政治講座ⅴ1729「『カースト制度』はインドの発展の阻害要因」
既成の権利が発展を妨害する場合が往々にしてある。イギリスでは「ギルド」という各種の職業別組合などがあり、マニュファクチュアの発達によりギルドが崩壊する。そして産業革命と変貌するのである。日本ではその既成の権利を壊して武家社会(幕府)を破壊して、明治維新などの変革があった。それが産業の発展に寄与した良い例である。
中国大陸に目を向けると、非難があるが、中国共産党の毛沢東により中国の文化が破壊された文化大革命、などにより、既存の政治体制や悪い因習と言われる文化の破壊・否定が次の成長の土壌となった。中国の経済が開花するのは鄧小平の改革開放という種がその土壌に育ったからである。
今、中国は過剰建築と不動産投資バブル崩壊による経済破綻が取りざたされている。中国の経済没落の次の発展は人口14億人のインドと言われているが、インドにはその発展の要素があるのであろうか。ある専門家の、「カースト制度」が発展の妨げになるという主張がされている。
職業の選択の自由がないが、職業コミュニティとして機能し、社会保障制度が十分に確立されていないので、相互扶助として機能している。その習慣が人々の暮らしを支えているので、カースト制度がないと、日々の生活で路頭に迷うほどの社会秩序や経済に混乱を招くと言われている。これが、中国の人口を追い越したインドが中国を超えるほどの経済発展できない事情と要因である。
そこで今回は「カースト制度」についての報道記事を紹介する。
皇紀2684年4月13日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
カースト制度ってどんな制度? インドにおける身分制度の考え方【親子で世界を学ぶ】
カースト制度は人間社会における身分制度の象徴として、ニュースや小説、漫画などでもよく見聞きする言葉です。カースト制度の歴史は古く、世界史の授業で習った記憶がある人も多いでしょう。カースト制度の特徴や歴史、インドでの現状を解説します。
カースト制度とは
「カースト制度」とは、具体的にどのような制度なのでしょうか。カーストの名前の由来も、あわせて見ていきましょう。
インドの宗教に基づく身分制度
カースト制度は、インドの宗教「ヒンズー教」に基づいて、古くから社会に根付いている身分制度を指します。単純にいくつかの身分で階級分けするのではなく、「ヴァルナ」「ジャーティ」と呼ばれる二つの概念が存在するのが特徴です。
ヴァルナは、いわゆる身分のことで、四つの階級に分かれています。ジャーティは、血縁・職業などで結束された共同体を表す言葉です。インド全体で、2,000~3,000のジャーティがあるといわれています。
もともとカーストは、外部から持ち込まれた
カースト制度は、紀元前1500年頃に中央アジアからインドに進出したアーリア人が持ち込んだものです。先住民を征服する過程で、肌の色で差別したのが起源、とする説が有力です。
ただし、当時からカーストと呼ばれていたわけではありません。カーストの名称は、ポルトガル語の「カスタ(casta)」に由来します。
カスタとは、血統や人種を意味する言葉です。16世紀末に航海でインドを訪れたポルトガル人が、現地で目にした社会的な慣行を、自国語のカスタに当てはめたと伝わっています。
カースト制度における身分と歴史
カースト制度は、他の宗教や外国の介入を受けた時代もありましたが、基本的な内容は変わることなく長く続いています。各身分の詳細や、たどってきた歴史を見ていきましょう。
4つの身分と、カースト外の身分
カースト制度として、以下の4つの身分(ヴァルナ)があります。
●バラモン
●クシャトリア
●ヴァイシャ
●シュードラ
バラモンは、カーストの頂点にあり、宗教的な権威を持つ支配者層です。知識人が多く、大学教授などもたくさんいます。
クシャトリアは王族・貴族を指し、行政や司法を担ってきました。
ヴァイシャは、主に商業を生業(なりわい)とする市民階級で、身分は高くないものの高い経済力を持っています。
シュードラは、農業や製造業などに従事する、一般的な労働者階級です。
また、シュードラの下には「ダリット」という身分があります。
ダリットは、動物の加工や汚物処理などの仕事に就いていました。彼らは「不可触民」とも呼ばれる、他の身分の人が近付いてはならない存在であり、カーストには数えられません。
原点とされるのは「リグ・ヴェーダ」
カースト制度の原点は、ヒンズー教の聖典の一つ「リグ・ヴェーダ」にあるとされています。
「リグ・ヴェーダ」には、神に捧げる賛歌が書かれていて、その中の「プルシャ賛歌」にヴァルナを表現する記述があります。
プルシャとは、万物の元となる原人を意味する言葉です。神々が祭祀(さいし)のためにプルシャを殺したところ、
・口からバラモン(司祭)
・腕からクシャトリア(王侯・士族)
・腿(もも)からヴァイシャ(庶民)
・足からシュードラ(隷属民)が生まれたといいます。
他宗教とカースト制度
紀元前5世紀頃、カースト制度を否定する思想を持った宗教がいくつか生まれます。その代表的なものが、クシャトリア出身のゴータマが開いた「仏教」です。
15世紀末にはイスラム教が普及し、ヒンズー教と併存するようになります。このときもカースト制度を批判し、人々は平等であるとする思想や宗教が新しく生まれています。
ただし、いずれの思想や宗教も、インド社会とは相容(あいい)れず、ヒンズー教に基づくカースト制度が廃止されることはありませんでした。
イギリスによる植民地化時代
19世紀の中頃から、インドではイギリスによる植民地化が始まります。イギリスはこのとき、インド国内に存在する宗教的・身分的な対立関係を利用して分割統治を行いました。
宗教的対立とは、ヒンズー教とイスラム教のことです。身分的な対立は、異なる身分や不可触民との対立を指します。こうしたイギリスの政策が100年近く続いたために、カースト制度は従来よりも不合理で強固なものになったともいわれています。
カースト制度は、現在も残っている?
インドでは、現在もカースト制度が残っているのでしょうか。イギリスの支配から独立した後の様子を見ていきましょう。
カーストによる差別は禁止されている
1947年、インドはイギリスからの独立を果たし、1950年には憲法を制定します。憲法ではカーストに基づく差別の禁止と、不可触民制の廃止が規定されました。
ただし、憲法の規定は「差別をなくす」ことが目的で、カースト制度そのものは習慣として残っています。
下位の身分に対する差別も根強く、特に元不可触民は社会的にも経済的にも、大変厳しい状況に置かれているのが現状です。
なおインド政府は、元不可触民救済のため、大学入試や公務員採用に優先枠を設けるなどの対策をとっています。一方では、優先枠のおかげで上位カーストに属する人が希望する大学に入れないといった、逆差別問題も起きているようです。
インドにおいて、本当の意味で差別がなくなり、皆が「平等」を感じる時代はもう少し先になるかもしれません。
世界の制度や考え方に触れてみよう
身分制度自体は特に珍しいものではなく、かつての日本にもありました。しかし近代化を経て、日本を含む多くの国では「人は皆平等」とする考え方に変わっています。
一方で、インドのように特有の制度や考え方が根強く残っている国や地域もあります。
インドのカースト(制度)はなぜ無くならないのでしょうか?
カースト制度のメリット・デメリットはありますか?
なくならない理由は、職業コミュニティとして機能しているからです。
インドからカーストをなくしてしまうと、社会秩序や経済に混乱を招きます。カーストがあればこそのインド社会です。 法律においてもカーストによる差別は禁止されていますが、カーストそのものが禁止されている訳ではありません。 メリットはコミュニティ内、ないしはコミュニティ同士の相互扶助です。社会保障制度が十分に確立されていない分、その習慣が人々の暮らしを支えているところが大きい。
デメリットは人生を選べないことでしょうね。
生まれながらにして職業も、住む場所も付き合う人種も限定されます。自由恋愛による結婚も不可能ですし、コミュニティから出ると生きて行けませんので、夢は夢で終わるものと考える人々がほとんどです。 ゆえに人々は保守的な倫理観や価値観の殻を破ることが出来ず、社会変革がなかなか進まない元凶となっています。
参考文献・参考資料
カースト制度ってどんな制度? インドにおける身分制度の考え方【親子で世界を学ぶ】 | HugKum(はぐくむ) (sho.jp)
インドのカースト制度|歴史から差別の廃止に関わらず続く現在の状況まで | 世界雑学ノート (world-note.com)
インド貧困問題の原因は格差?貧困率や現状、私たちができる解決策を紹介|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン (worldvision.jp)
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