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擦文・オホーツク文化の交響曲: ところ遺跡の館

館の所在地域

 ところ遺跡の館は、北海道オホーツク総合振興局管内の北見市に位置します。
 北見市は、東西が約110kmに及び、北海道最大の市域(全国4番目)を有します。市内各地には、縄文時代からアイヌ文化期に至る迄の遺跡が数多く残されており、先史時代より狩猟採集社会が発展していたことが知られています。
 現在、北見市は農業や漁業が盛んであり、タマネギや白花豆は日本一の生産量を誇り、ホタテも名産品として知られています。また、同館の所在する旧常呂町はカーリングのアスリートを多数輩出していることで有名です。

館の沿革

 同館は、平成5年、常呂遺跡群及びその周辺地域の考古学的調査の成果を公開し、古代人類の生活・文化を後世に伝えることを目的に開館した考古博物館です。常呂遺跡群は、旧常呂町時代より東京大学との共同調査が行われてきましたが、平成18年の留辺蘂町・端野町・旧北見市との自治体合併に伴い、新北見市に事業が引き継がれています。
 館内には、常呂遺跡群を始めとする常呂地域の遺跡より出土した考古遺物が、縄文・続縄文・擦文・アイヌ文化各期の時系列毎に展示されています。また、ホールでは、常呂遺跡に関する映像展示も行われています。

館の概要

 同館は、国指定史跡「常呂遺跡群」を核とします。常呂遺跡群は、常呂竪穴群・栄浦第一遺跡・岐阜台地西部竪穴住居群・常呂川右岸台地竪穴群(トコロチャシ跡遺跡群)の4つの地区から構成され、総面積は約128haに及びます。良好な保存状態の遺跡が広く分布していることに加え、北海道独特の文化である擦文文化・オホーツク文化双方の遺跡が混在していることが特徴的です。
 この内、岐阜台地西部竪穴住居群の一部が「ところ遺跡の森」として公開されています。森には、縄文・続縄文・擦文各時代の竪穴式住居跡が約140軒遺されている他、復元住居が6棟、露出展示住居遺構が3基、それぞれ建設されています。また、森の中はシマリスやキタキツネの生息地である他、26種の樹木と200種の野草の存在が確認されていることから、自然観察の場としても貴重な場所となっています。
 尚、館近隣には、ところ埋蔵文化財センター及び東京大学大学院人文社会学系研究科附属常呂史料陳列館が所在しており、同館と同様に常呂遺跡群出土資料の収集・保存・展示・調査研究が行われています。

施設情報

館名: ところ遺跡の館 (Hall of the Remains of Place)
住所: 〒093-0216 北海道北見市常呂町字栄浦371番地
URL: https://www.city.kitami.lg.jp/administration/education/detail.php?content=6506
公共交通機関: 網走バス・北見市営バス 栄浦停留所 徒歩約2分
※訪問の際は最新の情報をお調べの上お出かけください。

参考文献

辻󠄀 博仁「ところ遺跡の館」(國學院大學博物館学研究室編『野外博物館事典 平成30年度中間報告』國學院大學博物館学研究室、平成31年、5頁)

皆様から頂きました貴重なご浄財は調査研究費として活用させて頂きます。