『蝶々と灰色のやらかい悪魔』 36
自販機と公衆トイレのある、海辺の小さな駐車場の脇に、マサキさんが車を停める。すでに数台の車が停まっており、柄の悪いヤン車の前に屯した数名のチンピラが、何やら大声で話し込んでいるのが見える。
「あ〜! なんで出来ひんのや! あんましょーんないことばっかゆーとったら、ほんまいてこますぞ! おのれわぁー!」
そのうちのリーダー格であろう、五十代ぐらいの男性が、ジャージのポケットに手を突っ込んだまま、携帯片手に、電話の相手を威嚇するように叫び声を上げている。
「ちょっ……、