政治講座ⅴ1492「燃えるEVの消火」
EV車はエコで安全と思われているようであるが、「事実は小説より奇なり」で、火災が起きるようである。自動車の火災防止として、日頃から自己点検は怠る事の無いようにしたら、異常に気が付くかもしれない。今回はそのような報道記事を紹介する。
皇紀2683年11月15日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
燃えるEV、最善の消火方法は「何もしない」
John Keilman の意見 • 51 分
消防隊員は、電気自動車(EV)が発火した際の最も確実な対処法を把握しつつある。離れてただ見ていることだ。
EVはガソリン車とは燃え方が違う。消防士や研究者によると、EVは長時間燃え、消火が難しく、再燃しやすい。
米テネシー州フランクリンの消防隊は9月、燃えるEVを初めて目の当たりにした。日産自動車の北米本社の外で、「リーフ」が充電中に発火した。アンディ・キング消防署長によると、消防隊は数時間かけて4万5000ガロン(約17万リットル)を放水した。通常のガソリン車の火災では500~1000ガロンでいいという。
「もしまた同じような状況に直面したら、そのまま燃やしておく方がいいかもしれない」とキング氏は話した。
日産は火災の原因を調査中だと述べた。
EVの発火がどれほどの頻度で起きているかは不明だが、米国で流通するEVが増えるにつれ、一部の消防関係者はこうした事例が増えるとみている。フロリダ州ノースコリアー消防・救急管区では昨年のハリケーン「イアン」の後、こうした火災が6件起きた。高潮でEVのバッテリー部分に海水が浸入し、ショートした可能性がある。
米国では毎年17万件以上の車両火災が発生しているが、連邦政府のデータを基に件数を集計している全米防火協会(NFPA)は、火災を電源別に分類していない。米テスラは自社製EVの発火率について、米国の車両全体よりはるかに低いとみている。第三者機関の調査でも、EVについておおむね同様の結果が出ている。
消防隊はEV火災への対処法を探っている。「バッテリー工場やEVへの移行にどれだけの資金が投入されているかを踏まえると、消防の備えはまだ不十分だ」。ミシガン州ブライトンの消防署長で国際消防長協会(IAFC)のバッテリー委員会委員長を務めるマイケル・オブライアン氏はこう話した。
EVの発火は通常、リチウムイオンバッテリーで発生する。設計に不備があったり、衝撃や内部ショートで損傷したりすると、「熱暴走」と呼ばれる状態に至る可能性がある。バッテリーの試験・認証を手掛けるULソリューションズの主任科学者ロバート・スローン氏はこう指摘する。
バッテリーには可燃性の化学物質が含まれており、燃えると酸素を放出することがある。これにより、EVはいったん鎮火したように見えても、数時間または数日たってから再燃する場合がある。ウェストバージニア大学の消防公開講座や全米ボランティア消防協議会で教えるトム・ミラー氏によると、有毒ガスも放出される。
業界団体「電気駆動輸送協会(EDTA)」のジュヌビエーブ・カレン会長によると、EV火災がガソリン車の火災以上に危険ということはないが、専用の対処法が必要になる。「つまり訓練だ」
EVが発火したら、安易に自力で対処しようとしない方がいい。オブライアン氏はこう話す。バッテリーパックから出た火はおそらく消火器では消せない上、煙が極めて危険だという。運転中に問題が起きそうな兆候がある場合は要注意だ。「ダッシュボードが『運転するな、車を止めろ』と言っているなら、車を止めて運転を止めるべきだ」
より控えめな方法を採る消防署もある。ニュージャージー州ヒルズボロの消防隊は先月、事故に遭ったテスラ車が車両解体所で発火した際、燃え尽きるまでそのままにしておいた。カリフォルニア州のコシュムネス消防署も、5月にサクラメント近郊の道路脇でテスラ車が発火した際に同じようにした。
この車の持ち主のビシャル・マッラさんによると、高速道路の進入路に入ったところで車体が激しく振動し始めた。タイヤがパンクしたと思って停車し、外に出ると、車台から煙が出ていた。数分もしないうちに煙は炎に変わった。
駆けつけた消防隊が700ガロンほど放水したところで、燃えているのがバッテリーだと分かり、ロバート・カスパリアン副消防署長は放水を止めるよう指示した。テスラはコメント要請に応じなかった。
カスパリアン氏によると、燃えているEVをそのままにする方法がいつも可能とは限らない。同氏らは、EVが所有者の車庫で発火した場合の対処法を話し合っている。
高圧の水流ではなく、細かい霧状の「フォグストリーム」を火に当てるのも一案だという。温度が下がり、消防隊員が鎖を車に引っかけて車庫の外に引きずり出せるかもしれない。
EVの鎮火に特化した新商品も登場している。ケンタッキー州のルイビル消防署は、車体の下に差し込んで車台に直接放水し、バッテリーパックを冷却するよう設計された専用のノズルを備えている。別の消防署は、炎を覆う大きな毛布を使っている。
建築基準法や消防法の管轄当局も、EVの普及に合わせた対応を検討している。
全米防火協会(NFPA)のブライアン・オコナー氏によると、同協会は新築の駐車場にスプリンクラーを設置することを推奨している。これはEVのみを念頭に置いたものではないという。最近のガソリン車は旧型の車種よりプラスチックや絶縁材が多く使用され、燃料タンクも大きいため、火災の危険性が高まっている。
駐車場2千カ所ほどを所有・賃貸・管理しているLAZパーキングのロバート・デブッロ執行副社長兼マネジングパートナーによると、多くの都市がすでに、オフィスや住居を併設している駐車場にスプリンクラー設置を義務付けている。
同社の物件でEV火災絡みの問題が起きたことはないが、バッテリーに発火の可能性があるとしてリコール(回収・無償修理)対象となったシボレー・ボルトの受け入れを一時的に禁止したという。シボレーの広報担当者は、問題解消に取り組んでいると述べた。
前出のミラー氏は消防隊員に対し、消火活動を始める前にEVを固定するよう指導している。燃えているEVが動いたケースがあるためだ。再燃防止のため、EVを水中に沈めた消防署もいくつかあるという。
一部の自動車メーカーとサプライヤーは、EV火災を防ぐ技術の開発に取り組んでいる。独フォルクスワーゲンの高級車部門アウディは、消火機能付きバッテリーの特許を出願した。米航空電子部品大手ハネウェル・インターナショナルと米エネルギー関連会社ネクセリスは、バッテリーの早期警告センサーを開発している。米複合企業スリーエム(3M)は熱暴走を制御する素材に取り組んでいる。
液体バッテリーより安全だとされる全固体バッテリーの開発を進める企業も多い。NFPA防火研究財団のシニア研究プロジェクトマネジャー、ビクトリア・ハチソン氏によると、全固体バッテリーは何年も前から議論されているものの、量販には至っていない。
同財団はEVの消火技術を研究しており、来年末までに推奨規格を公表することを目指している。ハチソン氏によると、今は消防署が水と労力をどれだけ使えるかをよく考える必要がある。「消防隊の時間と資源には限りがある」
車のエンジン周辺から出火か 152台焼損 パチンコ店駐車場火災
豊平森2023年8月22日 18時00分
神奈川県厚木市下荻野のパチンコ店「マルハン厚木北店」の2階建て立体駐車場で起きた火災で、2階を中心に計152台の車が燃え、2階中央付近に止めてあった乗用車のエンジン下部から出火したとみられることが22日、消防への取材でわかった。消防は放火などの事件性は低いとみている。
火災は20日午後2時45分ごろに発生。厚木市北消防署によると、焼損面積は2階部分の約3920平方メートルに及んだ。火元とみられる車はディーゼル車で、エンジン下部付近から火が出ていたことが目撃情報や他の車のドライブレコーダーの映像で確認できたという。この車の所有者の話などから、駐車後15分ほどで出火したとみられている。
一方で、立体駐車場には消火器や自動火災報知設備などがあり、消防設備に問題はなかったという。建物の構造上、スプリンクラーなどの設置義務はなかった。
この火災では、通報から約4時間後に鎮火し、けが人は確認されなかった。車は2階で144台、1階で3台、屋上で5台が焼けたという。
消防は、当時は2階の駐車スペースが157台のうち155台が止められほぼ満車だったことや立体駐車場が開放型で建物内に風が入ることなどで、火の回りが早かったとみている。また、車には石油製品の樹脂が多く使われ燃えやすいことも原因に挙げられるという。
(豊平森)神奈川県厚木市下荻野のパチンコ店「マルハン厚木北店」の2階建て立体駐車場で起きた火災で、2階を中心に計152台の車が燃え、2階中央付近に止めてあった乗用車のエンジン下部から出火したとみられることが22日、消防への取材でわかった。消防は放火などの事件性は低いとみている。
火災は20日午後2時45分ごろに発生。厚木市北消防署によると、焼損面積は2階部分の約3920平方メートルに及んだ。火元とみられる車はディーゼル車で、エンジン下部付近から火が出ていたことが目撃情報や他の車のドライブレコーダーの映像で確認できたという。この車の所有者の話などから、駐車後15分ほどで出火したとみられている。
一方で、立体駐車場には消火器や自動火災報知設備などがあり、消防設備に問題はなかったという。建物の構造上、スプリンクラーなどの設置義務はなかった。
この火災では、通報から約4時間後に鎮火し、けが人は確認されなかった。車は2階で144台、1階で3台、屋上で5台が焼けたという。
消防は、当時は2階の駐車スペースが157台のうち155台が止められほぼ満車だったことや立体駐車場が開放型で建物内に風が入ることなどで、火の回りが早かったとみている。また、車には石油製品の樹脂が多く使われ燃えやすいことも原因に挙げられるという。(豊平森)
マルハン:なぜディーゼル車は発火したのか…自然発火の可能性も、ガソリン車も注意
文=Business Journal編集部、協力=桑野将二郎/自動車ライター
【この記事のキーワード】マルハン, ディーゼル車, マルハン厚木北店
マルハンのHPより
20日に神奈川県厚木市のパチンコ店「マルハン厚木北店」の駐車場で発生した火事。火元となった車両はディーゼル車であり、駐車してから15~30分後にエンジン下部のあたりから発火したとのことだが、停車中の車が出火するという事故は、しばしば起こるものなのか。また、何かディーゼル車特有の事情に起因するものなのか。専門家に聞いた。
火事が起きたのは2階建ての立体駐車場で、火元となった車両があった2階部分には、火事が発生した当時、日曜日の日中ということもあり、157台ある駐車スペースに155台が止められていた。この立体駐車場には消火器や自動火災報知設備は設置されていたが、面積などの構造上、スプリンクラーなどの設置義務はなく、設置されていなかった。開放型という建物の特性上、2階部分は風が入りやすいことも影響して、2階部分を中心に1階から屋上で計152台が燃えたという。
自動車の火災は毎年、一定数発生している。国土交通省発表の「令和3年事故・火災情報の統計結果について」によれば、同年に起きた車の火災は1070件で、火災が発生した装置として最も多いのが「原動機」、次いで「電気装置」「走行装置」となっている。原因としては「点検・整備」によるものが最も多く、次いで「外部要因」「社外品・後付装置」となっている。また、JAF(日本自動車連盟)はHP上で車両火災の原因について次のように記載している。
「燃料やオイル漏れに起因するものやエンジンルーム内へのウエスの置き忘れ、バッテリーのターミナルが緩むことで発生するショートによっても発火の危険性が高まります」
「フロントウインドウにアクセサリーなどをつるす透明の吸盤を貼り付けたりすると、凸レンズ効果により太陽光が集光され、部分的に高温箇所を作り出すこともあります。そもそも、フロントウインドウに貼り付けを行なう場合は、道路運送車両・保安基準「第29条」の細目告示第3節「第195条」に則ったものでなければなりません。さらに水を入れたペットボトルなど光を集める作用をするものも、車内に置くときは注意する必要があります。ほかにはダッシュボード上など、車内の直射日光があたる場所にライターなどを放置したりすると車両火災の発生確率が高まり危険です」
ディーゼル車とガソリン車の違い
近年では世界的にEV(電気自動車)の電気系統の不具合に起因する火災事故の増加がクローズアップされている。今年1月にはテスラの「モデルS」が米カリフォルニア州の高速道路を走行中に、突然発火して炎上するという事故を起こし、同社が事故の原因や経緯を説明しないことに批判が集まった。EVに限らず、人が乗っていない状態の車が突然、発火するという現象は、しばしば起こるものだろうか。中古車販売店経営者で自動車ライターの桑野将二郎氏はいう。
「消防の調べでは、比較的最近のディーゼル車から発火したという見立てのようですが、この現象について考える前に、まずディーゼルエンジン車の仕組みを知ることが必要かと思われます。ガソリン車とディーゼル車は当然のことながら使う燃料が異なります。ディーゼル車に使われる燃料は軽油で、精製される前の原油はガソリンと同じながら、精製段階で沸点を指標として分けられます。軽油の沸点は240℃~350℃、ガソリンの沸点は35℃~180℃で、沸点が高い軽油は、ガソリンに比べて揮発性は低いので、引火はしにくいのですが、熱を加えると着火しやすい(自然発火しやすい)。ガソリンは引火しやすく、軽油は着火しやすい、という特性があるわけです。ガソリン車はプラグで燃料に点火してエンジン内部の爆発を生みますが、ディーゼル車はプラグがなく、燃料を加圧することで温度上昇させ、着火点に達すると一気に爆発する仕組みです。
そしてもうひとつポイントとなるのが、高い熱を発する補機類がディーゼル車に装着されているという点です。最近のクリーンディーゼル車は、排ガス浄化装置・ディーゼル微粒子捕集フィルターが装着されています。これはDiesel particulate filter=DPFと呼ばれ、排気ガスに含まれる煤(すす)などを一時的に捕集し、一定量が溜まったら燃焼させて除去するという装置です。有害な物質を除去するためには、フィルター内部を600度くらいまで上昇させるため、周辺の排気系部品も高温状態となります。グラスウールなどで保護はされていても、部品の外側が300度近くになるため、過去にもDPFの故障による火災事故が起こっています。部品本体の不具合だけでなく、高熱部分に枯葉が接触し、排気ガスに炙られて発火したというケースもあります。
今年7月27日には、BMWおよびMINIのディーゼルエンジン車27車種について、火災事故に至るおそれがあるとして、国土交通省へリコールの届け出がありました。これは、排気ガス再循環装置の耐久性が不十分であったため、経年劣化で漏れ出た冷却水が排気ガスに含まれる煤(すす)と混合して、排気ガス再循環装置内部に堆積し、高温になった堆積物がマニホールドに流入し、熔損や最悪の場合は火災に至るというもので、各国で火災事故が起きていました。
ここで、今回のマルハンでの火災事故の話に戻ります。原因として考えられるのは、なんらかの理由で漏れ出た燃料が、DPFなど高温にさらされた部品に垂れ落ちて発火したというパターンや、DPFに何かが付着して発火した、あるいはそういったトラブルに昨今の猛暑が追い打ちをかけてしまった、などということも可能性として拭い去れません。消防の話では、車体下部の樹脂部品が激しく燃えていたという検証結果があり、また駐車後15分後くらいから火災が起こっているということから、排気管やDPFの周辺など高温にさらされる部分からの自然発火が想像しやすいかと思われます。ただ、15分も経過してから自然発火するというのはやや考えにくいところもあり、室内の物や他の要因として、例えばバッテリーを備えた電子機器(ノートパソコンや携帯電話など)が発火した可能性なども考えられるかと思います」(同)
日頃の日常点検が事故を防ぐ
では、ガソリン車と比べて、ディーゼル車は出火のリスクが高いのか。
「前述のとおり、軽油がガソリンよりも自然発火しやすい特性であること、そしてDPFのように高温状態になる部品が備わっているという点では、ディーゼル車のほうが火災のリスクが高いと思われがちですが、ガソリンも揮発性が高いため、燃料漏れから火災につながっているケースも少なくはなく、必ずしもディーゼル車が危険だというわけでもありません。自動車は機械ですから、突然トラブルが起こることもありますし、猛暑の夏場には意外な落とし穴もあります。冷却系の不具合によるオーバーヒートからのエンジン異常発熱、下り坂でブレーキを使い過ぎたことによるフェード現象から落ち葉を拾い発火など、『自分の愛車が燃えるなんて……』と他人事のように思わず、日常点検を常に意識していただきたいと思います」(同)
保有する車が出火事故を起こさないためには、日頃からどのようなことに注意すべきなのか。
「これは注意しようにも難しい面が多いと思いますが、愛車の日常点検をもっと誰もが常に留意すべきではないかと思います。日本人はボンネットを開けたことのない人が多いともいわれており、愛車のコンディションやメンテナンスに無頓着な方がマジョリティなのかもしれません。走行前にパッと下回りを覗いて、何か漏れたりしていないか、普段と違うことがないか目視したり、エンジンをかけた時や走行中に異音や異臭、違和感がないかに気を払っていただくだけで構いません。また、駐車後に異臭がしないか(燃料の臭いがする、何かが焼けたような臭いがする、など)、下回りに何か漏れていないか、一目見るだけでもトラブルは意外と未然に防げたりするものです」(同)
(文=Business Journal編集部、協力=桑野将二郎/自動車ライター)
桑野将二郎/自動車ライター
1968年、大阪府生まれ。愛車遍歴は120台以上、そのうち新車はたったの2台というUカー・ジャンキー。中古車情報誌「カーセンサー」の編集デスクを務めた後、現在はヴィンテージカー雑誌を中心に寄稿。70~80年代の希少車を眺めながら珈琲が飲めるマニアックなガレージカフェを大阪に構えつつ、自動車雑誌のライター兼カメラマンとして西日本を中心に活動する。
NOWORK motor&cafe
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2023/08/post_358632.html
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参考文献・参考資料
燃えるEV、最善の消火方法は「何もしない」 (msn.com)
車のエンジン周辺から出火か 152台焼損 パチンコ店駐車場火災 [神奈川県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
マルハン:なぜディーゼル車は発火したのか…自然発火の可能性も、ガソリン車も注意 | ビジネスジャーナル (biz-journal.jp)
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