノミストやジャーナリストの論評が中国のネット空間から削除されている。ちょうど習の側近らが、中国の経済や不動産部門、株式市場に関する明るい見通しを広めるよう働きかけているタイミングでだ。
これらは、力強く自信に満ちあふれた政府がとるような行動ではない。自国の資本市場が、世界で評価される状態にないと自覚している政府の行動だ。中国は、自国の経済が2021年以降に被った何兆ドルもの資金流出を反転させたいのであれば、むしろ透明性を高めるべきなのだ。良いニュースであれ悪いニュースであれ、公表させるのだ。
習は2012年に政権を発足させたあと、資源配分で市場に「決定的な役割」を担わせると約束した。ところが、その後10年間で中国経済はブラックボックス化がさらに進んだ。習時代は「検閲を再び偉大に」し、金融界の不透明性は増した。
コーポレートガバナンス(企業統治)が後退しただけではない。中国政府はこれらの現象を香港にも広げようとしている。信用格付け方法の改善や、市場監視メカニズムの透明性向上、非効率性と増大するリスクや不正行為に対するメディア界の監視機能などへの期待もしぼんでいる。
こうした諸々によって、習が自身で築き上げたと考える中国経済と、世界の投資家が向き合う中国経済の乖離は大きくなっている。繰り返しになるが、投資家の目から実態を隠すために照明を落とすような振る舞いは、2024年の自国経済に心配がなく自信に満ちた政府なら、まずやらないことだ。中国から良いニュースが届くのは、むしろ悪いニュースが流れるようになったときだろう。それは習指導部が中国経済への自信を取り戻した表れだろうから。
(forbes.com 原文)
「中国にだまされるな」=前豪首相、引退演説で警鐘
20 時間
【シドニー時事】今月末で政界を引退するオーストラリアのモリソン前首相は27日、下院で議員辞職を前に演説し、中国の軍事的脅威や経済的威圧が厳然と続いていると指摘した。その上で「われわれはだまされてはいけない。中国の戦術は変わっても、彼らの戦略は変わらない」と警鐘を鳴らした。
モリソン氏は「中国は圧力をかければわれわれがひるむと考えていたが、わが国は厳然と立ち向かい、同盟国やパートナーと協力して対抗した」と強調。自らの首相在任中に推進した米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」や日米豪印の協力枠組み「クアッド」などの連携を強化すべきだとの考えを示した。
中国は2020年、モリソン氏が新型コロナウイルスの起源調査を求めたことに反発し、豪産品への貿易制裁を発動。アルバニージー政権との交渉で一部を解除した。だが、中国の裁判所が今月、豪国籍作家にスパイ罪で執行猶予付きの死刑判決を下し、豪中関係は再び冷却化している。
中国国外の少数民族監視、流出文書で露呈
Liza Lin によるストーリー • 3 時間
中国国外の少数民族監視、流出文書で露呈© The Wall Street Journal 提供
ニューヨークに住むある男性に2020年、中国南部の深圳の警察から電話がかかってきた。警察はツイッター(現X)のあるアカウントについて男性が何か知っているかどうかを知りたがっていた。
男性は中国西部の新疆ウイグル自治区で生まれた後、米国に移住していた。新疆では少数民族のウイグル族などが大量拘束などの人権侵害を受けている。この男性は米国に到着後、ウイグル族が直面する窮状について発言し始めた。
電話を受けた当時、男性は自分がハッキングの標的にされていることに気付いていなかった。中国のあるサイバーセキュリティー企業から今月流出したとされる大量の文書には、男性に電話がかかってくる数週間前に当たる2020年3月の日付がある1件のチャットログが含まれている。チャットの中でこの企業の関係者は、ソーシャルメディアのアカウントに関わる多数の人物に関する情報収集について述べている。
男性によると、自身のアカウントはそのチャットログで特定されたものの一つだった。「ウイグル族に関する情報収集作戦で自身が標的になっていたと考えるべき理由が私にはある」と彼は述べた。
これらの文書は、中国のサイバーセキュリティー会社「I-Soon(安洵信息)」から流出したとみられており、中国政府が監視技術を使って国内外で政治的統制を強める手法に新たな光を当てている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)による文書の分析からは、中国の周縁部出身の人々、とりわけ中国政府が政治不安の根源になり得るとみている少数民族に的が絞られていることがうかがえる。
中国国外の少数民族監視、流出文書で露呈© The Wall Street Journal 提供
ソフトウエア開発者向けのオンラインプラットフォーム「GitHub」上にアップロードされ、その後削除されたこれらの文書ファイルからは、I-Soonが中国のスパイ活動を支援する民間企業の一つであることがうかがえる。ファイルには、何百ページにも及ぶチャットログ、顧客リスト、製品マニュアルなどが含まれているが、WSJはその内容の信頼性を独自に検証できていない。ただサイバーセキュリティー専門家らは、文書の特徴が中国政府系のハッキンググループの過去の行動形態と合致していることから、本物であるように思えるとしている。
これらの文書はI-Soonがさまざまな人々を標的にしていたことを示唆しているが、数多くの具体例から、少数民族に関する情報収集が重視されていたことがうかがえる。I-Soonが新疆の治安維持当局にハッキング能力を売り込んでいたことも文書は示している。チャットのログからは、同社がインドに亡命したチベットの人々の監視への協力を申し出ていたこともうかがえる。
I-Soonも中国公安省もコメントの求めに応じていない。
シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院のシニアリサーチフェロー、ドリュー・トンプソン氏は「ハッカーらは中国の脅威となり得る海外に渡った人物に焦点を当てていた」と言う。「I-Soonの顧客は、個人の電子メールや通話の記録を監視・入手して海外の反体制派を追跡できるよう、政府機関や通信事業者、航空会社のデータを強く要望していた」。トンプソン氏は元米国防総省高官で北京駐在経験がある。
中国国外の少数民族監視、流出文書で露呈© The Wall Street Journal 提供
中国では習近平国家主席の下で国家安全保障が重視されてきており、共産党は自分たちの支配が及ばない政治的組織化の動きを何としてもつぶそうとしている。中国は特に新疆ウイグル、チベット各自治区や香港などの周縁部がもたらす脅威に焦点を当ててきた。これらの地域では多くの住民が自らを中国人ではないと考えている。
中国政府は長年、強制的な同化政策の一環として、トルコ系少数民族を新疆ウイグル自治区の教化施設に収容してきた。人権団体や西側諸国はこれを「人道に対する罪」だとしている。中国政府はテロリズムや宗教的過激主義を抑えるための職業訓練だと説明している。
国外の活動家らによると、中国政府は国外に住むウイグル族などの少数民族を標的にした取り組みを拡大している。そうした人々に現地コミュニティーを監視するよう指示し、従わなければ新疆ウイグル自治区にいる家族が報復を受けると伝えているという。
米国で活動するウイグル族のイルシャット・コクボレ氏は「中国は国家の手が米国の地までも届くのだと示すことで、ウイグル族を威嚇したいのだ」と話す。
流出した文書によると、I-Soonはマレーシアやタイ、モンゴルの省庁など数十に及ぶ政府機関のほか、香港や台湾、フランスの大学もハッキングしたと主張している。
文書によると、同社の最大級の顧客の中には、中国の国家安全省や公安省、人民解放軍の地域・省レベルの部局が含まれている。
膨大なデータの中には、新疆ウイグル自治区南東部のバインゴリン・モンゴル自治州(50万人以上のイスラム系ウイグル族など少数民族が居住する地区)の自治体との契約書の無署名のコピーもあった。それは実現可能性調査での協力に関するものだった。この契約でI-Soonは、パキスタンやアフガニスタン、マレーシア、タイ、モンゴルの政府から盗んだという「テロリスト対策」データにアクセスできることを売り文句にしていた。
中国「国家秘密保護法」の改正案可決・成立 国家機密の管理厳しく
日テレNEWS NNN によるストーリー • 13 時間
中国で国家機密の管理を厳しくする「国家秘密保護法」の改正案が可決・成立しました。
習近平国家主席が重点をおく「国家安全」を守る体制を固め、国内の引き締めを強める狙いです。
中国の国会にあたる全人代=全国人民代表大会の常務委員会は27日国家機密の管理を厳しくする「国家秘密保護法」の改正案を可決しました。
改正された「国家秘密保護法」では国家機密を守るための、中国共産党の指導を徹底することが明記されたほか、宣伝や教育などを国家主導で進め、社会全体として機密漏洩を防ぐための意識を強化することが挙げられています。
このほか国家の機密に関わる企業の秘密管理能力の強化や、機密を扱う職務に携わることができる人物の条件なども規定しています。
「国家安全」を最優先に掲げる習近平政権は去年7月に施行された改正反スパイ法に続き、国民の間にも相互監視の網を広げ引き締めを一層強化する狙いがあるとみられます。
参考文献・参考資料
中国の非銀行部門、1月の国際収支55億ドルの黒字 (msn.com)
中国当局の「享楽主義的」バンカー締め付け、金融から人材流出加速 (msn.com)
中国「国家隊」が本土株買い支え、年初来で8.6兆円相当購入-UBS (msn.com)
中国の政府系ファンド、ETF買い増しへ-本土株上昇 - Bloomberg
中国の銀行、顧客からのスワップ経由のドル購入、1月は過去最高 (msn.com)
奇妙な現象、中国人の預金はなぜ増え続けているのか―中国メディア (msn.com)
新年早々、外資の中国投資は着々と進む―中国メディア (msn.com)
中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…!海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」 (msn.com)
確実に進む日米欧の中国からの「デカップリング」、データが証明 (msn.com)
中国への外資企業による直接投資、過去30年で最低に 不透明感を反映 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
時価総額1000兆円消失すらかすむ、中国から届いた「最悪のニュース」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
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