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政治講座ⅴ1721「強まる内・外の中国の監視体制と人質政策」

  権力が暴走すると今の独裁者、習近平政権のようになる。歴史は繰り返される。類似性のある政権といえばヒトラー率いるナチス党を思い出す。民主主義国家から独裁政権が生まれるのである。
さて、いまの中国に行きたがる者がいるのであろうか。
中国に入国したら出国できない事態が起きているのである。外国企業の幹部の「出国禁止」の措置が民事訴訟でも適用されて足止めを食らうようである。
中国から人材が逃げ出す。中国から投資資金も逃げ出す。これでも中国に行きたがる人がいるのであろうか。経済担当はアクセルをふかしているが、方や公安は恣意的にスパイで逮捕するなどで経済にブレーキを踏む。どこに行くのか中国共産党は。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年4月7日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司 

中国で「出国禁止」多発 外国企業幹部が足止め

Rebecca Feng によるストーリー

【香港】中国在住のある米国人企業幹部は6年前、米サンフランシスコに出張するため、いつも通り上海浦東空港を訪れた。出国手続きを始めた途端中国を離れてはいけないと告げられた。

何をしたかわかっているだろう」。
国境管理を担当する職員はこの幹部に告げた。別の空港でも出国を試みたが、同様の反応だった。

この幹部は以後ずっと中国に足止めされている
彼は出国禁止の対象者になっていた。中国の裁判所が用いるこの法的手段によって、多くの外国人企業幹部が中国国内に閉じ込められ大抵はいつ出国を許されるのか分からない状況だ。

出国禁止の大多数は、刑事告訴ではなく民事訴訟(通常はビジネス上のトラブル)に巻き込まれた人に適用されている。訴訟に対して個人的な責任がない外国人や係争が起きる何年も前にその会社を辞めた外国人でさえ出国禁止の対象となっている。

中国政府は、外国企業や実業家を呼び込もうと、ほほ笑み外交を仕掛けているさなかだ。昨年、外国企業に対して一連の家宅捜索や拘束が行われたことで、幹部が敬遠するようになり、同国でビジネスを行うリスクについて深刻な疑問が突きつけられている。

だが政府は、中国から出国できない可能性という、同国で働く外国人が直面する重大なリスクの一つにまだ対処していない

冒頭の企業幹部が経験したことはその典型例だ。彼は欧州企業の上海子会社の社長を務めていた。2016年、本社から上海拠点への送金が途絶え、月給が支払えなくなった。彼は中国国内で資金調達を試みたものの失敗した。従業員の多くが訴訟を起こし、少なくとも1人が裁判所にこの幹部の出国禁止を求めた

中国では長年、出国禁止が発令されてきた。銀行幹部や弁護士、企業経営者を巻き込んだ注目度の高い事案も起きている。だが出国禁止がどの程度広がっているかや、中国の裁判所がいかにささいなことでこの措置を命じているか、その詳細は謎に包まれている。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が数百万件の文書を含む裁判所のオンラインデータベースを検索したところ、外国人が出国禁止になった37件の事例が見つかった。弁護士らによると実際の数ははるかに多く、学術調査では150件余りの事例が確認されている。

裁判所のデータベースに掲載された事例では、支払いを滞納したり債務の返済期限を守れなかったりして出国を止められた複数の米国人や、ドイツ人の共同経営者と出資配分をめぐり意見が対立した台湾人の飲食店経営者、従業員に対する7000ドル(約100万円)の支払い義務が原因で数カ月出国できなかったイラン人実業家などがいる。WSJが取材を申し込んだ人々はコメントを控え、自らの経験を認めることすら拒否した。最終的に中国を出られた人々でさえそうだった。

中国で「出国禁止」多発 外国企業幹部が足止め© The Wall Street Journal 提供

ビジネス上のトラブルか

ハリー・クリフォード・ビラーズ氏は、完璧なタイミングで中国に移住したはずだった。

2001年に世界貿易機関(WTO)に正式に加盟した中国は、世界を相手にする貿易大国としての地歩を固め、数十年に及ぶ経済成長の時代に突入した。ビジネス向け交流サイト「リンクトイン」のプロフィルによると、ビラーズ氏は同年に中国に拠点を移した。

同氏が最終的に落ち着いた先は、オーブンや暖炉のメーカー「SureHeat Manufacturing Suzhou」だった。だが2014年にこの会社は倒産。その2年後、ビラーズ氏は出国禁止の身となった。

中国の法制度では、いかなる一般的な民事や商業上の紛争でも、原告は被告に対する出国禁止措置を裁判所に求められる。これは通常、評決が下された後の話だが、必ずしもそうとは限らない。被告が企業である場合、企業の法定代理人や責任者、上級管理職を対象として出国禁止を命じることもできる。

出国禁止の対象者は、全国データベースに名前が掲載され、全ての空港や駅で警察がそれをチェックする。本人が旅行や出張をして初めて出国禁止対象だと知るケースも多く、場合によっては足止めされる理由すら告げられない

中国で外国人が民事紛争に巻き込まれると、出国禁止によって力関係が変化し、一方の当事者が非常に強い立場となる。カリフォルニア州立工科大学サンルイスオビスポ校のジャック・ロードセン教授(商法・公共政策学)はそう指摘する。

業績好調な企業の幹部や多額の借金を抱える人物が出国禁止になることもある。この問題をよく知る複数の関係者によると、野村ホールディングスの香港拠点で中国投資銀行業務を統括する王仲何(チャールズ・ワン)氏は、昨年の出張後に中国本土を離れられなくなり、調査に協力していたという。米リスク助言会社クロールの幹部マイケル・チャン氏も昨年、中国本土からの出国を禁じられたとWSJは以前報じた。

高まる恐怖

出国禁止は、中国の法制度において企業と個人の責任がいかに混同され得るかを示している。ハリス・スリウォスキー法律事務所のパートナーで、国際法を専門とするダン・ハリス氏はそう指摘する。中国は有限責任会社として企業を運営することを認める一方で、出国禁止に関しては企業の責任がそのまま個人の責任とみなされる場合がある。

中国が出国禁止を発令することは、米外交官の頭痛の種となっており、米中間で対立している多数の問題に含まれる。だが米政府が出国禁止に異議を唱えるための選択肢は限られている。たとえ比較的わずかな借金で米市民が巻き込まれたとしても、だ。

基本的に何も手は打てない。出国禁止は中国では合法だからだ」とハリス氏は言う。「借金の額は問題ではない。非常に少額の場合もあり得る

在北京米国大使館は2017年、中国外務省に書簡を送り、米国人が出国禁止の対象となる事例が多数あることに懸念を表明した。情報公開法(FOIA)による請求に基づき2020年に公表された書簡のコピーで明らかになった。

米政府はFOIAによる請求に基づき、中国の出国禁止に関連する一部データを開示している。米国務省は在北京米大使館が提供した情報をもとに、2010~19年に30件の出国禁止事例があったことを明らかにした。

中国外務省はWSJに寄せた声明の中で、観光・ビジネス目的で訪れる全ての国々の市民を歓迎し、彼らの安全性および出入国の自由を含む正当な権利と利益を守ると述べた。

「それと同時に中国は法治国家であり、司法機関は事件を法律に厳密に従って処理し、民事裁判で係争中もしくは犯罪の疑いがある外国人の出国を制限する」とも述べた。

中国公安部と国家移民管理局は問い合わせに応じなかった

中国「秘密警察」が日本人にも接触。日本のカルト教団なども監視か

日刊SPA! の意見

 2024年2月21日、警視庁公安部は、中国人の女2人を書類送検した。容疑は、新型コロナウイルス給付金の不正受給だった(参照:産経新聞)。

 しかし、この2人の中国人女性は、東京・秋葉原で活動していたとされる中国の秘密警察の関係者だとみられている。

 しかも、うち1人は、自民党参議院議員の「中国人美女秘書」とされた人物であることから、今後、政界へ飛び火する可能性もあるのだ(参照:デイリー新潮)。

「日本は、スパイ疑惑では容易に逮捕できないので、別件で拘束・取り調べで、『秘密警察』なる組織の実態解明の入口にする狙いがある」と警視庁関係者は明かす。

◆中国秘密警察とはなにか?

中国・秘密警察と疑われる日本福州十邑社団連合総会は鎖の先の5階にあったとされる(空室)© 日刊SPA!

 そもそも、この中国の秘密警察なる組織は何をしているのか。

 2023年5月、警視庁が秋葉原の拠点とされる十邑会館を捜索したことで、中国が世界中に非公式で設置しているとされた闇の組織の存在が浮かび上がってきた。

 一般的に、秘密警察とは、その国や地域に長短期滞在する中国人を対象に、反中国共産党・反政府活動などを監視することが主な活動だと考えられる。

 他にも日本では、日本在住の中国人向けに運転免許の更新支援などを行っていたと報じられている。

 では、この組織が日本在住の中国人だけをターゲットに活動しているかと言えば、そうではない。実は、日本人も接触を受けていることがわかった。それが冒頭に登場した日本人男性だ。

◆中国秘密警察から接触された日本人男性

 現在でも秘密警察とみられる組織の人間から接触を受けるこの男性は、

・50代前半

・東京都内の商社経営者

・過去に遼寧省への駐在経験がある

・駐在中に中国人女性と結婚。子供(男児)が1人いる

・帰国後に転職し、新会社として設立されたグループ企業の社長に就任し現職という経歴を持つ人物だ。

 意外にも秘密警察からの初接触は、日本帰国後のことだったらしい。

 ある日、携帯電話へいきなり着信があり、「〇〇さんですよね?」と、日本語で名指しされたそうだ。この時、相手は、中国公安の人間だと名乗ったとのこと。

 男性は、とっさに「行動が監視されている…」と思ったそうだが、電話の男の言葉は丁寧で、物腰も柔らかかった。

 電話の男からは、「奥さんと息子さんの日本でのビザをスムーズに処理するサポートができる」と提案され、それに応じた。

 しかし、男性の妻と息子は、数年前には日本へ移住しており、すでにビザも取得し、問題なく生活していたので、サポートなんて不要だったはずだが、「断れなかった」と受けたようだ。

 以降、男性には、中国公安を名乗る男から定期的に連絡が入るようになる。

◆秘密警察が警戒する中国政府がカルト指定する宗教団体

 接触してくる中国公安を名乗る人物からは、業界情報、日本人・中国人の知人について。さらには、中国政府が名指しで邪教(カルト)認定する特定の新興宗教の活動実態なども聞かれているようだ。

 中国政府は、官製の反邪教協会を通して、日本や韓国の特定の宗教への警戒を国民へ繰り返し呼びかけている。

 中国では、認められた宗教施設内に限り宗教活動ができる。

 宗教活動が公認されているのは、カトリック、プロテスタント、イスラム教、仏教、道教の5つの宗教・宗派に限られる。

 これら以外、つまり、日本で新興宗教と呼ばれる宗教は原則禁教となる。その中でも、反邪教協会がカルトとして名指しする新興宗教は、中国政府による取り締まり対象、拘束理由とされるとみて良い。

 日本で暗躍する秘密警察は、中国政府が名指しするカルト教団についても調べていることがわかってきたわけだ。

◆メインの活動は、在日中国人の監視

 東京だけでも複数の拠点があると推察される中国の秘密警察。もっともメインの活動は、在日中国人の監視だろう。

 東京在住の中国人たちと話をしていると、こんな話も耳にする。

「靖国神社へ行ってみたいです。本当に中国政府が言っているような場所か自分の目で確かめてみたいんですよね」という中国人男性がいたので、いつでも案内できると伝えると、怖くて行けないと言う男性。

 その理由は、東京・九段下には、中国公安の施設があって常時監視しているから。万が一、映像とかに映り込んでしまったら、中国にいる家族や友人たちが危ないと心配する。

 同じような話を別の中国人実業家からも聞いた。
靖国神社境内にある監視カメラのうち数台は、中国政府が設置したもので、監視していると。もちろん、これらはうわさに過ぎない。

 しかし、彼らはそのうわさを信じて行動を制御していた。直接命じたわけではないが、空気を察して従うという「反射統制」というやつだ

 もしかすると、中国当局が意図的にそのようなうわさを流布させて、反射統制に利用している可能性も考えられる。
東京近郊で会社を経営する経営者なら、誰もが訪れる機会があるであろう東京法務局は、靖国神社のすぐ近くにある。ある中国人経営者は、「中国政府に勘違いされたら嫌だから」と、遠回りしたり、タクシーで乗り付けたりして、うわさの監視を警戒している。日本へ移住した中国人も色々と大変そうだ。

<取材・文・写真/我妻伊都 X ID:@ito_wagatsuma>

【我妻伊都】

東京生まれ。20代後半に駐在として中国へ。駐在、現地採用、留学生を経てフリーに。2011年編集者、ライターデビュー。現在は、13年ほどの拠点にした中国から日本へ移し活動中。中国を除けば渡タイ回数が一番多い。掲載メディアは『ハーバー・ビジネス・オンライン』、『日刊SPA!』、『グローバルニュースアジア』、『日本と中国』、『週刊SPA!』、『別冊SPA!』、『ニューズウィーク日本語版』、『ローリングストーンジャパン』、『G-Diary』、『俺の旅』など。その他、日中関連の媒体、研究団体機関紙。twitter:@ito_wagatsuma


香港民主化の女神、周庭さん「逮捕・収監で何をされたのか」恐怖の日々を明かす

周庭(アグネス・チョウ)

 一国二制度のもと、司法の独立や言論の自由などが認められていた香港。その自由を守るために闘い、「民主化の女神」と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ)のトロント留学と“事実上の亡命”が大きな話題を呼んでいる。
 ’14年の雨傘運動、’19年の民主化デモで香港の問題を世界に訴え続けた彼女は、’19年8月にデモを扇動した容疑で逮捕され、’20年12月に収監。その裁判のさなかの’20年8月には、民主化運動を潰すために中国政府が施行させた「国家安全維持法」(国安法)違反容疑でも逮捕された。
 以降3年間、口をつぐんできた彼女はなぜ再び表舞台に出てきたのか? 周庭の肉声を届ける。
――なぜ突然「香港に戻らない」と宣言したのか?
周庭:まずは香港の現状を知ってもらいたいと思ったから。中国政府の意向を受けて’20年に施行された国安法により香港では自由に発言することもできなくなった。民主化を求めるだけで、国や政権を転覆させる行為と見なされ、逮捕される。この国安法でたくさんの香港人が今も苦しめられているのに、3年がたって香港は世界のスポットライトを浴びなくなってしまった。だから、もう一度、香港に目を向けてほしいと。
――逮捕・収監されてからの3年間はどう過ごしていたのか?
周庭:刑務所では朝から晩まで囚人服を作る作業をさせられ、人と話すことはほとんどできず、不安障害とPTSDを発症してしまいました。服役中から薬を飲むようになり、出所後にはパニック障害も出て、うつ病にもなった。刑務所から出て一瞬ホッとしたんですけど、またいつ警察が自宅に踏み込んでくるかわからないと想像すると怖くて……。いつまでたっても“周庭としての日常”を取り戻せなかった。
――トロントに着いてからは、不安は完全に解消された?
周庭:そうとも言えません。12月28日には香港に戻って警察に出頭しなければならなかったので、10月には香港行きの航空券を予約していました。でも、香港に帰ったらトロントに戻れなくなるのでは?と感じて怖くなった。こっちに来てからも2回、国安警察から連絡がありましたし。
――どんな内容の連絡?
周庭:1回目はトロントについてすぐに「無事、到着できたか?」という確認の連絡。2回目は「“黄色い人”からは連絡があったか?」という電話でした。黄色い人は民主活動家を指す隠語です。民主化という言葉を使いたくないから、国安警察も「黄色い人」と表現する。
――民主活動家の動きを探らせようとしていたということ? 周庭:国安警察が私のトロント留学を認めた理由は2つあると思っています。海外での情報収集とプロパガンダです。プロパガンダは、私が「香港に帰らない」と宣言した翌日のテレビ番組に象徴されています。’19年のデモに参加して逮捕・収監されていた人が香港のテレビに出演して、「私は扇動されて社会運動に参加したことを後悔しています」と話したんです。香港に戻ったら、私も「かつての社会運動家は自由を取り戻し、中国人民の一人としてトロント留学を果たした」とプロパガンダに利用されたでしょう。
――だから帰らないと決めた。
周庭:帰ったら、今度は「中国に行って共産党幹部に会え」などと要求をエスカレートさせる可能性がある。そんな更生プログラムは法律に一切書かれていないのに。このままだと私は愛国者としての階段を上り続けたと思う。’23年7月には習近平政権に認められた人しか区議会選挙に立候補できないと変更され、香港警察は海外亡命した民主活動家に1800万円もの懸賞金をかけて指名手配しました。「中国は法治国家だ」と言いながら、法と制度を政治的道具として使い続けている。

※12/26発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【この記事の完全版はこちら】⇒https://nikkan-spa.jp/1968620

周庭 Agnes Chow 1996年、香港生まれ。’14年の雨傘運動、’19年の民主化デモでスポークスパーソンとして活躍。’18年には立法議員補欠選挙に出馬するも、その主張が香港基本法に違反するとして排除された。’20年に逮捕・収監されたが、’23年9月にトロント留学を果たし、再び言論の自由を手に 取材・文/倉田明子 池垣 完(本誌) 撮影/初沢亜利

参考文献・参考資料

中国で「出国禁止」多発 外国企業幹部が足止め (msn.com)

中国「秘密警察」が日本人にも接触。日本のカルト教団なども監視か (msn.com)

香港民主化の女神、周庭さん「逮捕・収監で何をされたのか」恐怖の日々を明かす | 日刊SPA! (nikkan-spa.jp)

ウイグル人大量虐殺 - Wikipedia

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