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【IMA】今はまだ、奇跡なんて信じられないけど

12月5日KEYNOTE THEATERでの公演「IMA」が終わりました。

そのタイトル通り、今はもう12月8日の深夜になり、あの場所での「今」は過去となりました。


私の小さなつぶやきから、Musaさんの「やろうよ!」という声掛けから、Yannickさんの繊細で自由な広がりのある音楽に出会えて、穴山香菜さんという優しく視野の広いダンサーさんと出会えて、光陽師想真くんという眩しいパワーを秘めた地球外生命体ダンサーと出会えて、あっという間にZOOMの画面から、劇場、そして本番を迎え、あっという間に終演。

一緒にいた時間を全部集めても、24時間に満たないかもしれない。

それなのに、心から「出会えてよかった」と思える仲間になりました。

いまだに思い出しては心がポカポカします。

前日までYannickさんは音楽を更新し続けてくれたこと、三人が試行錯誤して動きを作っていく工程や「これは違う」「こうがいい」と率直な意見をやりとりしている姿を色んな人に話したい。短く濃密なクリエイティブな時間でした。


この時間は、きっとみんなのコロナ禍での鬱憤・苦しみ・物足りなさなどなどのマイナスな気持ちがなければ生まれなかった熱量だったと思います。


わたしの言葉も、「わたしだけの気持ちをこんなに赤裸々に書いて大丈夫だろうか」と最初は心配でした。でも、共演者、スタッフの子達、お客さんからぽつぽつと「同じことを考えていた」「わたしも同じ気持ちだった」「今年の自分の気持ちを思い出して苦しくなった」など共感の声をいただけて、私自身が「ああ、独りじゃなかったんだ」と安心することができました。

2020年は誰もがひとりぼっちを経験した一年だったのかもしれませんね。

誰かと住んでいたって、きっとおなじです。

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そんなひとりぼっちを、なんとか「みんなで頑張ろう!みんなで乗り切ろう!」に持っていこうと色んな人が頑張りましたが、きっとそれはとても力がいることだったみたい。

わたしは最初の方で乗り切れず躓いてしまって、正直脱力していた時期も多くありました。

その度に「こんな時に脱力してるなんて情けないな」と思ったり。芝居を作ることを、諦めなきゃいけないんだろうかと悩んだり。

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だけどこの作品をつくって、私は、言葉にすることでしか自分を救えないことがよくわかりました。

そして"当たり前だったことが当たり前じゃなくなった"世の中で、「当たり前の気持ち」を改めて実感できた時、言葉に書いて、誰かひとりでも「うん」って思ってくれることの歓びに、私は何より救われました。

「優しい人の周りには優しい人がいるな」ってこと。

「ご飯を食べて眠ることは、惰性じゃなくてきちんと生きることなんだな」ってこと。

「友達って大事だな」ってこと。

「人を頼ることは心を軽くするんだな」ってこと。

そういう様々な「当たり前」を当たり前にしたくない。

誰もが同じ当たり前を持っているとは限りません。

だからこそ、自分の中の気持ちは全部新鮮に喜びたいし、違うものを持っている人のことを知っていきたい。そしてそれを芝居にしたい…。

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そんな風に、いつの間にか「これから」のことを考えるようになれました。

「ひとり孤独と同居して 消えた予定と ぼやけた未来」

まだまだ宛のない未来かもしれません。

出来上がりの寸前で、また公演中止になる可能性だって大いにあります。

だけどこの「IMA」という公演で、Musaさんと、Yannickさんと、カナさんと、想真くんと作品を作れた歓びは、もう忘れられません。

後に戻れないことは、悲しいことも、嬉しいことも一緒なのです。

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劇場の中に満ち満ちた空気。

お客さんがこちらを見ている。ひとりひとりの瞳から、釣り糸がこちらへ伸びていて、吐き出した言葉をみなさんが拾っているのがわかる。

私の言葉、呼吸をきっかけに、三人が動いて、どんどん展開していくのがわかる。

見なくても感じるあの心地よさ。

それらは確実に私の中にあって、もうなかったことにはできません。

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「この歓びは、きっと昨日がなきゃ、うまれなかった」

そう台詞に書きました。

コロナの大流行は、最悪の出来事です。

だけどこの公演「IMA」ができたことで、本当に少しずつ、あの日々を肯定できてきた気がします。

あの暗闇があったからこその「奇跡」を信じられるかも、と、少し前を向けはじめた気がします。

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こうして誰かとその気持ちを分け合い、お客さんと共有することにはやっぱり意味があると。演劇、表現、舞台は、やっぱりこの世に必要なんだと。

今、改めて、信じることができました。


それは、Musaさん、カナさん、想真くん、Yannickさん、そして劇場さん、スタッフのみんな、お客さま。あの劇場に居たすべての方々、居なかったけど応援してくれていたすべての方々がいたからこその気持ちです。

みなさん、本当にありがとうございました。

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そして、これからもよろしくお願いします!笑


この出会いを絶対に無駄にしたくない。ので、お三方もこれからもよろしくお願いします。

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ではでは、写真とともに振り返った「IMA」のnoteはこれくらいにしたいと思います。

「本日はこれまで。続きはまた、それぞれの人生で。」

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photo by 新井健太 (Instagram @kentarai1986)

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