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やさしい物理講座ⅴ104「重力エネルギーによる核融合と反重力」

 核融合は商業的に採算ベースに乗りそうもない。寧ろ、核分裂によるエネルギーを活用の方が採算ベースに乗る。
 自然界では核融合の例としては太陽であるが、太陽での核融合は太陽ほどの強い重力という強い力に閉じ込められた環境で、しかも、重力による数億度以上の高温のプラズマ状態の環境で作り出される。
今回は核融合と重力と反重力についての報道記事を紹介する。

     皇紀2684年7月16日
     さいたま市桜区
     理論物理研究者 田村 司

誰でも分かる核融合のしくみ | どのようにすれば核融合反応を起こすことができるの?

掲載日:2021年10月1日更新

どのようにすれば核融合反応を起こすことができるの?

核融合反応は、2つの原子核どうしを衝突させて融合するものです。

原子核は両方とも正の電荷を持っているため、早いスピードでぶつけないと正の電荷どうしの反発力で衝突しません

衝突させるために必要なスピードは、毎秒1千km以上です。

このスピードは重水素(D)と三重水素(T)を1億度以上の温度に加熱することにより得られます。

このような高温では、DとTはプラズマという状態になっています。

1回の核融合反応が起こっても、その結果出てくるエネルギーが次の核融合反応を起こすために他の原子核を1億度以上に加熱するのに使われなければ、核融合反応は連続的に起こりません。

そのためには、核融合の燃料である原子核を「たくさん(高い密度で)」、「長い時間」一定の領域に閉じ込めておくことにより、核融合反応を連続して起こすことができます。




正電荷どうしの反発力に打ち勝って衝突するには 1000km/秒のスピードが必要

なぜ核融合エネルギーなの?

核融合を地上で実現できれば、人類は恒久的なエネルギー資源を手に入れることになります。

DT燃料だけをとっても、Tの原料となるリチウムを海水中から回収すると一千万年以上の資源量があると計算されています。

核融合に必要な燃料の資源は、地球上に偏在することなく、豊富に存在します。

また、核融合反応は二酸化炭素や窒素酸化物などを放出することがないため、地球温暖化や酸性雨を引き起こしません。

DT核融合反応の結果生まれる中性子によって装置の一部が放射能を帯びますが、それは百年程度で百万分の一以下に弱まるので、環境に与える影響を低くできます。

プラズマって何?

温度の上昇とともに物質の状態は一般に固体から、液体、気体へと変化してゆきます。

さらに高温では、原子核のまわりを廻っている電子がはぎとられて原子は正の電荷を持つイオンと負の電荷を持つ電子に分かれてイオン化といいます)、両者が高速で不規則に運動している状態になります。

この状態をプラズマといいます。

核融合では、温度が数億度に及ぶ超高温プラズマが対象となります。

プラズマは雷やオーロラなど自然界に広く存在しますが、身近な例としては蛍光灯などの希薄な気体中の放電によって作られるプラズマがあります。


水の4態



未来のエネルギー源となるか。核融合のための国際実験炉が完成

mayumine によるストーリー

トカマク(国際熱核実験炉)の3Dレンダリングイメージ Image: Shutterstock© ギズモード・ジャパン 提供

20年越しです。

ついに国際熱核融合エネルギープロジェクトの巨大なトロイダル磁石の設計と納品が完了しました。

ITER(イーター)とは、核融合がエネルギー源として実現可能かどうかをテストするためのトカマク(国際熱核実験炉)を建設するための35カ国の共同プロジェクトですが、そのITERのリリースによると、19個のコイルは現在南フランスにあり、この巨大な核融合プロジェクトが、最初のプラズマを生成するための準備が整いました。トカマクは、核融合の反応によって燃料供給される燃焼プラズマを保持するためにトーラス型(ドーナツ型)形状をしています。

トカマクってなに?

核融合2つ以上の原子の軽い原子核が結合して単一の原子核を形成し、その過程で大量のエネルギーを放出する反応です。重い原子核を分裂させることで、エネルギーと放射性廃棄物を生成する核分裂とは違うものです。核融合は自然界で発生し、星をも動かす反応ですが、地球上では自然には起こりません。

しかし、現在の物理学者やエンジニアたちはトカマクやレーザーを設計して、ラボの中で核融合の実験を行なうことができます。難しいのは触媒作用に必要なエネルギーよりも、多くのエネルギーを生成する核融合反応を促進することですが、理論上はこれにより無限のエネルギーを生み出すことが可能です。

トカマクは、ドーナツ型真空容器の周りに配置された超伝導コイルによる磁場と、プラズマ中に流れる電流との作用によりプラズマを閉じ込めます。ITERのトロイダルフィールドコイル(実験用の磁石)は、摂氏-269度まで冷却され、超電導状態になります。この高さ17mのコイルでは、プラズマがドーナツ型の容器の周りに巻き付けられ、真空容器内の核融合を制御できるようになります。


20240707_reacter2© ギズモード・ジャパン 提供

ITERでは、最大規模のトカマクで、110トンの6つの磁石モジュールから成る中心ソレノイドコイルを備えています。トカマク全体の重さは2万3000トンにもなり、その磁石は地球全体が生成する磁場の約30万倍の強力な磁場を生成します。

プラズマは摂氏1億5000万度太陽中心部の10倍もの暑さになります。ITERは、来年に初のプラズマ生成を予定していて、初の核融合反応は2035年を予定しています。

ITERは40年前から始まっているが

遡ること1985年、ゴルバチョフとロナルド・レーガンによって提唱されたITERプロジェクトは、2005年に初めて正式に設置場所が決定。そこから約20年が経ちますが、未だにトカマクでの実験は行なわれていませんScientific Americanによれば、ITERのコストは当初の予算の4倍に膨れ上がり、プロジェクトの総費用は推定で220億ドル(約3兆5300億円)を超えるとか。これには技術的な欠陥やコロナも影響しています。

不都合な真実として、核融合をエネルギー源として利用できるようになるのは、50年先のことだと言われています。それは常に今日の技術を超えたところにあり、まるで手に入れられない元恋人のように「今回も違った」といつも言われ続けています。ITERは核融合の技術的実現可能性を証明することを目的としていますが、経済的な実現可能性は含まれていません。これは別の大きな課題で、核融合を実現可能なエネルギー源にするだけでなく、電力網にとって経済的に実行可能であることが必要です。

核融合はエネルギー物理学の聖杯と言われています。化石燃料への依存の脱却できる手段として大きな期待を背負っていますが、今すぐ気候変動の特効薬になるものではありません。もちろん核融合に期待すべきですし、悲観的になる必要はありませんが、まだまだ時間を要するものですね。

「反重力」存在せず 国際チームが証明

2023/9/28 08:52

反重力が存在しないことを証明した国際研究チームの実験装置(欧州合同原子核研究所提供)

重力と反対方向に働く「反重力」は存在しないことをカナダや欧米などの国際研究チームが実験で突き止め、英科学誌ネイチャーに論文が28日掲載された。反重力は50年以上前から物理学やSFで存在の可能性が議論されてきたが、精密な実験によって存在しないことを初めて証明した。

身の回りにある普通の物質を空中に置くと、地球の重力によって落下する。だが普通の物質と電気的な性質が反対の「反物質」は、普通の物質と反発する反重力によって地球から離れ、上昇する可能性が一部で指摘されていた。

これを確かめるため研究チームは、欧州合同原子核研究所(CERN)で縦型の筒状装置を開発。磁気を利用して、水素の反物質である「反水素」の原子を内部に約100個閉じ込めた後、筒の上下を開放し、反水素が上昇するのか、落下するのかを調べた

その結果、反水素は普通の物質と同じように、重力によって落下することが確認され、反重力の存在を否定するアインシュタインの一般相対性理論の正しさを裏付けた。

研究チームのカナダ国立TRIUMF研究所の藤原真琴上席研究員は「反物質が落下する際の重力加速度は普通の物質と厳密に同じかどうか、今後の実験で検証したい」と話す。

反重力は宇宙の進化に関係しているとの学説があったほか、SFでは地球から離れる力をロケットや空中に浮かぶ都市などに利用するアイデアが出ていた。


参考文献・参考資料

未来のエネルギー源となるか。核融合のための国際実験炉が完成 (msn.com)

核融合反応 - Wikipedia

基本相互作用 - Wikipedia

「反重力」存在せず 国際チームが証明 - 産経ニュース (sankei.com)

誰でも分かる核融合のしくみ | どのようにすれば核融合反応を起こすことができるの? - 量子科学技術研究開発機構 (qst.go.jp)

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