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ショートショート 宇宙調査

 宇宙人と友達になる。

 子供の頃に描いた夢だ。同級生からは馬鹿な夢だと笑われ続けた。
 しかし、私はめげすに努力しつづけ、念願の宇宙飛行士となった。そして今日、生命反応のあった星に降り立つのだ。

「本当にそのまま出て大丈夫なんだろうな?」
 他の調査員が不安そうにそわそわしている。
 慎重になるのはわかるが、私は一刻も早く調査に向かいたい気持ちを抑えきれない。

「安心してください。空気調査の結果、何も着用せずに降り立つことが許可されています。早く行きましょう。」
 私は返答を待たずに宇宙船の扉を開け、外地へと飛び出すと、大きく息を吸いこんだ。
「ほら、問題なく呼吸はできますよ。どうやら空気が美味しいとは言えないようですがね。」

 私の様子を見て、他の調査員も引きつった笑顔で、恐る恐る外へと出てきた。
「横山さんの勢いはすごいね。少し見習わなければいけないかな。」

 今回の調査は横山こと私を含め数名で行うことになっている。
 あくまでも様子見であり、この星の生命体とは接点を持ってはいけない決まりだ。私達は早速街に潜入し、物陰から様子を伺うこととした。

 ――数時間後
「……えー。こちら調査班の横山です。本土の皆様聞こえておりますでしょうか。調査結果の報告をいたします。
 生命体は存在します。かなりの数が生存しているようです。
 文明は発達しており、見たことのない機械や乗り物が溢れかえっておりました。かなりの技術力です。
 特に気になったのは、複数名で歩いているにも関わらず話している様子がなく、ずっと手元を見ているようでした。主となるコミュニケーション手段が会話ではないのかもしれません。
引き続き『地球』の調査を進めます。」

 変わったコミュニケーションを持つこの地球ほしの生命体と友達になれる日はくるのだろうか。

▼Prologueさんで投稿させてもらってます。
私なんかより面白い作品あげてる方が多いのでぜひ!


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