政治講座ⅴ1694「住宅ローン地獄の中国」
若年層の就職難、失業率増加、不動産バブル崩壊、住宅ローン地獄、このような状態で「耐久消費財の買い替え促進」策を謳う中国共産党は庶民の懐具合を考えたことがあるであろうか。先立つものは金である。一部の者に富が集中する中国社会ではこのような経済対策は無策に等しい。財布のひもが固く閉ざされていることに気が付かないのであろうか。「中国の夢」は空しく「幻」となる。ここで、共産主義の本領を発揮するには富裕層からの略奪(課税)であろう。これぞ習近平思想の「共同富裕」の実践であろう。
そのような、危惧を察知した富裕層は中国から逃げ出している。中国の消費経済が伸びるというのは幻想である。更なる貧困社会への地獄へ奈落の底へまっしぐらであろう。今回はそのような報道記事を紹介する。
蛇足:なぜ中国がこのような経済破綻状態に堕ちいったのかというと、旧ソ連も計画経済であったにも関わらず破綻した原因と同じである。市場経済原則を無視して過剰債務の上に過剰生産した結果である。そして、需要と供給の考え方で計画経済で間違いやすいところが「需要」の捉え方である。欲しいニューズがあることが需要であるが、市場経済では「有効需要」であることが重要なポイントである。では「有効需要」とは「金」などの支払い能力のある「需要」を有効需要という。支払い能力のない需要を基盤として供給の生産活動をがむしゃらに進めたのが中国共産党である。そして、歯車が逆回転し出したのである。
皇紀2684年3月18日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
焦点:増える中国の住宅ローン延滞、不動産・消費に一段の下方圧力
Liangping Gao Marius Zaharia によるストーリー
Liangping Gao Marius Zaharia
[北京/香港 13日 ロイター] - 中国南部の恵州市で金融関係の仕事を失ったレイ・ジャオユさん(38)は今、住宅ローンの返済が滞っており、取立人に追い回される境遇にある。避けられない破局を少しでも先延ばししようと、電話には一切出ないようにしている。
2022年終盤に失業し、130万元(18万1139ドル)で買った住宅のローンとクレジットカードの借金の返済ができなくなったレイさんは「私にとって唯一の家で、差し押さえされたくない。でも、何ができるのか」と途方に暮れる。
<今年1月の差し押さえ件数、前年比64%増>
7年前に家を購入したことを悔やみながら「私は自分の若さを無駄にしたような気がする」とつぶやいた。
レイさんのような状況に陥った人は、中国ではまだ少ない。だが、その数は急速に増え続けている。
背景には、不動産危機や地方政府の債務増大、デフレ懸念などに伴って経済全体が依然として部分的な回復にとどまり、足場がもろいことがある。
複数の専門家は、住宅ローン延滞件数の増加は不動産価格と消費者信頼感の双方にとって悪影響を及ぼしかねず、家計需要を促進して経済基盤をより強化しようという政府の努力に一層の冷や水を浴びせる恐れが出ている。
中国の民間不動産調査大手、中国指数研究院(チャイナ・インデックス・アカデミー)の分析では、23年に差し押さえられた物件数は前年比43%増の38万9000件。今年1月はさらに5万件以上が差し押さえとなり、前年比増加率は64.4%に達した。
華宝信託のエコノミスト、ニー・ウェン氏は、延滞と差し押さえ増加は消費を萎縮させているだけでなく、過剰な不動産投資は避けるべきという警鐘にもなっていると述べた。
レイさんも到底、消費などできる気分ではない。
昨年はライブ配信経由でさまざまな所有品を売って稼いだ合計額は約4万元。毎月の住宅ローン返済額の4200元に充てるには不十分で、毎日の基本的な生活費すらおぼつかない。
「私が着ているのは全て5年前の服だが、体重が増えたので、その多くはもう合わなくなってきている。友人からはお古のコートをもらった。旅行は17年以降、一度も行っていない」という。
レイさんにとって最も心苦しいのは、毎月3000元の年金で暮らす母親を支えてあげられないことだ。
<競売物件も増加>
中国指数研究院のデータからは、23年に9万9000件の差し押さえ物件が競売に付され、売却総額が1500億元だったことが分かる。
北京の差し押さえ専門会社幹部のデュアン・チェンロン氏は、これらの競売は2─3年前に発生した債務問題の結末なので、競売物件の増加ペースは今後、加速する公算が大きいとの見方を示した。
デュアン氏は「新型コロナウイルスのパンデミック後の経済環境は良好ではなく、失業などが原因で住宅ローンでは多くのデフォルト(債務不履行)が起きている。まだ、競売物件と返済がままならなくなっている資産の規模にはギャップがある」と指摘。将来的に競売が増えれば、通常の市場での買い手候補の目がそちらに向くことで、新築住宅や中古住宅の価格が圧迫されてもおかしくないと付け加えた。
一方、中国の幾つかの都市では、差し押さえ物件の競売が何度も不調に終わるケースも見られる。
河南省の駐馬店市出身のシングルマザー、シンさん(30)は、起業のため自宅マンションを担保に借金をしたものの、20年のロックダウンであっという間に廃業を強いられ、家を失った。
19年当時で31万元と評価された物件は過去1年間で2回、シンさんが銀行から借りている17万元で競売が行われたが、買い手は現れなかった。
シンさんは「誰が買うのか。同じマンションでほかに10戸以上も競売に出されているのに」とため息をついた。
中国、大規模な設備更新と消費財買い替えを推進へ-国務院が計画承認
3/1(金) 23:24配信
(ブルームバーグ): 中国国務院は李強首相が主宰する常務会議を1日に開き、大規模な設備更新と消費財の下取りを推進する計画を承認した。中国中央テレビ局(CCTV)が報じた。
自動車や家電製品を含む老朽化した消費財の更新や買い替えを加速させる狙い。建築や都市インフラ、交通運輸、農業、教育、医療などの分野で設備の更新を促進するため、財政と金融による支援を拡大する。
関連記事:
原題:China Approves Plan to Boost Consumer Products Upgrade: CCTV (1)(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
【中国】耐久消費財の買い替え促進、数兆元効果も
3/8(金) 11:31配信
中国の王文濤商務相は6日の会見で、2024年を「消費促進年」として、自動車や家電など耐久消費財の買い替えを促す方針を示した。家庭が保有する耐久消費財は膨大な量があり、買い替えによって数兆元(1元=約20.6円)規模の市場を生み出すとみている。 王氏によると、中国の車齢が15年を超える車両は700万台に上り、家電製品は平均して毎年約2億7,000万台が安全に使える使用年数を過ぎているという。 会見に同席した国家発展改革委員会(発改委)の鄭柵潔主任は、中国の自家用車の保有台数が23年末時点で3億3,600万台に達し、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど主要な白物家電の保有数は30億台を超えると指摘。買い替えによって数兆元規模の市場を生み出す可能性を秘めていると説明した。 王氏はサービス消費の拡大に向けた措置を複数打ち出すことにも触れた。
■巨額の設備更新需要
鄭氏は、工業、農業など重点分野の23年の設備投資が約4兆9,000億元で、設備更新需要も広がり続けていると指摘。
設備更新だけで年間5兆元以上の巨大な市場が今後形成されるとの見方を示した。
工業、農業、建設、交通、教育、文化・観光、医療の7分野の設備更新需要は巨大だと強調。工業分野では先端設備の需要が高まり、省エネ化や低炭素化、デジタル化、スマート化の流れが進んでいることも需要拡大につながると指摘した。
1日に開かれた国務院(中央政府)常務会議では、設備更新を促す措置と耐久消費財の買い替え促進策「以旧換新」を大規模に実施することを決定した。投資と消費の拡大を図る。
中国 「買い替え策」促進強調 GDP5%前後達成へ自信
2024/3/7 05:52
中国の国会にあたる全国人民代表大会の開催に合わせて、経済部門のトップらが合同で会見を開き、消費を拡大するため「買い替え策」を推し進めると強調しました。
中国 王文涛商務相 「買い替え策の促進は経済成長の力をつけて好転させる有力な措置で、質の高い発展のための長期的な対策だ」
王商務相は、買い替え策は習近平国家主席が提唱した重要な政策だと強調しました。
そのうえで、排出ガスの基準に満たない古い車が1600万台以上あり、安全に使用できる期間を超えた家電が、毎年およそ2億7000万台出てくるとして、買い替えの需要は大きいと主張しました。
また、国家発展改革委員会のトップは、5日に発表した「5.0%前後」のGDP成長率目標の達成について「様々な問題はあるが、目標を達成する自信も、能力も、条件も、底力もある」と強調しています。
習近平もお手上げ…34億人分の在庫を抱えた「中国のマンションバブル」の行き着く先電気も水もない「鬼城」の住人が急増
未完成の物件=鬼城に住む人が増えている
中国で“鬼城(グェイチョン)”と呼ばれるゴーストタウンが急増している。武漢市にある“江南世家”と呼ばれる高層マンション群では、建設がストップして未完成のままマンションが放置された。そのうち3分の2程度が売約済みといわれる。
マンション購入者の増加には、家賃の支払いと住宅ローンの返済負担から逃れるため未完成のマンション=鬼城に住む人が増えている。鬼城の住人の生活環境はかなり厳しい。鬼城問題は、共産党政権の主導で膨張した不動産バブルが、現在、崩壊の真っただ中にあることを意味する。
世の東西を問わず、バブルが崩壊すると経済全体でバランスシート調整と、不良債権処理が不可避になる。今後、不動産デベロッパーの資金繰りはさらに悪化し、未完成のまま中断される不動産開発案件が増えるだろう。鬼城はこれからも増える可能性が高い。
住宅の引き渡しなどをめぐる、不動産業者と購入者のトラブルも増加するなど鬼城問題は、さらに深刻化が予想される。それは共産党政権の求心力に、無視できないマイナスの影響を与えることになるはずだ。
100万人が住める巨大マンションを建てたが…
鬼城とは、不動産開発の行き詰まりによって未完成で放置されたり、入居者が集まらずに廃れたりしたマンション群や地域を指す。実際に必要とされる以上に供給され、買い手がつかない建物群が鬼城だ。いつから鬼城が増えたかは諸説ある。2010年ごろから鬼城問題は顕在化し始めたようだ。
有名な鬼城は、モンゴル自治区オルドス市の康巴什(カンバシ)新区だ。2000年代初め豊富な石炭埋蔵を背景に経済開発が急加速し、100万人の収容能力を持つカンバシ新区が造成された。地方政府は民間デベロッパーに土地(土地の利用権)を売却し、デベロッパーは大規模な住宅建設に乗り出した。それにより、中央政府が課した経済成長率などの目標を達成した。大規模なマンションには、転売目的の投資家が殺到した。マンションの供給量が全人口の2倍超に
一時、オルドス市の経済成長率は年率20%を超えた。高い成長が続くとの期待を根底に、“買うから上がる、上がるから買う”という強気心理が連鎖して、オルドス市の不動産バブルは膨張した。
転機となったのがリーマンショックの発生だ。共産党政権は4兆元(当時の邦貨換算額で57兆円程度)の経済対策を実施し、石炭生産が急増した。供給過剰によって石炭価格は急落し、オルドス市の不動産バブルははじけた。デベロッパーや不動産投機家は撤退し多くのマンションが未完成のまま放置された。2014年ごろ、100万人が住めるカンバシ新区の人口は10万人程度だった。
それは、中国で実際の需要を無視して過剰に不動産開発が増えた一つの例だ。カンバシ新区が鬼城化した後も、共産党政権は不動産投資を積み増して10%程度の高い成長率の実現を目指した。党の指揮の下で不動産価格は上昇し続けるという、根拠なき熱狂が経済全体を覆い、投資用マンションは過剰に供給された。2016年に国営新華社通信はマンション供給量が34億人分と、人口(約14億人)の2倍超に達したと報じた。
その後、2020年8月に“3つのレッドライン”が実施されて不動産デベロッパーの経営体力は急速に低下している。鬼城が増えるのは不可避の状況であり、不動産バブルは崩壊の真っただ中だ。
内装が施されておらず、電気がつかない部屋も
懸念されるのは、鬼城に住まざるを得ない人の増加だ。鬼城の住人は経済的にも、精神的にも窮状に陥っている。インターネットで鬼城を画像検索すると、その一端が垣間見られる。部屋は内装が施されていない。窓枠にはガラスがはめられていない。住人はコンクリートむき出しの床、壁と天井に囲まれ、無機質なコンクリート上に布団を敷いたり、テントを張ったりして生活をする。
水道や電気が引かれている鬼城もあるが、未完成の物件が多いために日常の生活を送るには困難が多いようだ。
まきや簡易コンロで暖をとって生活をする人もいる。照明は日光、もしくは懐中電灯というケースもある。衛星写真を見ると、団地と近隣の町をつなぐ道路など社会インフラが未整備な鬼城も多い。消防設備が整備されていない鬼城も多いようだ。余裕があれば家を借りて安心・安全な生活環境を確保することはできるだろう。しかし、実際には景気減速によって雇用・所得環境が悪化し、鬼城に住まざるを得ない人が増えているようだ。
借り入れができず、未完成で売却もできない
鬼城に住む人と不動産業者間のトラブルも増えている。住人の中には、不動産業者や地方政府にだまされたと考える者がいる。途中で建設がストップしたまま放置され、契約通りのマイホームを手に入れることができなかった。それにもかかわらず、ローンは返済しなければならない。マイホームを手に入れることは、多くの人にとって夢だ。だまされたという心理が強まるのは無理もない。建設から30年近く経過した鬼城もある。
住人は高齢化し、新しい物件購入の資金を追加で借りることは難しい。建設が終了していないため、その物件が自分の所有物であることを証明できず、売却を行うことも難しいようだ。断熱も、換気も、上下水道も未整備な住居での生活は過酷だが、家計の支出の抑制や風雨をしのぐために鬼城に住むしかないというのが彼らの本音だろう。倒壊が懸念されるほどに老朽化する鬼城も増えているようだ。
鬼城に住む人の窮状に共産党政権は危機感を強めている。鬼城問題の解決に向けて、共産党政権はオルドス市に有名進学校を強制的に移転させてマンション需要を喚起した。一部では鬼城に買い手がついたようだ。しかし、それは中国全体でのマンション供給過剰の是正には程遠い。
不動産バブルがいよいよ本格化する
今後、鬼城問題は深刻化する可能性が高い。伸び率は鈍化しているが、2021年12月の中国70都市の住宅価格は前年同月比で2.6%上昇した。中国全土で住宅価格の下落が鮮明化すれば、不動産市場では投げ売りが急増するはずだ。“売るから下がる、下がるから売る”という弱気心理が連鎖し、景況感は急速に悪化するだろう。
共産党政権は一部の融資規制を緩和したり追加利下げを行ったりして不動産市況の悪化を食い止めようと必死だ。習政権は地方政府に住宅購入や建設を支援するよう指示も出している。しかし、土地売却収入の減少によって財政状況の悪化や財政破綻に陥る地方政府は増えるだろう。不動産バブルの崩壊は本格化し、経済全体でのバランスシート調整と不良債権処理の推進は不可避になるだろう。中国共産党政権の失策の象徴である
その結果、鬼城はこれまでを上回るペースで増加する恐れがある。不動産市況の悪化は中国の雇用・所得環境の悪化に直結する。鬼城に住まざるを得なくなる人が急速に増える展開は否定できない。不動産業者や地方政府と鬼城化した物件の購入者のトラブルも増えるだろう。
すでに中国では、不動産業者が資金をかき集めるために重複販売を行ったり、販売用の物件を担保として銀行やシャドーバンクに差し入れたりしていたことが発覚している。鬼城の住民が不動産業者などにだまされたとして訴訟を起こすケースは増えるだろう。
鬼城問題の深刻化は、社会心理を悪化させ共産党の求心力低下につながる。窮状に陥る鬼城の住人や購入者の増加を食い止めるために、共産党政権はこれまで以上に民間企業への締めつけを強め、不動産業者は資産の切り売りを急ぐだろう。それは不動産市場の悪化に拍車をかけ、鬼城のさらなる増加につながる恐れがある。
共産党政権がセメントや鉄鋼生産、雇用を増やすために不動産投資を頼り、それによって経済成長率を人為的にかさ上げした代償は大きい。鬼城問題はその象徴だ。
参考文献・参考資料
焦点:増える中国の住宅ローン延滞、不動産・消費に一段の下方圧力 (msn.com)
中国、大規模な設備更新と消費財買い替えを推進へ-国務院が計画承認(Bloomberg) - Yahoo!ニュース
習近平もお手上げ…34億人分の在庫を抱えた「中国のマンションバブル」の行き着く先 電気も水もない「鬼城」の住人が急増 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
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