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#38 目標を設定しない=アジャイルの過ち②

札幌でちいさな貿易商社を経営している、ケニー(tsujikenzo)です。noteでは、Tweet以上、技術ブログ未満の、アウトプットを行っています。

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シリーズで「業務効率化の向こう側にあったもの」をお届けしています。第5回目のテーマは、「目標を設定しない=アジャイルの過ち②後編」です。

前回は、組織における「目標」に対するリテラシーの低さが引き起こす、「行動を起こすことが美学」という陥りやすい非効率な働き方について、石を投げてみました。大好きなPinoを食べていて思いついたことです。

「では、どのように解決したらいいのか」を説明するために、解決策と思われている誤解に触れたいと思います。


その名は「アジャイル」

2024年いま、プログラミングや業務効率化のツール作成に、誰でも気軽に取り組めるようになりました。時代背景としては、「ソフトウェアが世界を飲み込む※1」や「Citizen Developer(市民開発者)がめっちゃ増えてITエンジニア不足を解消する※2」と言われてきた感じです。

※1・・・マーク・アンドリーセン(ネスケの創設者)により2011年に書かれためっちゃ有名な論文。Netscape社についてはJavaScriptとECMAScriptの歴史を学んでいたときの印象が強いです。
※2・・・こちらも外せないガートナー(IT分野の研究機関)による2020年頃のレポート。試験に出ます(なんの)。

文系のわたしでも(差別的な発言です)プログラミングにのめり込んだように、ソフトウェア開発の経験などがない人でも、あらかじめ用意された環境で、すぐに動かせるツールが作れる時代になりました。

すると次第に、以下のような流れがおきます。

  • 社内に効率化できる業務はないか徹底的に調査しよう!

  • 社内でツールを開発する専門チーム(本職のSEは不在)を作ろう!

  • アジャイルで行こう!

あなたいま、アジャイルって言いました?アジャイルのこと「どうなるかわからないけど、とりあえず発進してみよう!」って意味で言いませんでした?「とりあえず発進したら解決したと思える行動を取ったと言えるかもしれないから」ではないですか?

これは、わたし自身が歩んできた道です。業務効率化の次に求められることは「ソフトウェア開発の上澄みを、組織マネジメントに当てはめて、とりあえずやってみること」いうのは過ちでした。チームのみんなごめんなさい🙇‍♂️

「アジャイル」を魔改造する日本文化

アジャイルの語源は、Agility(アジリティ)迅速さ、機敏さ、などです。これを魔改造が好きな日本は、「変更容易性」や「柔軟性と変化への対応」ばかりにフォーカスを当て、いつの間にか「要件が定まらないけど動き出そう」とか「目標は行動してから決めよう」のようにとらえられた説があります。(Kenny調べ)

アジャイルはあくまで、顧客(ステークホルダー)の要求が変化するものという大前提のもと、顧客と一緒に課題解決に取り組み、プロジェクトの初期段階で最終目標(もしくはプロセスやスコープについて)を固定せず、柔軟に変更・調整していこうという取り組みです。

これは、最終目標が全くないわけではありません。通常は製品やサービスのビジョンや、達成したい価値などの大まかな目標は設定されています。アジャイルにおいては「完全に最終目標が定まっていない」というよりは、「最終目標は大まかには存在するが、詳細は絶えず見直しと調整が行われる」と捉えるのが適切です。

つまり、「目標は定まっていないが行動に移そう」という考え方は、「うちらは柔軟性を大事にしてるよね」という、効率が悪く生産性の向上しない働き方を正当化してしまう危険をはらんでいるのです。

目標とはなんなのか

目標とは、目的を達成するためのマイルストーンです。目的とは、会社や組織がどうなりたいのか、あるべき姿の方向性を示したものです。組織が存在しているあいだ、わたしたちが生きている間は、目的の終わりはありません。

つまり「目標は定まっていないが行動に移そう」というのは、「目的がない」のと同じことであり、「まぁ、状況を見極めて目標を決めよう」ということは、あり得ないことなのです。

施策レベルでいくと、「どうなるか分からないので、やってみよう」というのは、A/Bテスト※3をするような場面です。

※3・・・ユーザーを2つのグループ(A群とB群)に分け、それぞれに異なる版のページやフィーチャーを提供し、どちらがより良い結果(コンバージョン率の向上など)を生むかを検証する手法

われわれのような中小企業にとって、「どうなるか分からない」という状況は、ただ市場調査や基本情報のスキャンが不足しているだけでしょう。必要な情報やエビデンスにあなたがリーチできていないだけであって、行動を写すことの美学で無知(必要な情報にリーチできていない状況)を正当化してはなりません。

長くなりました。では、どうしたらいいかと言うと、2つの数値目標の違いを整理することです。

  1. 営業実績数値目標

  2. 営業戦略数値目標

次回、お楽しみに。

追記・・・「戦略プランニング」という文脈において、「計画派」と「学習派」という2つの考え方があり、「まずは行動を起こし、そこから戦略は創発的に浮かび上がってくる」という手法もあります。「ダブル・ループ学習」というやつです。またいつか取り上げます。

参考資料


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