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あの日出会った海外グルメ

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私は海外のその土地特有のグルメを通して、人の日々の生活や思いを想像するのが好きです。 海外に行って出逢った、一つ一つのグルメとの出会いを大切にしたい。 そういう思いで今まで出会っ…
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フルコース料理の起源はロシア料理

フルコース料理と言えば、一般的にはフランス料理が頭に浮かぶことが多いかもしれません。 しかし、実はフルコースの形式が整ったのはロシアが発祥だという説があります。 今回は、ロシア料理に秘められたフルコースの魅力や歴史、そして日本でも味わえるロシア料理店や家庭で作れる料理をお届けします。 フルコース料理の魅力フルコース料理の魅力は、単に複数の料理を楽しむだけでなく、料理が徐々に進行し、味わいが深まっていく過程にあります。 前菜から始まり、スープ、メインディッシュ、デザート

パースグルメ紀行④パース空港の朝サンドイッチ

パースに到着したのは、まだ朝の6時。 空港の冷たい空気が身体に染みる中、ふと立ち寄ったのが空港内のカフェだった。 早朝でもしっかり営業していて、旅人たちの少し疲れた表情の中に、なんだか安心感を覚えた。 オーストラリアに来たからには、まずはフラットホワイトを注文。カウンターに並んだメニューから、ソーセージロールとサンドイッチも選んだ。 軽めの朝食とはいえ、なんだかんだでお会計は$40を軽く超えていた。オーストラリアの物価が高いとは聞いていたが、早速その洗礼を受けたような

パースグルメ紀行③ウェーブロックバーガー

ウェーブロックを訪れた際、近くに寄ったカフェがまさにユニークな体験だった。 広大な砂漠のような景色が広がるエリアにぽつんと佇むこのカフェは、ウェーブロックを模した巨大なバーガーが目玉メニューになっている。 私は迷わずそのバーガーを注文し、店内の雰囲気を楽しみながら待つことにした。 カフェの雰囲気は、どこか砂漠を感じさせるシンプルな装飾が施されていて、周囲の風景に見事に溶け込んでいる。 広々とした店内には、お土産コーナーもあり、ウェーブロックの訪問記念にぴったりなグッズ

パースグルメ紀行②OGビーフの豪快バーガー

ピナクルズを訪れた帰り道、私たちはふと立ち寄ったランセリンビーチで、思いがけないランチタイムを過ごすことになった。 海沿いのこの美しい場所には、見晴らしの良い高台にひっそりと佇むカフェがあった。 どうやらホテルの一部でもあるらしく、その佇まいからは静けさと優雅さが漂っていた。 耳に届くのは波の音だけ。 まるで時間がゆっくりと流れているような感覚に包まれながら、私たちはそのカフェでのんびりと食事を楽しむことにした。 私たちが注文したのは、ステーキバーガーとワインビーフを

パースグルメ紀行①野菜たっぷりチキンラップ

ジューンダルアップからマーガレットリバーへの長いドライブの途中、少し早めに朝食をとることにした。 大きなバイパスを降りて、カフェを探す。 まだ朝の7時というのに、周りの景色は意外にも活気にあふれていた。 ショッピングセンターのような場所には、朝から集まる地元の人々が溢れ、のんびりとした雰囲気の中にも賑わいを感じる。 その中で見つけたのが「115 Groundhouse」という名前のカフェ。 外観からして洒落ていて、何より目を引いたのはカラフルなコーヒーカップ。 店内

タラの仲間のバスク魚「バカラオ・アル・ピルピル」

バスク地方の伝統魚「バカラオ」。 タラ科の魚で、タラよりも脂がのっていてとろけるような味わいが特徴だ。 地元のレストランで見かけた際、ぜひ食べてみたいと思い、注文してみた。 こちらのレストランでは、バカラオを2種類の方法で調理しており、一度に2つの異なる料理を楽しむことができた。 特に「バカラオ・アル・ピルピル」はバスクの名物料理で、バカラオを赤唐辛子とニンニク、オリーブオイルで煮込んだ、ペペロンチーノのような味わいが楽しめる。 最後にクリーム系のソースをかけていただく

日本人が名づけの親「バスクチーズケーキ」

「バスクチーズケーキ」という名は日本人が名付けたそうだ。 ほんのり焦げ目がついて香ばしいチーズケーキ。 このチーズケーキが日本で大ヒットしたのを覚えている人も多いのではないだろうか。 レアともベイクドとも言い難い半生の触感は、いつどんな時も食べる人を魅了する。 そんなバスクチーズケーキの元祖のお店が、サンセバスチャンにあった。 もともとレアチーズケーキやベイクドチーズケーキが主流だったこの土地で、「La Viña」というバーが自家製の表面に焦げ目がついたケーキを生み出

具材が楽しいスペインオムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」

スペインでは卵料理がよく食卓に上がるが、その中でも特に人気なのが、家庭の味として親しまれている伝統オムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」だ。 このオムレツには、トマトやジャガイモなどの野菜がたっぷり入っており、触感を楽しめ、栄養も満点である。 ジャガイモは事前にオリーブオイルで揚げ焼きにするのが一般的で、かりっとした触感が楽しめる。 最初にそのカリカリ感を楽しんだ後に、ほくほくのジャガイモとまろやかな卵の味わいが口の中に広がる。 実際に食べてみると味付けはシンプルで優

ホテルのレセプションで感じるスペインの子供心

ビルバオとサンセバスチャンの滞在中、私が訪れた数々のホテルでは魅力的な共通点があった。 それはレセプションデスクに色とりどりの可愛らしい飴が置かれていたことである。 これらの飴は、一口サイズから手で持って食べるロリポップまで様々で、どれも訪れる人々の心を和ませる工夫が施されていた。 この小さなおもてなしは、訪問者に子供のころのような無邪気さと喜びを思い出させ、滞在を楽しくしてくれた。 日本とは少し違う、おもてなしの形。 なんだか心が安らいだ。 飴玉をみるとスペイン旅行を

王者の生ハム「ハモン・セラーノ」

スペインの代表的な美食と言えば、世界三大生ハムの一つ「ハモン・セラーノ」である。 生ハムは日本でも手に入るため、特別な期待をしていなかった私だが、ビルバオの街角のハム屋さんを訪れた瞬間、その場を支配するお肉の誘惑的な香りに心を奪われた。 「ハモン・セラーノ」とは「山のハム」という意味で、この名前はその製法に由来する。 塩漬けにした豚のモモ肉を山で熟成させる伝統的な方法で、通常は2~3年かけて熟成されるが、ビルバオではさらに長い6年もの熟成を施した生ハムがある。 この長期熟

幻のホワイトアスパラガス

日本ではあまり見かけない白いアスパラガスはスペインのバスク地方でよく見ることのできる珍しい食材だ。 スペインでのこの出会いは初めての経験だった。 地元のバルやスーパーでは、ホワイトアスパラガスが頻繁に目につく。 スーパーの棚には、これらのアスパラガスを含んだ瓶詰が大量に並び、非常に新鮮だった。 ホワイトアスパラガスの調理法はシンプルで、グリルや煮物として提供される。 添えられるのは様々なソースで、これがまた素材の味を引き立てる。 フォークとナイフで切り分けると、繊維が

遅い朝とピンチョスモーニング

バスク地方の朝は、他のどことも違う特別なリズムで始まる。 ピンチョスは、オリーブ・卵・エビなどをパンに串刺しにし、手軽に楽しむことができるスペイン、バスク地方のおつまみだ。 各バルによって異なるトッピングは、スペイン人の想像力の幅広さを見せつけてくれる。 多くの人が夜に楽しむと思われがちなピンチョスだが、地元の人々は朝からこの小さな美食を楽しむ。 夜遅くまで営業するバルは、朝になるとカフェに姿を変える。 地元の人たちは、ピンチョスを1,2品つまみながらコーヒーを片手に

チーズフォンデュと世界から隠れたスイスワイン

2019年,世界がまだパンデミックの影を予感させていなかったころ、私はスイスに行った。 あの時は海外の大学院に進学することを少し検討しており、中でもアインシュタインの出身校、スイスのチューリッヒ工科大学に興味があった。 そこで、彼の足跡をたどり、その地の空気を自分の肺で感じたくて、スイスへと旅立ったのだ。 スイスは私が想像していた以上に息をのむような美しさで、アルプスの雄大な景色にはただただ圧倒された。 長野県出身の私は、自然の風景には慣れ親しんでいたつもりだったが、ス

ワインな街のトロトロ牛肉ワイン煮「ブッフ・ブルギニョン」

自分の会社の関係でワインの街を訪れたのは2023年11月のこと。 少し肌寒さが感じられるイチョウが綺麗な季節だった。 パリ・シャルルドゴール空港から電車で2時間ほどのブルゴーニュのディジョンという街に足を踏み入れた。 都会の喧騒からは離れ、落ち着いた上品な田舎町ともいえるディジョンはフランスワインの名産地ブルゴーニュの中心地でもある。 この町はフランスの中でも「美食の街」として知られる土地でもある。 18世紀にはブドウ栽培が始まり、その頃からワインが作られるようになってき