名探偵左京'24GW倒叙SP✢第3夜「ひと目でいいから」
■見どころ
▼倒叙ミステリーを3夜連続で放送するゴールデンウィーク特番。
▼最終夜のゲスト・長澤まさみが、全盲の社会学者・滝みほりを演じる。
■あらすじ
滝みほり(長澤まさみ)は真っ暗な部屋でテレビ画面を聞いている。みほりは全盲の社会学者だ。テレビから聞こえるのは、彼女のパートナーの戸塚力(新納慎也)の声だった。
「僕のパートナー・滝みほりさんのような視覚障害をお持ちの方々が住みよい社会になる。いま、投資している会社はそんな技術を持っています。社会起業家と聞くと、いったいどんな仕事をしているんだ?と訝しがられますが、ひとことで言うと、社会の役に立つ技術を開発している会社に投資をする。それが僕の仕事です」みほりは彼の声ー立派な話ーを聴きながら、こぶしを硬くしていた。
先日、戸塚が会社の役員と話す会話を聞いてしまったのだ。「みほりはいい広告塔だ。俺がこれから成功するために必要なピースだ」戸塚はそんなことを放言していた。その日、みほりは戸塚を殺害することを決めた。
テレビを消したみほりは、戸塚が自宅でだけ吸う煙草のフィルターに毒物を仕込んだ。毒物はフリーメールを利用し、ネットで購入していた。そして、煙草を戸塚の書斎に置き、戸塚の帰りを待った。帰宅後、戸塚は書斎に直行し、煙草をふかした。と同時に、咳込みむせている…。みほりはその声を隣の部屋で聴いている。戸塚の声が聞こえなくなったのを見計らい、みほりは書斎におそるおそる入った。とその時、「みほり!ただいま」と戸塚の声が書斎に響き渡った…。戸塚は死んでいなかったのだ。「この煙草、変な味がするんだよ…むせちゃったよ…」と戸塚は、生きている…。
と、そこにみほりのスマホが鳴り響いた。スマホの着信設定から、それが助手で大学院生の手越光(板垣李光人)だとみほりはわかった。「明日、朝から相談があります。お時間頂戴できますか?」と問われ、「わかりました。では、1限目の前に研究室で会いましょう」そう言って、みほりは電話を切った。
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翌朝、みほりは手越からおもわぬ話を持ちかけられる。「みほり先生、手伝わせてください」そう言って、手越はみほりがネットで購入していた毒物をみほりに手渡した。「すり替えたのはあなただったのね?」すべてを悟ったみほりは、応えた。
手越はみほりに好意を抱いていた。彼女の精神力、研究力の高さ、そして、美貌に惹かれていた。みほりを心から愛していたのだ。そして、みほりもそれに気づいていた。「もしかしたら、手越が協力してくれたら、わたしの願いが叶うかもしれない…」そう思ったみほりは、「手越くん、ひとつだけお願いがあります」そう言って、手越の提案に乗ることにした。
その夜、仕事を終えたみほりは、戸塚の自宅に帰宅し、毒物をフィルターに仕込んだ例の煙草を書斎に忍ばせた。夜遅くに帰宅した戸塚は、いつものように煙草をふかした。そて、悶絶し、絶命した…。みほりは書斎に入り、声を掛けた。いくら呼んでも応答しないことを確認し、手越に連絡し、家に呼び寄せた。みほりは煙草を回収した。手越は「では、始めますね、先生」と呟いた。
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翌朝、みほりは第一発見車を装い、警察に通報した。担当になった世田谷警部(橋本じゅん)は、現場に左京を招集。「こちら、第一発見者の滝みほりさん。もう一度、発見当時のことをお聞かせ願いますか?」と警部に促され、みほりは「朝起きて、いつもならばキッチンに戸塚さんはいるんですがいなかったため、1時間ほどいつも通り生活していたのですが、私の出勤の時間になってもキッチンに姿を現さなかったので、書斎に入りました。すると、彼が倒れていたんです。呼びかけても応答しなかったため、警察に通報したんです」と応えた。
「なるほど…。朝から大変でしたね?職場にはお電話なさいましたか?その、休まれる旨のお電話を?」と左京。「あ、そうでした。忘れていました。やはり気が動転しているみたいです…」と言いながらみほりは、電話するため書斎を出て行った。
「警部、どう思われます?」と左京。「彼女の膝、ご覧になりました?えらくホコリで汚れていました。ああいう汚れはどうやったら付くのか?おそらく膝をついて前に進んだんでしょう。では、なぜ、そんな行為に出なければならなかったのか?おそらく、書斎のどこかに戸塚さんが倒れていることを知っていたからでしょう。また、同居人が倒れていたら、普通は救急に電話するでしょう?しかし、彼女が電話したのは警察でした。さらに、職場に休む旨を電話すらしていない。なぜか?おそらく職場に共犯者がいるからかと…。つまり、彼女は要注意人物だと思いますよ、警部」と左京は頭の中を一気に話した。いつものように目を丸くして驚く警部をよそに、左京は戸塚の顔に付着している白い物質を発見し、鑑識に分析を依頼していた。
職場への電話を終えたみほりに「どなたにお電話を?」と聞く左京。みほりは「手越光さんという助手です」と応えた。「警部、行きましょう」と左京は現場を後にした。
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左京と警部が向かったのは、大蔵大学の滝研究室。左京は、共犯者が手越だと睨んでいる。「最後にみほりさんに連絡なさったのはいつですか?」と唐突に左京は聞いた。「先ほど、先生から休みの連絡を頂いたときです」と手越。「出勤が遅れているのにあなたから連絡はなさらなかった?もしかして、今日はみほり先生がいらっしゃらないことをご存知だったとか?」と左京。手越は「どういう意味ですか?」とムッとして聞き返したが、左京は無視し「みほり先生に連絡せずに、授業の休止を学生たちになさったんですね?」そう言って、研究室を出ていった。
盲目の殺人者・みほりと、彼女を献身する男・手越の犯罪を左京は、暴けるのか?
そして、みほりが手越に託した願いとは?
■ゲスト
▼滝みほり…長澤まさみ
全盲の社会学者。大蔵大学社会学部教授。
▼戸塚力…新納慎也
社会起業家。みほりのパートナー。
▼手越光…板垣李光人
みほりの助手・大学院生。
▼櫻木姉妹…はな(猫背椿)・みどり(池津祥子)
戸塚のマンションの不動産屋。
■事件の真相
▼戸塚の顔に残っていた白い粉は、石膏だった。手越は、犯行の夜、戸塚のデスマスクを作るため、戸塚宅を訪れていた。それは、「ひと目でいいから苦しんだ顔を見たい」とみほりに頼まれたためだった。苦悶の表情をみほりの指で感じることができるため、デスマスクを作成した。
▼デスマスクの存在に左京が気付いたため、みほりはデスマスクを廃棄した。
▼しかし、戸塚の顔に付着していたデスマスクの白い粉と同じ成分がみほりの爪から検出され、犯行への関与が証明される。そして、手越も自供する。
■妄想放送日
2024年5月5日(日)21時〜22時54分
※通算47話