「鹿屋のキャンセルカルチャー」鹿屋市長の不適切発言について
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鹿屋市長が不適切な発言をしたようだ。
墜落事故があったヘリコプターと同型の記念切手について「事故後の写真で値打ちがあるのでは」と発言したのだ。市長としては冗談のつもりだろうが今回ばかりはそれも難しい。行方不明者に鹿屋市出身の方もいたようで、なぜこんなことを言ってしまったのか。
ここ数年「キャンセルカルチャー」が世界中を席巻している。
「キャンセルカルチャー」とは『多様性や公正にそぐわない、従来の文化や伝統、習慣などを否定し、そのようなものがあれば「キャンセル」していこう』という運動だ。
最近の日本で大きな「キャンセル」といえばジャニー喜多川問題に松本人志だろうか。 ジャニーズは名前も変えたので一定の「キャンセル」があったと言ってもいいだろうが、ジャニー喜多川の問題は誰もが知っていたことであり、これまで何もできなかったのであれば多様性や公正という観点にはほど遠いように思う。松本人志の問題は、現時点では報道も『』付きの疑惑であり、なんとも判断はできない。
Twitterを見てると、秋元康の『セーラー服を脱がさないで』の歌詞をキャンセルしようとネット左翼たちが盛り上がっていて笑ってしまった。(一部のネトサは、自分たちがネトウヨと同じように見られていることにいつ気づくのだろうか)
このように、どうも日本の「キャンセルカルチャー」は多様性や公正とはほど遠い、不祥事があった人や気に食わない人への個人攻撃のような部分がかなりある。
三牧聖子の「Z世代のアメリカ」によると欧米での「キャンセルカルチャー」は人種やジェンダー平等などの観点から、不適切な言動を否定し、ボイコットすることも含み、極端な場合はかつて奴隷制を認めていたとして、「建国の父」のような存在すら「キャンセル」の対象になったりしている。このような状況をトランプ前大統領は「過激なリベラル派」と断じている。
さらに興味深いのはプーチン大統領も同じようなことを発言していることだ。プーチンは22年10月に、内外のロシア専門家を集めた会議で以下のように話している。
『キャンセルカルチャーは生き生きとして創造的なものすべてを死滅させる。経済、政治、文化領域での自由な発想の成長を阻害する。リベラルなイデオロギーそのものが、今日、もはや認識も不可能なほど変容してしまった。』と。
もちろん、この発言は自分の権力を維持したいための方便という見方もできる。だが、プーチンを理由にドストエフスキーやチャイコフスキーを「キャンセル」しようという議論があるが、ぼくもふくめて多くの人はそれには乗れないのではないか。(最近、日本でも反権力のジャーナリスト、むのたけじ氏の名前冠した賞が「キャンセル」で終了した。)
ぐっと身近な話に戻そう。
数年前には志布志市でうなぎのcmが炎上した。少し前にはある鹿屋の男性市議が研修先で『このあと女を用意してますよね』発言もあった。さらには南日本新聞のオセモコという記事があるが、ここでは小中学生女子たちが大人のモデルのように着飾っているファッション特集がある。
ぼくは今回の鹿屋市長の発言は、人間だれしも過ちはあるものだし、さすがに今回のことは冗談にしてはしゃれになってないので本人も反省しているだろうから謝罪したなら許せばいいと思う。志布志市のCMと鹿屋市議の発言は削除すべきだし、謝罪すべきだと思う。そうしたので、それでいいのではないか。南日本新聞のオセモコについてはぼくとしては問題ないと思うが、全国紙では同じようなことは無理だと思うので今後はきっとできなくなるだろう。
これらはあくまでぼくの個人的な考えであり、これを読んでいる人はまた違う判断をするだろう。このように「キャンセルカルチャー」と言われても個人的な考えや価値観は人それぞれだ。
ルッキズムやセクシズムの問題はこれからどんどん鹿児島にも入ってくるだろう。そのときに『なしてこげんこつまで言われんといかんとよ』と反発が生まれるのは間違いない。そのときぼくたちはアメリカのように価値観の違いで対立する道を選ぶのがいいのだろうか、ぼくはそうは思わない。
社会にはいろんな世代の人たちがいて、それぞれの価値観で生きている。他人が古い価値観を持っていてもそれだけでレッテルをはることなく尊重してあげること。難しいかもしれないが、自分の考えを新しい価値観の人に押し付けないようにすること。それをそれぞれ積み重ねて社会は少しずつ良くなるのだと思う。
そして、どの時代でもその当時の価値観を今の価値観で断罪するのはやめるべきだ。
誰でも歳をとるんだよ。年寄りと若者が同じ価値観の社会なんて、気持ち悪いだけだ。みんなで少しずつ折れていこう。
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