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ひみつの箱には、

胸のおく ひみつの箱には、 わたしの嫌いが眠っているの

あけてみて ひみつの箱には、勇気のかけらが隠れているの

終演

ミュージカル「ひみつの箱には、」無事終演いたしました。ご来場いただいた皆様、応援してくださった皆様、キャスト・スタッフ関係者一同みんな、みんなに大きな感謝を。ありがとうございます!

千秋楽集合01

2019年の12月からコツコツと構想を練り続け、2020年の公演中止、そして度重なる緊急事態宣言の中、どうすれば無事に幕を開けられるのかを必死に考え、明確な答えのない中で稽古を続けてきました。

毎日稽古日報を書き続けていましたが、それも公演ができるかわからない局面にあったからこそ、作品を作っていく道のりを残したかったからでした。

どうしてこんなしんどい中で演劇を作るのか。

こんな不安定な中で小さい団体に役者のみんながどうして協力してくれるのか。

ひとつでも階段を踏み外せば、全員で共倒れする可能性だってあります。

それでも、役者は真摯に作品に取り組んでくれて、クリエイティブチームはわたしの脚本に寄り添ってくれて、劇場さんはホールを貸してくれて、お客様が足を運んでくれました。

もう本当にすべてが奇跡のようだと思ってしまいます。

劇場にはいけないけど「配信で見ます!」と言ってくれる人も多くいて、なんだかもう何をお礼すればいいのやら…と思ってしまうのですが、わたしがお返しできるものといえば作品を書くくらいのものでしかないのです。

説明などいらん!という方もいるでしょうが、わたしなりのこの作品に対する気持ちや込めたものをつらつらと書いておこうと思います。配信の方は見た後に読んでいただくほうがいいかも?

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死にたがりからのギフト・ミュージカル

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この「ひみつの箱には、」というミュージカルが誰かへのプレゼントになればと思いここまでやってきました。

「これはわたしだ」と天野一歩を見て思ってくれるなり、

「わたしの箱の中には、なにがあるんだろう」と考えるきっかけになってくれるなり、

他にも、なんでもいいから、誰かが少しでもあったかい気持ちになってくれればと思って丁寧にラッピングしたプレゼントボックスでした。

タイトル「ひみつの箱には、」の続きはあなたの中にあります。

「秘密の箱庭」ではなく「ひみつの箱には、」と半端に終わっている意味が観劇いただいた皆様にはわかっていただけたかと思います。

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十人十色、各個人が、自分だけの自分になる。

誰かと比べたっていい。自分はダメだってため息をついてもいい。時々布団のなかから出てこられなくったっていいじゃないか。希死念慮がエグくてもいいじゃないか!笑

わたしも希死念慮がつよつよなタイプなので一曲目の歌い出しは

「目を閉じて世界の全部が いっしょくた終わっちゃえばいいのにって」

ですし、箱庭でのラストソングの一歩の歌い出しも

「いつか終わっちゃうこの世界 静かな眠りへ滑り落ちる」

です。主演であり親友の石井亜早実に「死にたがりが出てる」と言われましたがその通りです。いつか死んじゃうから、という気持ちがあってこそ元気に生きられるタイプです!笑

LGBTQ+と無自覚な差別意識

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LGBTQ+や差別意識への問いかけも入っていました。

レズビアンである真珠が転校してくるシーンは、アンサンブルの役者たちに胸を痛めながらも演じてもらいました。

無自覚な差別。

「ゲイの人ってみんな面白いよね」「レズの人って結構美人多いよね」

褒めてるんだから差別じゃない!と思ってる人はまだまだ世の中にたくさんいます。わたしも彼女ができたよ、と報告した時にいきなりセックスの話をされたことがありドン引きしましたが、本人から悪意は全く感じられませんでした。

わたしの中にもそういう差別意識がありましたし、今もまだ無自覚なものがいくつもあると思います。出会ったことのない国籍の方や人種問題など、知らないことも多いし「なんとなくこういう感じかな?」と適当にジャンル分けしているようなこともある。それが傷つくか傷つかないかの判断すらできないのです。

ゲイの友人の話をする時に「こういう子がいてさ、すごくいいやつで、ゲイなんだけど」って付け足す人も多く見かけます(昔はわたしもしてました)「こういう子がいて、その子ヘテロなんだけど」って言うか?って話なんですよね。

昴さんの言う「知らないことは恥ずかしいことじゃない」ので、少しずつでもそういう部分を自覚していくことのきっかけになればと思います。別にそんなの知らなくてもいいや!は恥ずかしいかもしれませんしね。

誰かと関わり、わたしになってく

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この作品を書くにあたって、産まれてからどうやって人格を形成していくのか、どの時期になにが育っていくのかということを調べたりもしました。

親という存在しかいなかった家庭から飛び出して、幼稚園や保育園、小学校でだんだんと心が自立していきます。「誰かを信じる」ということや、「評価される」ということを知っていく。

そして周りと関わることで「自分はこのくらいできて、なにが得意でなにが苦手か」ということに自覚的になり、親や教師への依存度が下がる分不安定になり、反抗期に突入するそうです。これが小学6年生くらい(人によるでしょうが)

そこから思春期に突入していくわけですが…一歩たちは高校生。つまり周りからの影響で自分はこういう人間だ、という自覚がハッキリできていて、その自分への他者からの評価が気になるがあまり、自己の本当の欲求・本質的な望みを無視しつづけてしまう。

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真珠が一歩と出会った時にそれを見抜いたり、箱庭の人々が「あの子もなかなか複雑そうだね」と感じながらすぐに一歩を受け入れたりしますが、大人から見るとそういう「自分を繕っている若い人」というのは結構そこここにいるものなのです。

わたしがこの作品を書くきっかけになった話を先日書きましたが

教え子からいろいろな相談される時「ああ、そういう時ってあったなあ」と思うと共に自分がなにをきっかけに悶々とした時期を乗り越えたか、もしくは見ないふりをしたか、などが思い起こされます。

歩いてきた道のりは違うけれど、自分には自分なりの道があります。

そしてその道は自分だけのものです。

知らず知らずのうちに、自分は自分にしかなれない「自分」になっているんですよ。自覚しなくったって勝手になっているんです。だってまるっと全く同じ境遇の人なんてほとんどいないんですから!

当たり前だけど、こういう当たり前を忘れてしまうくらい落ち込んだりしんどい時も絶対にあるので。

そういう時にふと思い出す作品になればと思って書きました。

ミュージカルだからこそ

そしてそういう時にふと思い出すのって、台詞よりも歌のほうがパワーが強いので、やっぱりこの作品はミュージカルじゃなきゃいけなかったんです。

わたしは「メッセージがあります!!!」みたいな作品って、本当はめっちゃ苦手なんです。なんだか押し付けがましいし、熱っぽくて恥ずかしくなっちゃうことのほうが多くて。だけどミュージカルってうまく作ればそういう胡散臭さが吹き飛ぶんだ!ということを「ひとりぼっちの夜」で実感したんです。「わたしと樹原くんならやれる」と。

あくまでも我々は、私たちにとって必要な作品を作っていて、誰かに「ほら、これ必要でしょ?」と押し付けるつもりは全然ありません。自分たちがいってほしいのかもしれません、「大丈夫、愛してるよ」って。笑

音楽や歌詞って、人の心に残るものだから。

「行き場はない 居場所はある」

「あけてみてひみつの箱には、わたしの好きなあなたが隠れているの」

そんな歌をわたしと、あなたの心に。

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ってことで、長くなってしまいましたがありがとうございましたのnoteでした!!(ほんとに?笑)

次は登場人物の過去や設定を書こうかな?

いいねやサポートいただけたら、また次回作を頑張るぞというパワーにつなげますのでぜひぜひ!

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