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ご苦労さん!!100年企業を支えるヒト・モノたち 汎用彫刻機

こんにちは!SNSチームのカタヨセです!
最近ではいつでもSNSネタを探しています。
向かいの社屋、応接の窓そんなとこにあるはずもないのに。

などと嘯きながらアコースティックギターを持って(嘘)社屋をとぼとぼと歩いていた私にふと天啓が降りてきました。
何も新しいことばかり取り上げなくてもいいんじゃないか?

そうなんです、弊社ツジカワは2021年に創業100周年を迎えた立派な100年企業。そして今年(2023年現在)102年目に突入ナウ。
手前味噌みたいでアレなんですけど、時代の移り変わりに適応しながら100年以上会社が続くってなかなかスゴイことだと思います。

「最新」じゃなくてもいい、ツジカワの今までの歩みを支えてくれたヒト・モノをとりあげて、もっともっとツジカワのことを知ってもらえるコンテンツを作ってみよう。
そう思いふと足元を見てみるとあちこちに「ネタ」があることに気が付きました。

題してシリーズ「ご苦労さん!!100年企業ツジカワを支えるヒト・モノたち」です。

記念するべき第1弾として、ツジカワ100年の歴史と切っても切り離せない、未だに現役活躍中のアナログマシン「汎用彫刻機(はんようちょうこくき)」を取り上げてみようと思います。

汎用彫刻機とは?

まず、汎用彫刻機とはこんな機械です。

こんなふうにして使います。

この右手で持っているのがガイドと呼ばれる針です。

いろいろな太さのガイド針。用途によって使い分ける。

ガイドの先にはなにやら凹凸した版があります。
この版は原型と呼ばれるもので、実物の絵柄を数倍に拡大した絵柄が浅く腐食されています。この版の凹凸をガイドでなぞっていきます。

写真の原型は凹版を製作するためのもの。青い部分が凸、茶色の部分が凹になっている。
(凸版を作成する場合この凹凸が逆になる)

ガイドと接続しているパントグラフが、ガイドの動きを縮小させて切削工具に伝えます。

その結果ガイドが原型の凹凸をなぞる動きを切削工具が反映する、という仕組みです。

切削工具はすべて職人が自分で研ぐ。仕上げ工具になるほど細くなる。

とても細かい作業なので作業者は顕微鏡レンズを覗いて切削部を確認しながら作業を進めます。


ツジカワと汎用彫刻機の歴史

古い古いとは言われてるけどいつごろ導入された機械なんでしょうか。
ツジカワHPの会社沿革を見てみると

1952年に「戦後彫刻業界で始めてドイツよりデッケル彫刻機を導入する。」とあります。このデッケル彫刻機が汎用彫刻機です。

タガネ(小さいノミみたいな道具)による手作業でコツコツ削っていた凸版が彫刻機を用いて容易かつ正確に製作できるようになったことで、
ツジカワの金型品質・生産能力が飛躍的に上昇したことは想像に難くありません。
また、ツジカワには当時すでに腐食製版技術があったため、自社で原型の製作から彫刻・仕上げまで行うことができました。
このことも、ツジカワがデッケル彫刻機を最大限に活用できた要因だと考えられます。

で、そんなデッケル彫刻機ですが、実は今も現役です。

いかちくてかっこいい。

ツジカワに残存している古い写真(1960年代ごろ?)を見てみるとひときわでかい彫刻機が1台ありました。

ん?
でけえ!

こちらが当時のデッケル彫刻機です。
わーすごい!社歴70年の機械じゃん!
と興奮したのもつかの間、現在使用しているデッケル彫刻機は40~50年前に導入された2代目とのことでした。

国産メーカーの汎用彫刻機と比べるとデッケル彫刻機は大きめです。
ガイドの動きも重く、なかなかくせがあるそうですが
3D形状の彫刻もこなす非常に優秀な機械です。

銘板にDeckelって書いてある!

汎用彫刻機でできる製品

汎用彫刻機が普及した結果、
食品表示などに使用される
活字

焼印、平面・R彫刻版などの作成が可能になりました。

Rホット版

その他色々あるんですが、なかなか表に出すのが難しいものが多いです。
現在実際に版を製作している過程を追う記事を製作中です!

現代における汎用彫刻機の役割

ツジカワの彫刻技術を大きく飛躍させた汎用彫刻機ですが、
近年ではマシニングセンタ(プログラミングに従って自動で切削加工をしてくれる機械)がその多くの役割を担うようになりました。
特に平彫刻版や肉付け箔押版(箔同時エンボス版)などに関しては、マシニングセンタによる作成がほとんどです。

では汎用彫刻機はもはや不要なのかというと、
やはり汎用彫刻機でなければできない加工もまだまだあります。

たとえばこういった活字なのですが

いろいろな活字(写真の一番小さいやつで彫刻面1mmx3mm程度)

小さすぎてマシニングにセットできないんです。

もしくはセットするための治具が必要になるため、
ロットが少ない場合非常に歩留まりが悪い。
こういった案件の多くは汎用彫刻機が担っています。

その他にも腐食版の箔抜けが悪いところを追加で加工する、サラエ加工
こちらも汎用彫刻機でしかできない加工です。

サラエ加工:腐食した版に汎用彫刻機でエッジを立てたり、隙間を広げる加工

全部をお見せすることはできないんですが、
その他特殊な用途に使う彫刻版なども汎用彫刻機で製作されております。

ツジカワの製品はほぼすべて受注生産で製作されており、
お客様の要望は本当に多種多様です。
お客様からの様々な依頼に応えるために、最新の技術も、職人の腕が光るアナログな技術も含めて幅広い方法を提案できることがツジカワの100年の歩みを支えてきた強みです。

汎用彫刻機はその「汎用(一つのものを広くいろいろな方面に用いること)」の名の通り、これからもいろいろな場面で我々の彫刻技術を支えてくれることでしょう。

ご苦労さん!汎用彫刻機!これからもよろしくネ!!

入社歴58年(!!!) 西村さん(photo by Mixjam design)



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