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間違いだらけの顧客中心主義(番外編)〜マーケティング用語の計画的陳腐化戦略

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皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。

当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。

今回は少し他愛のない話ですが、最近とみに気になってきたことを。

皆さんは「計画的陳腐化戦略」という言葉をご存知ですか?
短期的サイクルで新製品を市場に投入することで、旧製品が陳腐化するように計画し、新製品が買いたくなるように仕向けるマーケティング手法のことです。

典型的なのは一時の自動車のモデルチェンジ競争です。メーカー各社が、2年に1回のマイナーチェンジと4年に一回のフルモデルチェンジを競って行い、大量の広告出稿をしていたころは、特に裕福でもないのに車検の度に新車に乗り換える、という車好きも多かったですよね。

それから、服もそうでした。ある出版社出身の方の講演を聞いた時に、「ファッション誌の編集部にいた時は(90年代の話です)、今年着た服はその年限りで翌年はもう着られなかった。なので、服代に毎年100万円単位のお金を使っていた。」という話をしていました。

今年の流行は◯◯!と仕掛ける側が、たしかに翌年も同じ服を着ていたら馬鹿にされますよね。

で、今はそんな、見栄の張り合いのような消費生活をしている人も、それを促す広告も大分減ってきたと思うのですが、計画的陳腐化戦略を今でもさらに拍車をかけて展開している分野が有ります。

それは「マーケティング用語」です。
例えば、皆さんは今「ビッグデータ」とか「データドリブン」と聞くとどう感じますか?
少しもう古いな、という感じですかね。
それでは「O2O(Online to Offline)」はどうですか?もう「OMO(Online Merges Offline)」でしょと思われるかもしれません。

ちなみにビジネスパーソン向けに良質な論文を掲載していることで定評のあるハーバード・ビジネスレビューで「ビッグデータ」というキーワードで検索をすると、初めて掲載されたのは2012年12月号の「ビッグデータで営業の精度を高める」という論文で、そのすぐ後の2013年3月号では「ビッグデータで経営はどう変わるか」という論文が掲載されています。
しかし、2014年5月号では「つまるところビッグデータは不要かもしれない」という論文が掲載されています。

こういった用語の流行り廃りは時系列を追って見ていれば、「ああ、今度は◯◯を強調したくて古い!とか、これからは□□!などと言っているんだな」と分かりますが、多くの人はセミナーやネット上の媒体などでキーワードに触れるので、社内の議論でも「それはもう古いですよ。先日の◯◯セミナーで登壇者がそう言ってました」みたいな話が出てきたりすることになります。

マーケティング用語が、一部のコンサルタントやベンダーのビジネスのため?に計画的に陳腐化させられているのはなんとも皮肉なものです。
このような風潮に踊らされないようにするには、今までのその用語をめぐる議論はどのようなもので、古い!というからにはどこをブラッシュアップしたのか、何が進化したのか、という批判的な視点を常に持つ必要が有るのではないでしょうか。




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