見出し画像

Vol,2 モヤモヤ。①

前回の続きですが、このモヤモヤについて考えてみました。

私は独立してから、ありがたいことにたくさんの取材を受けてきましたが、

毎回返答に困ることがあります。

それは「肥前吉田焼の特徴を教えてください。」という質問です。

私はいつも「様式に囚われず、自由なモノ造りができる産地です!」と答えてきました。

なぜ困るかというと、吉田焼、有田焼、伊万里焼、波佐見焼、三川内焼、これらは全て同じ土で同じ焼き方をしているのです。

詳しく言うならば、同じ天草陶石で同じ還元焼成をしています。

つまり、プロの目から見ても同じ白磁であれば、器の裏面の屋号を見ないとどこの産地かわからないほど同じものなのです。

厳密に言えば、有田や伊万里には古伊万里様式、鍋島様式、柿右衛門様式などの様式がニアイコールでブランドになっているものもありますが、残念ながら吉田焼にはわかりやすい様式がないです。

厳密には色絵印判手仙境図などの様式が吉田焼独自のものとされていますが、今も吉田で造っているところはほぼありません。

少し難しい話になってしまいましたが、特徴を簡潔に伝えることがとても難しかったのです。

残念ながら、有田のような高級品を作っているわけでもなく、波佐見のように大量に生産しているわけでもない小さな産地ということもあり、ナイーブな私には「吉田焼は知らない。」「初めて聞いた。」など傷つけられるような言葉が負い目となり、せめてネガティブではなくポジティブに捉えよう!これから有名にしてやるんだ!と自分に言い聞かせてきた結果、

「様式に囚われず、自由なモノ造りができる産地です!」

と答えてきたのです。

嘘ではないのです。嘘ではないのですが、

400年以上続いてきた産地の特徴としてこの答えでいいのか?

これがモヤモヤの原因だと気づきました。

もう1つ、モヤモヤの原因に気づくことができたきっかけがあります。


続きはまた次回に。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?