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遅い朝とピンチョスモーニング

バスク地方の朝は、他のどことも違う特別なリズムで始まる。

ピンチョスは、オリーブ・卵・エビなどをパンに串刺しにし、手軽に楽しむことができるスペイン、バスク地方のおつまみだ。



各バルによって異なるトッピングは、スペイン人の想像力の幅広さを見せつけてくれる。

多くの人が夜に楽しむと思われがちなピンチョスだが、地元の人々は朝からこの小さな美食を楽しむ。

夜遅くまで営業するバルは、朝になるとカフェに姿を変える。
地元の人たちは、ピンチョスを1,2品つまみながらコーヒーを片手に新聞を読むことが日常風景となっている。


ビルバオやサンセバスチャンのバルにはチェーン店がほとんどなく、地元の個性豊かな店が成長を続けている。
この独特な文化は非常に魅力的で、私が訪れた際には、スペイン語が話せなくても、欲しいピンチョスを指さしとってもらい、その場で食べることができた。



ピンチョスの種類は豊富で、魚の練り身と卵を合わせたものや、ポルチーニ茸の香り豊かなもの、アンチョビの塩辛さが引き立つものまであり、そのどれもがお酒と相性がいい。
また、その見た目の美しさは、まるでスペインの繊細な陶器の芸術作品を味わっているかのようだ。


複数のバルをはしごして異なるピンチョスを楽しむのも、この地方ならではの楽しみ方の一つ。
友人たちとともに小さなピンチョスをつまむと、会話も自然と弾む。


バスク地方の朝は、食とともにコミュニケーションの場でもあり、その暖かな文化に触れることができる貴重な時間だ。


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