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『公園物語』 その13

冬の入り口に立った公園は静かだった。

もう砂場にも、公園にも、あんまり草は生えていない。
砂場で大きめの山を作ってその上に座って空を見る。

その時、フェンスの奥の山の中で、影がサササッと動いた。

「ぬぬ?!」
なんだあれは?
バッと立ち上がって、ダッと駆けていって、ソローっと覗いてみる。

そこには素晴らしい「家」があった。

秘密基地だ、、、!
落ちていた木が丁寧に組み合わされている。
そのクオリティに驚いた。

その「部屋」から出てきた少年に声をかけた。
「これすごいなー!」
驚く少年。でも嬉しそう。
「これ、どうやったん? ちゃんと設計したん?」
コクリ、とうなずく少年。
「ぬおー! すげえ!」

設計者であるその少年と仲間たちは、合わせて10人もいた。
その部屋からワラワラと出てきたのだ。

そのメンバーで協力して作り上げたのだという。
僕はそれを絶賛した。

帰って妻にも話した。
興奮そのままに、その詳細を話した。
嬉しかった。
作り上げたことを、本気で尊敬した。
公園で遊ぶことに本気なやつらは、みんな仲間だ。

数日後、妻にも見せてやりたいと、再びその秘密基地を見に行った。
すると、なんとグチャグチャに壊されていたのだ。

なんで、、、

そこにあの設計した少年がいた。
「これ、、、なにがあったん、、、?」
「壊された。」
そう言って去っていった。

後で他の小学生に話を聞くと、違う学年同士で争いがあるらしい。
どっちの木材を盗っただ盗らないだというので、睨み合っているらしい。
今回のことも、それが関係しているのだろうと。
なんだそれ、、、

そんな小さなところにも、争いはあるのだ。
どっちが悪いではない。
ただ争いがあり、破壊があった。

なににせよ、あの秘密基地が壊れたことが、僕は悲しい。

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