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あの日出会った海外グルメ

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私は海外のその土地特有のグルメを通して、人の日々の生活や思いを想像するのが好きです。 海外に行って出逢った、一つ一つのグルメとの出会いを大切にしたい。 そういう思いで今まで出会っ… もっと読む
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2024年5月の記事一覧

タラの仲間のバスク魚「バカラオ・アル・ピルピル」

バスク地方の伝統魚「バカラオ」。 タラ科の魚で、タラよりも脂がのっていてとろけるような味わいが特徴だ。 地元のレストランで見かけた際、ぜひ食べてみたいと思い、注文してみた。 こちらのレストランでは、バカラオを2種類の方法で調理しており、一度に2つの異なる料理を楽しむことができた。 特に「バカラオ・アル・ピルピル」はバスクの名物料理で、バカラオを赤唐辛子とニンニク、オリーブオイルで煮込んだ、ペペロンチーノのような味わいが楽しめる。 最後にクリーム系のソースをかけていただく

日本人が名づけの親「バスクチーズケーキ」

「バスクチーズケーキ」という名は日本人が名付けたそうだ。 ほんのり焦げ目がついて香ばしいチーズケーキ。 このチーズケーキが日本で大ヒットしたのを覚えている人も多いのではないだろうか。 レアともベイクドとも言い難い半生の触感は、いつどんな時も食べる人を魅了する。 そんなバスクチーズケーキの元祖のお店が、サンセバスチャンにあった。 もともとレアチーズケーキやベイクドチーズケーキが主流だったこの土地で、「La Viña」というバーが自家製の表面に焦げ目がついたケーキを生み出

具材が楽しいスペインオムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」

スペインでは卵料理がよく食卓に上がるが、その中でも特に人気なのが、家庭の味として親しまれている伝統オムレツ「トルティージャ・デ・パタタス」だ。 このオムレツには、トマトやジャガイモなどの野菜がたっぷり入っており、触感を楽しめ、栄養も満点である。 ジャガイモは事前にオリーブオイルで揚げ焼きにするのが一般的で、かりっとした触感が楽しめる。 最初にそのカリカリ感を楽しんだ後に、ほくほくのジャガイモとまろやかな卵の味わいが口の中に広がる。 実際に食べてみると味付けはシンプルで優

ホテルのレセプションで感じるスペインの子供心

ビルバオとサンセバスチャンの滞在中、私が訪れた数々のホテルでは魅力的な共通点があった。 それはレセプションデスクに色とりどりの可愛らしい飴が置かれていたことである。 これらの飴は、一口サイズから手で持って食べるロリポップまで様々で、どれも訪れる人々の心を和ませる工夫が施されていた。 この小さなおもてなしは、訪問者に子供のころのような無邪気さと喜びを思い出させ、滞在を楽しくしてくれた。 日本とは少し違う、おもてなしの形。 なんだか心が安らいだ。 飴玉をみるとスペイン旅行を

王者の生ハム「ハモン・セラーノ」

スペインの代表的な美食と言えば、世界三大生ハムの一つ「ハモン・セラーノ」である。 生ハムは日本でも手に入るため、特別な期待をしていなかった私だが、ビルバオの街角のハム屋さんを訪れた瞬間、その場を支配するお肉の誘惑的な香りに心を奪われた。 「ハモン・セラーノ」とは「山のハム」という意味で、この名前はその製法に由来する。 塩漬けにした豚のモモ肉を山で熟成させる伝統的な方法で、通常は2~3年かけて熟成されるが、ビルバオではさらに長い6年もの熟成を施した生ハムがある。 この長期熟

幻のホワイトアスパラガス

日本ではあまり見かけない白いアスパラガスはスペインのバスク地方でよく見ることのできる珍しい食材だ。 スペインでのこの出会いは初めての経験だった。 地元のバルやスーパーでは、ホワイトアスパラガスが頻繁に目につく。 スーパーの棚には、これらのアスパラガスを含んだ瓶詰が大量に並び、非常に新鮮だった。 ホワイトアスパラガスの調理法はシンプルで、グリルや煮物として提供される。 添えられるのは様々なソースで、これがまた素材の味を引き立てる。 フォークとナイフで切り分けると、繊維が

遅い朝とピンチョスモーニング

バスク地方の朝は、他のどことも違う特別なリズムで始まる。 ピンチョスは、オリーブ・卵・エビなどをパンに串刺しにし、手軽に楽しむことができるスペイン、バスク地方のおつまみだ。 各バルによって異なるトッピングは、スペイン人の想像力の幅広さを見せつけてくれる。 多くの人が夜に楽しむと思われがちなピンチョスだが、地元の人々は朝からこの小さな美食を楽しむ。 夜遅くまで営業するバルは、朝になるとカフェに姿を変える。 地元の人たちは、ピンチョスを1,2品つまみながらコーヒーを片手に