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マーケティングにフルフィルメント視点を、フルフィルメントにマーケティング視点を!

前回投稿で、当協会がこの春、試験科目として新設した「フルフィルメントCX」のご紹介をしました。内容に関する問い合わせも頂くようになったので、今回から何回かに分けてテキスト(アマゾンで販売中)の中でも触れている重要な概念についてお話していきたいと思います。

今回は「マーケティングにフルフィルメント視点を、フルフィルメントにマーケティング視点を!」です。

いかに快適に継続購入してもらえるかが生き残りの鍵

昨今の新規顧客獲得コストの上昇は、定期購入をデフォルトにしないと、通販(EC、D2C)事業設計そのものが成り立たなくなりつつあるほどと言っても良いでしょう。

一方で、消費者団体や通販110番などの苦情窓口に寄せられる内容の多くが、定期購入(特に初回申し込み)にまつわる申込みや解約のトラブルです。

今後も規制が強まる方向なのは間違いないなさそうなので、やはり顧客の自発的な継続購入を促す取組みをまずしっかり考え、結果として定期購入割合が増えていくようにしていくべきでしょう。

その際に重要となってくるのが、受注、配送、アフターフォローなどのフルフィルメント・プロセスでの体験設計と提供です。

カタログ、Webサイトなどの媒体が売り場なら、フルフィルメントは店員では?

通販では、昔からカタログやDMなどの媒体を店舗や売り場に見立てたマーケティングをして来ました。しかし、良い商品とキレイな売り場があれば、それは良いお店なのでしょうか?

ファンケルやオルビスは通販化粧品会社としては最大規模の売上を誇っていますが、日本で最も権威のある顧客満足度調査と言えるJCSI(日本版顧客満足度指数)でも常にトップを争っています。

その調査項目は「顧客満足」以外にも、「顧客期待」(全体的な品質への期待度・信頼度)、「知覚品質」(全体的な品質への評価)、「推奨意向」(口コミ)、ロイヤルティなどの指標に分かれており、単に商品と価格のバランス=コスパが良い、などといった理由だけでは上位に上がれません。

ファンケル社のリリースから以下、引用してみましょう。
当社はこれまで、お客様の“不”を解消すべく「無期限返品・交換システム」「置き場所指定サービス」などさまざまな取り組みを行ってまいりました。コロナ禍においては、「FIT(ファンケル・インフォメーション・テクノロジー)」を軸にシステムの再構築、各チャネルのシステム統合を進め、お客様がいつでもどこでも便利にご購入いただけるよう取り組んでいます。また電話窓口部門においても、お客様視点に立った高い品質の応対を実施しています。

いかがでしょうか。お客様視点で感じが良い接客だけでなく、情報システム整備に基づいた科学的なマーケティングや、パーソナルな顧客対応といったマーケ✕フルフィルメントの相乗効果を目指していることが分かります。

店舗小売に例えるなら、魅力的な商品ラインナップに加え、利便性の良い立地に店舗が有り、中に入ると自分の好みをよく理解してくれており、対応の感じも良い店員がいつでもいる、そういった状況です。

どのようにしたら、顧客の来店頻度が上がり、購入点数や単価が上がり、取引が継続していくのか、ということについて、店舗小売も通販も本質は同じはずです。
しかし、これまでの通販は店舗販売であれば店頭接客や店舗スタッフによるサービス品質に該当する「フルフィルメント」の作用を、マーケティング=商品企画やメディア開発と比べて軽んじてきたのではないでしょうか。

フルフィル部門による顧客価値提供への貢献

下記は、テキストでも触れている、フルフィルメント部門による顧客価値提供の例です。
商品部やマーケティング部などが価値を生む中核部門なのは確かですが、フルフィルメント部門の貢献も必須であることが分かります。

マーケティングを顧客に対して価値の創造・伝達・提供をする一連の機能と捉えるならば、フルフィルメント機能はまさにその一部です。
マーケティング部門がもっとフルフィルメントに目を向け、フルフィルメント部門がもっと自部署機能のマーケティング的側面に目を向ければ、新たなた顧客体験創造のヒントがいくつも見えてくるのではないでしょうか。

以上、次回は上記のようなマーケとフルフィルのつながり強化を実践するための「アクションチェーン・マネジメント」についてお話します。


ぜひ受験を!フルフィルメントCX お申込み詳細

通販エキスパート協会公式サイトからお申込みいただけます。

試験日程 5月15日(月)~6月30日(金)
▼通販エキスパート協会公式サイト






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