見出し画像

モカの命日に。

9月11日はモカの命日でした。

モカとの出会いは6年ほど前になります。朝いつものように自分の店の開店準備をしていると店の前の道路がやたらと渋滞している。「事故でもあった?」と道路を見渡してみると、そこにのちにモカとチョコと名付けた二匹のミニチュアダックスフンドが車の往来を止めながら車道を走り回っていました。

どこからか逃げてしまったのかと思いましたがまずは捕まえないと、ととにかく追いかけ一旦は見失いながらも数時間かかりながら、最後は犬のオヤツでなんとか確保できました。捕まえてみると二匹の爪は伸び放題、毛並みも身体も激しく汚れており、しばらく外で暮らしてきたのかなと思われました。

その後保健所や警察署、近隣の動物病院、県の愛護センターなど一通り連絡をしてみましたがやはり飼い主が現れることも見つかることもありませんでしたので、新しい里親さんを募集しながら当面我が家で面倒を見ることに。当初はひどく怯え、獣医さんからも「モカはあまり長生きしないかもしれないね」とまで言われていましたが、その後持ち前の食欲と生命力をいかんなく発揮しあっという間に僕にも懐くようになり、呼べばどこにいてもすっ飛んくる愛くるしい姿は今もはっきりと焼き付いています。

新しい里親さんは茨城で見つかりました。募集しておきながら一旦はお断りしようかとも思いましたが、里親さんのチョコとモカを必要としていた背景や彼らの責任感、思いなどに触れ僕らは約束通りチョコとモカを託すことに。

それからというもの、チョコとモカは里親さんのもとにいた先住犬3匹とも関係を築きながら、本当に健康で元気で幸せな時間を過ごしていたと思います。昨年、モカが体調を崩すようになり「これ以上はあまり長くないかも」と連絡を受けた僕らは茨城へ向かいました。それが昨年の9月10日のことです。もう自力で動くことができないほどに体力を奪われていたモカでしたが、僕らの呼びかけにかすかにその鼻や目で精一杯応えてくれました。神奈川に帰宅したその日の夜に僕はモカの夢を見ました。うちで過ごしていた頃と変わらず、女の子らしいおちゃめでワガママで可愛いモカと一緒にいる夢でした。朝、起床してすぐに僕らはモカが朝早くに亡くなったという連絡をもらいました。僕らが会いに行くのを待っていてくれたのかなと、そんな思いになりました。

チョコとモカに会わなければ、今も僕らは保護犬や猫など関与する活動などをしていなかったと思います。おそらくは人間の都合で飼育放棄されたであろうチョコとモカの、それでも僕らに対して示してくれたその健気な姿に、僕らは何度救われたことか。

保護したときすでにある程度の年令に達していたと思われるチョコとモカでしたが、チョコはまだ今も里親さんのもとでみんなと愉しく暮らしています。今思い返してもモカのその晩年は本当に幸せな時間だったと確信しています。モカ、チョコ、僕らと暮らしてくれて本当にありがとう。

そして、ここからは蛇足な文章でもありますが。ペットを飼うその選択肢に保護犬・保護猫の存在がもっともっと広まってくれることを僕は切に願います。人間の都合で行き場を失い、理由もなく悲しみに突き落とされることになった彼らをどうか一匹でも減らすことができればと、そう思います。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。一つ一つの「スキ」が毎回とても嬉しく、励みになっています。