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〈散文〉シュガードーナツ

土曜日の朝、スターバックスへ行く。
あなたはコーヒーと共に、
決まってシュガードーナツを頼む。

あなたは最近、
スターバックスの
シュガードーナツにハマっている。

一時期はシナモンロールしか食べなかったのに、
シュガードーナツのモチモチ感が好きになって、
あなたはもうシナモンロールに見向きもしない。

シュガードーナツを食べる。
ペーパーで包んで食べているはずなのに、
あなたの手は必ずベタベタになる。

紙に包んで食べるタイプの食べ物を、
あなたは上手に食べることが苦手だ。

せっかく本を読もうと思っていたのに、
そのベタベタな手では
ページを捲ることができない。

だから結局、
シュガードーナツだけを先に食べ切ってしまう。

糖と脂質で満たされたあなたの胃と脳は、
突然覚醒する。
ありがとう、とあなたに言ってくる。

ベタベタの手を、
ウェットティッシュで拭いてから、
再び本を開く。

やっとページを捲ることができる。
なのに本は、少しだけ湿った。

あなたの指先に、
ウェットティッシュの水分が
まだ残っていたのだ。

あなたは本を捲ることも、
上手にできない。

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