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理想と現実
一体いつからだろう、心から笑わなくなったのは
一体いつからだろう、仕事に生き甲斐を感じなくなったのは
一体いつからだろう、普通に生きていくのがこんなにも難しいと感じたのは。
「普通に」「シンプルに」生きていくのが自分の理想だった。
一体いつからだろう、理想に期待をしなくなったのは。
一体いつからだろう、金だ。金さえあればと考えてしまうようになっているのは。
一番面白くない人間に、なってきたような気がする。
心から笑ってた10代、何をするにも一緒にいた仲間達が、俺のなによりで。
その仲間達が金なんかじゃ買えないかけがえのないものだとわかっているのに。
俺はこんな大事なものを持っているのに。
なぜ、金のことばっか考えるようになった。
皆の理想はわからないけれど、理想に向かって、いやもう理想どうりの生き方が出来てて。
楽しそうに見えるのは俺だけかな。
俺も色々あったけども、がむしゃらに考えてやっているつもりだけど。
なぁ、これが幸せか?
これが10代の頃考えてた理想なのか。
ほど遠すぎる現実に目を背け逃げ続けた結果がこれで。
ろくに眠れず、毎朝同じような場所で同じ仕事をして、まるでロボット、いや囚人みてーで
鳥かごなのかゴミ箱なのかわからねー場所でひーひー言いながら働いて、家に帰っては腹も減らねー状態で無理矢理に飯食って。
何が楽しくて生きてんの?とよく自分に言い聞かしてる最近。
俺にも色々あったこの「色々」が、少し荷が重すぎたような気がして。
約半年前に離婚と、親父の他界が重なり、神様のいたずらみたいにどんぴしゃで俺の誕生日に逝き、なんか俺に恨みでもあんの?と言いたいところだったが。
俺は大丈夫と自分に言い聞かせ、平気なふりをしてヘラヘラと過ごしてきたけれど、その代償か、いまになってよく思い出すことが最近よくある。
なにげない日常で、家を出るとき、飯を食べるとき、なんでか知らないけど、元嫁のことをフラッシュバックみたいに思い出す。
決まって楽しい思い出ばっかりなのが、心臓に針がチクチク刺さるみたいでやけに心苦しい。
なにもなかったけど、よく二人で笑ってた気がする、俺はしっかり掴んでた。「理想」ってやつを。
今は誰とどこで何をしてすごしているのか、わからないけれど、幸せにやってくれてればいいと思ってる。
皆のよく言う、ムカつかないの?とか、一理あるけれど不思議とそうは思わなくて。
どっちが悪いとか、他に男が出来たとか、そんなことはもうどーでもよくて。
お互い落ちこぼれちゃ、別れた意味ないもんな。
何年かたったら、瑞江のカレー屋にでもいってよ、あんときはこうだったとか、お互い笑って話してえよな。
一度は掴んだ理想ってやつを、失ってから気づくのではなく、幸せだと実感しながら生きていくのが重要で。
金じゃ買えないかけがえのない友達も、一緒にいて、あたりまえだと思わずすごして行きたい。
そしてこの友達も、失ってから気づいてほしくない今がいかに幸せかとゆうことを。
結婚なんかくだらねえぞ。でも、離婚はもっとくだらねえ俺みてりゃわかるだろって、大切な仲間達に言いたい。
この先俺も含め、だれもこんな経験してほしくない、失っちゃいけないなにかを、失ってほしくないと、せつに願い、今日も眠れない夜をすごす。
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