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はじめての手織り(小宮しげこ著)

今回は“はじめて本”のご紹介です。
布を織りたいなぁと思い始めた頃に、ふっと買ってみた思い出の一冊。
「ヴォーグ基礎シリーズ はじめての手織り」(小宮しげこ著 株式会社日本ヴォーグ社 2003年2月11日)、手芸といえばのヴォーグ社さんのご本です。

ご本の中で使用されているのは、クロバーさんの「咲き織り」という簡易式の卓上機。
こちら経糸の仕掛けが楽と評判の卓上機で、咲き織り専門のご本もたくさん出ていますが、このご本では咲き織りを用いつつ、ハマナカさんのオリヴィエや横田さんの絵織亜などについても述べられ、比較のうえ、自分に合ったものを合うように、という解説がまずございます。

内容が始まりますと、素材別にこういう糸があるよ、という解説や、織りには重要な「密度」のお話が分かりやすく書かれています。
布の横幅や経糸の詰まり具合(1cmもしくは1寸に何本の経糸が入っているか)は最初に決めたら変えられません。
ですので、このぐらいの太さの糸を、こういった密度でセットして、そこに同じくらいの太さの緯糸を入れるとこんな感じですよ、ということが画像を持って説明されています。
この点の理解は大きなものを織っていくときにも重要なので、ただ織れたらいいというご本とは一味違うかと思います。

更には、布を裂いたものを緯糸にする咲き織り、複数種の房の作り方、もじり織り、つづれ織り、空き羽、パイル織りといった技法の織り方が解説されています。え、咲き織りでやっちゃうんだ!?という気もしますが、できる訳です。恐るべし咲き織り。手芸本ですので、最後の仕立て方や型紙も付いています。織ったものを使えるところまでにできるのが良いですね。

なお最後には、毛織物の縮絨(軽くフェルト化すること。マフラーなどを何かに引っかけても糸が浮いて出てきたりし難くなります)や簡単な草木染めにも触れられています。染織に興味を持たれてトライしたい方の一冊目としてはとても良く、先の奥深さに触れられるご本ではないかと思います。


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