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あの日出会った海外グルメ

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私は海外のその土地特有のグルメを通して、人の日々の生活や思いを想像するのが好きです。 海外に行って出逢った、一つ一つのグルメとの出会いを大切にしたい。 そういう思いで今まで出会っ…
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#一度は行きたいあの場所

タラの仲間のバスク魚「バカラオ・アル・ピルピル」

バスク地方の伝統魚「バカラオ」。 タラ科の魚で、タラよりも脂がのっていてとろけるような味わいが特徴だ。 地元のレストランで見かけた際、ぜひ食べてみたいと思い、注文してみた。 こちらのレストランでは、バカラオを2種類の方法で調理しており、一度に2つの異なる料理を楽しむことができた。 特に「バカラオ・アル・ピルピル」はバスクの名物料理で、バカラオを赤唐辛子とニンニク、オリーブオイルで煮込んだ、ペペロンチーノのような味わいが楽しめる。 最後にクリーム系のソースをかけていただく

日本人が名づけの親「バスクチーズケーキ」

「バスクチーズケーキ」という名は日本人が名付けたそうだ。 ほんのり焦げ目がついて香ばしいチーズケーキ。 このチーズケーキが日本で大ヒットしたのを覚えている人も多いのではないだろうか。 レアともベイクドとも言い難い半生の触感は、いつどんな時も食べる人を魅了する。 そんなバスクチーズケーキの元祖のお店が、サンセバスチャンにあった。 もともとレアチーズケーキやベイクドチーズケーキが主流だったこの土地で、「La Viña」というバーが自家製の表面に焦げ目がついたケーキを生み出

具材が楽しいスペインオムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」

スペインでは卵料理がよく食卓に上がるが、その中でも特に人気なのが、家庭の味として親しまれている伝統オムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」だ。 このオムレツには、トマトやジャガイモなどの野菜がたっぷり入っており、触感を楽しめ、栄養も満点である。 ジャガイモは事前にオリーブオイルで揚げ焼きにするのが一般的で、かりっとした触感が楽しめる。 最初にそのカリカリ感を楽しんだ後に、ほくほくのジャガイモとまろやかな卵の味わいが口の中に広がる。 実際に食べてみると味付けはシンプルで優

ホテルのレセプションで感じるスペインの子供心

ビルバオとサンセバスチャンの滞在中、私が訪れた数々のホテルでは魅力的な共通点があった。 それはレセプションデスクに色とりどりの可愛らしい飴が置かれていたことである。 これらの飴は、一口サイズから手で持って食べるロリポップまで様々で、どれも訪れる人々の心を和ませる工夫が施されていた。 この小さなおもてなしは、訪問者に子供のころのような無邪気さと喜びを思い出させ、滞在を楽しくしてくれた。 日本とは少し違う、おもてなしの形。 なんだか心が安らいだ。 飴玉をみるとスペイン旅行を

王者の生ハム「ハモン・セラーノ」

スペインの代表的な美食と言えば、世界三大生ハムの一つ「ハモン・セラーノ」である。 生ハムは日本でも手に入るため、特別な期待をしていなかった私だが、ビルバオの街角のハム屋さんを訪れた瞬間、その場を支配するお肉の誘惑的な香りに心を奪われた。 「ハモン・セラーノ」とは「山のハム」という意味で、この名前はその製法に由来する。 塩漬けにした豚のモモ肉を山で熟成させる伝統的な方法で、通常は2~3年かけて熟成されるが、ビルバオではさらに長い6年もの熟成を施した生ハムがある。 この長期熟

幻のホワイトアスパラガス

日本ではあまり見かけない白いアスパラガスはスペインのバスク地方でよく見ることのできる珍しい食材だ。 スペインでのこの出会いは初めての経験だった。 地元のバルやスーパーでは、ホワイトアスパラガスが頻繁に目につく。 スーパーの棚には、これらのアスパラガスを含んだ瓶詰が大量に並び、非常に新鮮だった。 ホワイトアスパラガスの調理法はシンプルで、グリルや煮物として提供される。 添えられるのは様々なソースで、これがまた素材の味を引き立てる。 フォークとナイフで切り分けると、繊維が

遅い朝とピンチョスモーニング

バスク地方の朝は、他のどことも違う特別なリズムで始まる。 ピンチョスは、オリーブ・卵・エビなどをパンに串刺しにし、手軽に楽しむことができるスペイン、バスク地方のおつまみだ。 各バルによって異なるトッピングは、スペイン人の想像力の幅広さを見せつけてくれる。 多くの人が夜に楽しむと思われがちなピンチョスだが、地元の人々は朝からこの小さな美食を楽しむ。 夜遅くまで営業するバルは、朝になるとカフェに姿を変える。 地元の人たちは、ピンチョスを1,2品つまみながらコーヒーを片手に

チーズフォンデュと世界から隠れたスイスワイン

2019年,世界がまだパンデミックの影を予感させていなかったころ、私はスイスに行った。 あの時は海外の大学院に進学することを少し検討しており、中でもアインシュタインの出身校、スイスのチューリッヒ工科大学に興味があった。 そこで、彼の足跡をたどり、その地の空気を自分の肺で感じたくて、スイスへと旅立ったのだ。 スイスは私が想像していた以上に息をのむような美しさで、アルプスの雄大な景色にはただただ圧倒された。 長野県出身の私は、自然の風景には慣れ親しんでいたつもりだったが、ス

ワインな街のトロトロ牛肉ワイン煮「ブッフ・ブルギニョン」

自分の会社の関係でワインの街を訪れたのは2023年11月のこと。 少し肌寒さが感じられるイチョウが綺麗な季節だった。 パリ・シャルルドゴール空港から電車で2時間ほどのブルゴーニュのディジョンという街に足を踏み入れた。 都会の喧騒からは離れ、落ち着いた上品な田舎町ともいえるディジョンはフランスワインの名産地ブルゴーニュの中心地でもある。 この町はフランスの中でも「美食の街」として知られる土地でもある。 18世紀にはブドウ栽培が始まり、その頃からワインが作られるようになってき

味も人も優しいギリシャ地中海料理

大学院の修士論文が完成し、時間に少し余裕ができたときに地中海の周りを探検していた。 ギリシャから始まり、イタリアに渡り、クロアチア、スロベニア、ハンガリーなど。 地中海周辺は非常に料理がおいしいということは知っていたので自分の口で試してみたくなったのである。 最初の国はギリシャ。 歴史的な建造物が今なお残る、伝統感じる国である。 独特な文化が今なお残り、ヨーロッパの中でも特徴的な文化を発展させてきた国である。 オリンピック発祥の地でもあり、世界初のオリンピック会場も