文章が書けます

久しぶりにnoteを開いた。前回の更新が6月14日、約4ヶ月ぶりである。

前回の更新日は、私の就職活動における最後の面接の日だった。
今年の1月に就職活動を本格的に始めてから6月の半ばまで、ずっとエントリーシートを書いたり面接を受けたりテストを受けたりと忙しない日々を送っていた。それが全て終わったのが、最終更新日の6月14日。
このnoteも就職活動の一環として始めたもので、「文章が書けます」という自分の強みを明確にするためのものだった。それと、備忘録や純粋に文章を書くことが好きなためストレス発散も兼ねて。

6月14日、面接が終わり大きなビルから出た瞬間に5ヶ月分の疲労がどっと押し寄せ、ビル前のベンチに1時間ほどただ座り続けたのを覚えている。スマホを取り出す気にもなれず、ずっと東京の狭い空を見上げていた。
ただ面接官と話しただけなのに異常に疲れており、タクシーを呼ぶかギリギリまで迷った。結局、むくみまくった足をひっぱたきながら駅まで歩いたけど。

という調子だったため、しばらく何も手につかないまま、文章もなんとなく書かないまま。就職活動が終わってしまってはnoteを書く意義も消え失せ、ひたすらアルバイト・睡眠・アルバイト・旅行・アルバイト・睡眠を繰り返す日々を送っていた。
就職活動中にアドレナリンが出まくり後先考えず参加申し込みをした同人イベントの原稿だけは書かなければいけなかったため、一冊分だけ書いたけど、それも3万字と少し程度だ。普段はもっと書いていたのにな、と思いながらWordに向き合った。
就活が終わってからの私といえば、そんなもんだった。

少し話は変わる。

このnoteを長く読んでいる、あるいは私をよく知る人間ならばあまり驚かないかもしれないが、もしかしたら「3万字程度」というワードに驚いた人もいるかもしれない。3万字って「程度」で片付けられるものなのか? と思った人もいるだろう。

私は大学4年間の中で、およそ100万字を超える文章を書いてきた。小説だったり、こういった日記やエッセイだったり。
書いたものの主な投稿先であるpixivが言うには去年一年間だけで25万字書いているらしい。pixivに投稿していないものを合わせれば、きっと30万字は軽々超えているだろう。
なので、3万字はあくまで「程度」に過ぎない。もちろん書いている時は出口の見えない道を一人で歩いているように感じるが、今更3万字くらいで狼狽えることはない。
そして、これはかなり稀有な感覚であるという自覚もある。私の武器だ。


就職活動中に必ず問われる項目として、「ガクチカ」がある。学生生活に力を入れたこと、略してガクチカ。就職活動をしたことのある人間以外には耳馴染みが無い言葉だが、就職活動を経験した人間には忌み嫌われている言葉だ。

私が主に提出したガクチカはサークル活動だったりインターンだったりといろいろある。様々なものに手を出してきた学生生活だったので、ありがたいことに内容に困ることはなかった。
しかし自分が一番力を入れたことは何かと己に問いかけるたびに、これまで書いた100万字が頭をよぎるのだ。


文章力のアピールというのは難しい。作文課題でも設けられないかぎり測る物差しがエントリーシートくらいしか無いからだ。
そしてエントリーシートにもある程度コツや受かるフォーマットがあり、どれだけ文章力があろうとそのフォーマットを守らなければ落とされてしまう。往々にして、企業が求めているのは「素敵な文章が書ける人」ではなく「論理的で分かりやすい文章が書ける人」である。

ということで、ガクチカの欄に文章の話を書くことはあまり無かった。しかし面接中に話を深掘りされた時、実は文章を書くことが好きでnoteに日記を書いていたり小説を書いたりするんですよ〜という話をちらりとすることはあった。
ウン万字を書くことに抵抗感が無い人はけっこう珍しい。面接官ウケも良いので、私はこの“裏ガクチカ”を良いように使っていた。


今日は内定式だった。久々にリクルートスーツを着て、少し窮屈だけどその分姿勢が伸びるような感覚に懐かしさを覚える。何度着ても慣れないものだ。

緊張しながらも式は滞りなく終わり、続いて研修に移行する前に、専務に呼ばれた。
呼ばれたのは私だけだった。

まさかここにきて内定取り消し? 式中の態度が悪かったとか? 細心の注意を払っていたつもりだったけど……と怯えながら、案内された席に座る。専務が言った。「単刀直入に聞くけど、」
文書、書けるよね?

多分ここで、「ちょっとなら」とか「たぶん」とか「書けるというか、好きです」とか、歯切れの悪いことを言ってしまったら、きっともうダメだったと思う。

書けます、と断言した。
専務は「よし」と言った。それから、「そんなあなたに、やってもらいたい仕事があるんだけど」と。
やってもらいたい仕事とは、ずっと私がやりたかったコピーライティングの仕事だった。

自分が積み上げてきたものが武器に変わる瞬間に、初めて立ち会った。今まで100万字近く文章を書いて、いろんな本を読んできた。それが報われた瞬間があるのなら、きっと今日だったなと思う。

自分が書いた同人誌が200部売れたり、書いたものに感想が届いたり、全国紙の投書に採用されたり、今まで嬉しいことはたくさんあった。しかしそれらは全て趣味の範疇だ。
「好き」と「できる」には大きな差があって、「できる」と「仕事にする」の間にはもっともっと大きな差異がある。と、私は思っている。

文章や言葉にまつわる仕事をしたいなと思っていた。けど、それがどれほど難しいかも分かっていた。「いつか長い人生の中でそんな仕事に携われる機会があったらなぁ」くらいの期待値だけ持っていた。

しかしそのチャンスが転がり込んできた時、即座に「できます」と言えるだけの自負だけはあった。結局、それが「好き」と「仕事にする」の間にある大きな差をひょいと飛び越えてしまったのだ。飛び級で大学に合格した気分である。

今日ほど文章を書き続けて良かったなと思った日は無い。本当に嬉しかったです。


ということで、これからたくさんインプットしてその分アウトプットしたいのでまた日記を再開します。今日は文章にまつわる内容だったから真面目に書いたけど、今後はまた適当な内容になるはず。けど、何か実になるものになるといいな。

文章を書くことが好きです。
文章を書くことが好きだし、私は文章が書けます。

と、胸張って言い続けられるようになりたいな。

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