必見🔍ここが熱い🔥早稲田のパフォーマンスサークル文化

2024年7月16日 14:44

　早稲田大学は、授業やサークル、部活動といった多様な学生活動を行うことができる点が魅力の一つです。その中でもひと際目を引くのがパフォーマンスサークルの存在です。音楽、ダンス、演劇といった多彩なジャンルのパフォーマンスを通じて、各学生が自己表現の場を広げています。今回は、そんな活気に満ちたパフォーマンスサークルの代表にインタビューを行い、コロナ禍による苦難や、活動内容とその魅力、サークルに込める思いなどを伺いました。情熱をもって活動する彼らの声を通じて、早稲田大学の魅力を改めて感じ取っていただければと思います。

◎各サークル紹介

・SHOCKERS（ショッカーズ）
2004年に設立された、日本初の男子学生だけで組まれたチアリーディングチームです。過去には紅白歌合戦に出演したり、直木賞作家朝井リョウの小説「チア男子‼」のモデルになったりと早稲田を代表するパフォーマンスサークルの一つと言えます。また、全国大会優勝やアメリカ大会出場など実力面においても高い成績を残しています。

・万色主義（バンカライズム）
「全ての人の野心に火をつける」を理念に活動する、2016年に設立された早稲田の学ラン雑技団です。早稲田内外問わず様々なステージに出演し、ヌンチャクやバトン、アクロバットなどの雑技とダンスを織り交ぜた枠に囚われないパフォーマンスを行うことで、一人ひとりの得意分野や個性を尊重しながら、誰もが輝けることを証明しています。

・FALCONS（ファルコンズ）
1993年に設立された、女子だけの競技チアリーディングチームです。「年3回の大会でより良い成績を残すこと」「早稲田祭や外部イベントにおいて観客に『元気・勇気・笑顔』を届けること」の二軸を目標に活動しています。近年では全国大会に出場したり、プロスポーツの試合前に演技を披露したりと活躍の幅を広げています。

・Oasis（オアシス）
サークル員約130名の早稲田大学公認インカレジャズダンスサークルです。1999年に前身のサークルが設立され、その後2002年にOasisへと改名しました。Oasisでは、スロージャズからジャズヒップホップまで様々なスタイルのダンスを踊ります。また、ステージごとに異なる衣装も魅力の一つです。

・下駄っぱーず
「下駄×タップ＝下駄っぷ」のパフォーマンスを披露するオールジャンルのダンスサークルです。結成は2004年で、映画「座頭市」の下駄ダンスをアレンジしたことから始まりました。2007年に再結成したのち、現在は主に早稲田大学内のイベントだけでなく、全国各地のステージに出演しています。

◎パフォサー座談会

・取材日：2024年6月6日
・取材場所：早稲田大学3号館
・インタビュー対象：内田善也（SHOCKERS）、山本凛太郎（万色主義）、
　　　　　　　　　　土田華音（FALCONS）、西井杏樹（Oasis）、
　　　　　　　　　　岡崎凪（下駄っぱーず）
・ゼミ生：大屋友希菜（土田と同じFALCONS所属）、
　　　　　田中結子（岡崎と同じ下駄っぱーず所属）、
　　　　　亀谷洋武（野球サークルでキャプテンを務める）

Q.そもそもなぜそのサークルに入ったのか教えてください。
岡崎：就活でたくさん聞かれたから、もう答えられるね。でも就活用の綺麗な話じゃなくていいでしょ？（笑）
内田：リアルな話で言うと、高校生の時に、当時Mステや紅白とかにSHOCKERSが出ていてそこで知りました。
そのあと実際に大学1年生の新歓の時期になって、もう半強制的に「お前この日空いてるよな」ってSHOCKERSの人に言われて、新歓の練習に連れてかれたんですが、その練習がすごい楽しくて。自分自身男子校出身なんですけど男子校のノリとかもあって、すごくマッチしてるなと。入部きっかけはチアじゃなくて、チームの雰囲気でしたね。

山本：俺は多分背景がみんなと違って、結構リアルが綺麗な流れかなと思っています。俺はもう大学入ってからくすぶりにくすぶっていて。バンカライズムは秋に入会なんですが、それまで家から一歩も出ない半年間で、本当引きこもっていました。そんな「何かやりたいな」って思いながらも出来ないみたいな状況の時に、高校の先輩がたまたまバンカライズムにいて「公演に見に来て」って言われて見に行ったんです。そこで、パフォーマンスを見てもう悔しくて仕方なくて。「俺は何やってんだ」って思って入りました。

ー友達と一緒に入会したんですか？
山本：いやもう1人で。パフォーマンスは正直かっこよくなかったんだけど、（笑）でもなんか自分のやってることに誇りを持ってやれているのが、当時のくすぶった自分にはもう刺さっちゃったという感じですね。だからもうバンカライズムしかないなと思って…。実は大学やめようと思ってたんです、俺。
全員：えー！！
山本：大学辞めようと思ってたときにバンカライズムにギリギリ出会って入ったんです。それが結構みんなと違って綺麗かなと。（笑）

土田：私は小学校1年生からずっとチアをやっているんですが、大学で競技チアのチームのFALCONSに入るか、大学じゃなくて外部のクラブチームに入るかで迷ってて、体験に行ったりして。だけど社会人チームは卒業してからも入れるなってところがあって、学生チアは今しかできないっていうことでFALCONSに決めました。

西井：私は元々中高では創作ダンス部に入っていたんですが、大学ではもういいかなと思ってダンスはやめようとしていました。本当は武道をやりたかったので、合気道とか空手とかをずっと見ていて。
　ただ、マイルストーンっていうサークルを紹介している雑誌でたまたまジャズダンスって書いてあったOasisを見つけて。それがきっかけで軽い気持ちで新歓ライブを見たら、もうそれがもう刺さりまくっちゃって。私はヒップホップから柔らかい系のジャズまで全ジャンルやりたかったので、Oasisがもうもろタイプだったんです。そこですぐ即決で入っちゃいました。
山本：武道も見たかったけどね。（笑）
西井：剣道同好会入ってたんだよね、1年生のとき。でも辞めて、ダンス一本にしました。

岡崎：僕は今までずっとサッカーをやっていたので、サッカーやる気満々で大学に来たんですが、実際にサッカーサークルの新歓に行ったら、いわゆる初めての飲み会みたいなので案の定潰されてしまったんです。それで「これ怖いな、合ってないな」と思っちゃって。
　でもそれがまだ入学前の3月だったので、「どうしようかな」って思っていたちょうど4月頭ぐらいから、パフォサーの新歓が始まって。パフォサーは大体4月から一斉に新歓スタートで4月中で終わるみたいなところが多かったから、「まだゼロからスタートでも間に合うぞ」と思いました。そこで高校の先輩が下駄っぱーずにいたので、純粋に新歓に行ってみました。正直練習自体の雰囲気はあんまり良くなくて楽しくなかったんだけど、ただその自分の知っている先輩が代表をやっていて、凄く上手でサークル内で輝いてたから。多分ここだったら自分もああいうふうにはなれるんじゃないかっていう、将来のイメージ像みたいなものが描けて。
　だから男子も全然でいなかったし、1回もパフォーマンスも見てないけど、その場で入会を決めました。それでそのあとRIDEを見に行って「間違ってなかったかな」って思えましたね。こんなこと言っても就活では1回も言ってないですけどね。（笑）
ーありがとうございます！

Q.なぜ代表になったのか、経緯を教えていただきたいです。
山本：代表になるための要素っていっぱいありますよね。リーダーシップが取れるのか、実力があるのか、みたいな。俺はそれで言うと、多分実力からその自分のポジションを自覚し始めたと思います。
　そして、それを自覚したときに来年仮に代表をやったとしたら、どこを目指してどういうサークルになるんだろうみたいなことを考え始めて、俺たちはEF(早稲田祭のEnding Festival)が最終目標だったので、どうしてもその舞台に立ちたいってなった時に、メンバーの得意不得意を見て、もしかしたら自分が代表なるのが一番近道かなって思いました。
　あとは、ちょっと恥ずかしくて同期には絶対に言いたくないけど。結構くすぶってた過去があったので、バンカライズムに大学生活を救ってもらった感覚がすごくあって。だから自分ができる最大限のお返しが代表になることだって思ったのもあったかもしれないです、正直。同期には絶対言えないけど。（笑）

土田：私も小学校1年生から10年以上チアをやっていて、FALCONSは基本未経験で大学から始める人がほとんどだったから、実力的にっていうのがありました。
　それに加えて、元々は私ともう1人チア経験者で上手な子がチームにいたんですが、1年生の時にその子が辞めちゃって。それで一時期は自分も辞めてクラブチームに行くかすごく迷った期間がありました。でも結局先輩から沢山アドバイスをいただいてFALCONSに骨を埋める覚悟を決めたというか。そこでもう、FALCONSを続けるならキャプテンをやる、キャプテンやらないならFALCONSを辞めるって自分の中で思っていました。だから、みんなが楽しくチアをできるようにチームを変えられたら、とキャプテンに立候補したという流れですね。

内田：僕は活動が週4日でプラス自主練とか入れると、週5、6日ってなるサークルだったので、どうせ大学生活をかけてやるならとことん捧げたいなって思ったからです。あとは学年が上がっていくにつれて、チームをもっとこうしたいみたいな気持ちが出てきて。それで代表になったら責任も伴うけど、そういう下支えみたいなことがしやすくなるかなと思って立候補して、選挙したという感じですね。選挙自体は自分含めて3人が立候補したので、全員演説をして、最終的に後輩と同期が投票する仕組みでした。

ー票を集めるために何か努力したことはありますか？
内田：特に票を集めるためにっていう行動はしてなかったと思うけど、「こうしていきたい」ということは正直に伝えたし、自分のためじゃなくてチームのためっていうのをちゃんと考えてやっていれば、おのずと多分周りも理解してくれるかな、と思っていました。

西井：Oasisは2年生のときに一度学年作品を作るのですが、周りからの推薦でそれのリーダーを、そのときは幹事長になるとか全く思わずにやっていて。でもそれがすごく大変だったから正直「もう絶対代表には死んでもならない」ってずっと思っていました。（笑）
　Oasisは選挙の方式がきっちり決まっていて、最初に立候補でも他薦でも名前を出して、それを承諾した人が全員立候補という形になるのですが、そこで初めてその自分の名前が他薦で出た時は、すごく承諾するか悩みました。恐らく1週間ぐらいずっと悩み続けたのですが、結局ただ踊るのが楽しいんじゃなくて、みんながいろんなこと乗り越えてきて踊ってる笑顔を舞台袖から見ることが、やっぱり一番好きだなって思って。誰よりも楽しそうに運営できる幹事長に絶対なりたいと思ったので、立候補したという感じです。
岡崎：一番楽しそうだったんじゃない？
西井：いやみんな（パフォサーの代表たち）のおかげで！本当にみんなが頑張ってるから私も頑張ろうって思えてます。

岡崎：俺はそんな綺麗な話じゃなくて。みんなと逆で入部する動機が代表になること、だったので、もう1年の最初の時点から代表になりたいなって思ってて。元々は運スタ(早稲田祭運営スタッフ)も入っていたのですが、3年生で運スタの代表を目指すか、下駄っぱーずの代表を目指すかの2択から始まってて。
　これは他にめっちゃ熱い話もあるんだけど、（笑）まず下駄っぱーずの代表になることを決めた理由としては、やっぱり楽しかったというのもあるけど、1年生のとき俺ら出番が本当に2,3回しかなくて。でも最初は年間大体10件〜15件ぐらいは出演があるよって聞いてたので、話と違うぞと。でもそれを俺の2個上の代表は自分から変えようっていう気概がなかったというか。少しドライな人でもあったから、そこに対する何か熱量みたいなのが感じられなくて、ちょっと残念だなって思っていたというのがあります。
　あと、よくパフォサーでは「19(2019年度に活動していた代)が一番良かった」みたいなふうによく言われることがありますが、1個上の代はそこにだいぶ戻ってきた代でした。だったらそれを超えたいと2年の代表選挙の時に思っていたし、もう一つ悔しかったこととして、下駄っぱーずってパフォサーの有名どころ(SHOCKERSなど)からするとちょっと下にいるとこだな、と当時は思っていて。それがやっぱり悔しかったというか、チームの地位というかポジションを上げていくために一番熱量を出せるのが多分自分だ、と思いました。だから代表に立候補しようかなと思ったんです。
　あと、さっき言ってた熱い話っていうのは漫画みたいな話があって、（笑）1年生の早稲田祭が終わった後、僕は同期で今の運スタの代表の佐溝くんっていう子と副代表の佐藤くんと3人で片付けをしていて、「早稲田祭本当によかったね」みたいな話をしていました。俺はその時には2人に「下駄っぱーずの代表になるか運スタの代表になるか迷っている」って言っていたので、「どうするの？」みたいにな話になって。その時佐溝は「運スタで代表目指せよ」って言ってくれていたけど、「俺は今回の早稲田祭で下駄っぱーずで代表になるって決めた」と話しました。そこで「じゃあお前に運スタの代表譲るから...」当時はイキってたからね。（笑）「お前に運スタの代表譲るから、2人でEF（早稲田祭のEnding Festival）立とうぜ」と言って、その日に運スタを去りました。そして、2人で頑張ろうなと言ってやめた結果、2年後の早稲田祭で一緒にEFのステージ立てたよっていう。（笑）
山本：アツい！！

Q．代表として様々な苦労があったと思いますが、どういう苦労があって、どのように解決したのかをお聞きしたいです。
岡崎：共通してそうなことで言うと、たかがサークルっていう位置づけなのが、多分代表として苦労したところかな。
土田：それが全てな気がする。（笑）
岡崎：クラブチームとか部活動じゃないから、メンバーの熱意の差があったよね。SHOCKERS、FALCONSもあるの？比較的少ない？
山本：そこは割と部活よりなイメージ。
内田：絶対に来させるけど、自主練とかは一人ひとり経済環境とか生活の環境が違う。だからそこで「あいつ自主練何で行ってないの」っていう人もいるし、「なんであいつバイトとかしてないのにそんな自主練行けてるの」って人もいる。そこの分裂が苦労したかな。
山本：めちゃくちゃ分かる。
土田：みんなの練習への意識とか参加頻度とか、そういうところの差がやっぱり大きそうだね。
岡崎：サークル内部だとそうじゃないかな。うちは熱意の差が激しい方で、兼サー（サークルを掛け持ちすること）とかもあるんだけど、そういう人も含めて公演には全員出す必要がある。そういう時にどうやって運営するかは大変。

ーそれはどう解決しようとしましたか？
西井：結構私が苦労したなと思ったのは、自分は絶対にOasisが一番だけど、みんながにとっては優先順位があるというところでした。だから練習のときに1回全員集めて、みんなにとってのOasisの優先順位は確かに違うかもしれないけど、この体育館にいる間だけOasisを一番にしてくれって言って、みんなが参加できる練習では全員が100％の姿勢で臨むというのを共通認識にしました。
山本：すごい！
岡崎：Oasisに正規練はあるの？
西井：正規練プラスで任意練習がある。そこには幹部は絶対来るけど、135人いて6人参加とかの時もあった。そこは大変でした。（笑）

岡崎：どのように解決したかでいうと、うちは全員出なきゃいけないステージがいくつかあって、自由に出れるよっていうステージもある。そこでいっぱい色々なステージを持ってくれば、ステージ上での差は埋まっていくのかなという。これはちょっと冷酷なんだけど、元々はステージが少ないから、やる気レベルが3から10の人までと1から2の人とでわかれていた。いっぱいステージがあるとやる気が10の人と9の人で分けたりと細分化できる。そうすると個々人に対応したスタイルが出てくる。それぞれのやりたい頻度に合わせてやれる環境を用意できた、というのが一つ解決策だったかもしれないです。

ー仕組み作りですね。
岡崎：うまくいかなかったかもしれないんだけどね。

山本：結構俺はパワー型かも知れない。やろうぜって俺が言ったときに凛太郎が言うならやるよってなってくれたらもう最高だし。そうなった時に後悔させない自信があった。
土田：かっこいい！
山本：俺にはバンカライズムしかなかったから。ゼミも入ってないし。だからっていうのもあったのかなとは思うけど、代表になってから1回も練習休んでないの多分俺だけなんだよ。時間も絶対守ってた。今日は守ってないけど。（笑）絶対、誰か何か我慢させちゃうじゃん。その時に、どれだけ自分の存在がその人の納得感に繋がってるかがすごい大事だと思っていて、意識をしていました。

ー例えば大会とイベントがあった時に、「大会は辛いな」と思う人もいると思うのですが、そこの意識の合わせ方はどうしていましたか。
岡崎：まず2人（内田、土田）はめっちゃ頑張るというか、別にモチベーションを失わないタイプだったでしょ。優先順位はどうなってたの？
内田：大会は3月にあったので、そこら辺のイベントはもう全部断って大会に注力。その後は全部イベントみたいな感じ。大会はもう本当にめちゃめちゃでかい目標。
岡崎：チームマネジメントの面では？
内田：全員男だからっていうところのメリットは、恐怖心を与えて強制的にやらせるっていうことが一応できる。もう本当に部活みたいな感じで、昭和のやり方だけど。「お前何手抜いてんの」みたいな感じでできるっていうのもぶっちゃけ一つの強み。他にはもちろんメンバーに選ばれないとその時期はずっと練習できない。そういう人たちには自主練で何か難しい技とか自分が克服したい技とかを練習できる場を設ける。そうすることでモチベーションを繋げて、「大会終わったら、今選ばれているメンバーの座を奪おうぜ」みたいな感じでアプローチしてました。
岡崎：AチームBチームとかないんだ。
内田：選ばれるか選ばれないかだね。

土田：FALCONSは大会のチーム分けがA、B、Cまであるよ。
西井：えーそうなんだ。
岡崎：でもちょっとシビアな話題かもしれないんだけど、やむを得ずBになってしまった子とかいるよね。
土田：いる。オーディションがあってその日にコーチから、Aチーム16人呼ばれて、Bチーム呼ばれて、Cチーム呼ばれて。次の練習からこのチームで練習していきますってなって、別々に大会の演技を作っていくから。その日はAチームに入れずに泣いてしまう子もいる。

ー幹部代だけどBチームの子とかもいるんですか？
土田：いる。学年とかじゃなくて全部実力で点数つけられるから。
岡崎：しかもポジションがあるからね、ポジション内の同期とか取り合うでしょ。
山本：すごいねそれ。
土田：トップ4人、ベース8人、スポット4人（それぞれチアリーディングのポジション）でAチームみたいな感じだから、トップに上手い先輩とかが多いと、もうAチームにはいけないみたいなときもあったりするよね。

ー何かメンタルケアで心掛けた部分はありますか？
土田：メンタルケアは後輩で泣いている子には話しに行く、っていうのをやっていました。あとは、もう大会の練習を沢山やりたくてイベントなんか出てる場合じゃないって考える人もいたり、逆に大会練習が嫌いでイベント練習をメインでやりたいって子もいたり、っていうところで、危うく二分化しそうみたいなことはありました。でも二分化したら終わりだなと自分は思って。お互いやりたい方面があるのは認め合った上でお互いが頑張るんだから、そのお互いのためにちゃんと大会もイベントも全部やっていこうっていう雰囲気を作って、みんなでまとまったみたいなところはありました。

山本：俺らは実力というか基準が難しい。俺らは逆に実力あっても、ポジションがどうとか文句言われることがある。
全員：あーなるほど。
山本：「なんで俺よりあいつが前なんだ」みたいなのがあるし、実力だけで決められない。

ーそれって代表が決めるんですか？
山本：俺はたまたまメンバーの練習を組んだり、取り仕切ったりする練習局というところにもいたから。代表だけど、そこに頼みながらやってた感じで。誰とコラボやるとかもですね。
岡崎：なるほど、そこは大体揉めるよね。

Q.コロナ期の活動はどのようなものでしたか。
岡崎：俺はほぼ経験してない。活動制限などは解除されてた。俺ら的には大変なのはコロナが出ちゃったときじゃない？
土田：大会の1週間前ぐらいにAチーム16人中10人ぐらいコロナになっちゃって、1週間練習できず、当日になってやっと全員戻ってくるみたいな感じで、いろいろ構成変えたりとかして大変な思いはしましたね。
岡崎：それぞれあるね。うちも2年の一番大きい遠征のときは、もう本番まで練習無し。それで本番現地の兵庫の暑い田舎の体育館で3時間練習しただけのものを見せるというのもあった。
　あとは、当時こういうのあったなと思うのは、どこかのサークルでコロナが出るとすぐ噂が広まる。
西井：あー言わないで！ってやつ。
岡崎：すぐ話題になって。その学生会館の2階があってそこにパフォサーがいるんですが、コロナ出るとそこがピリつき始めるみたいな。そこで放送研究会さんがもう大流行しちゃって、9月期の公演でコロナが流行っちゃった。大学から規制が下りるからそれに対してどう対処してっていうのをちゃんと報告しなきゃいけなかったというのが、やっぱりサークルの外部のところで言うと大変だったかな。対外的には純粋にステージ減ったっていうのも結構大変だったし。
西井：でも私達が多分1年生のときが一番大変。黙食しなかったら犯罪レベルで。先輩方も本当に大変な中運営してくれていた。コロナ禍を経験したからこそ、舞台のありがたみが身に沁みてわかる様になった、すごく恵まれた代だったかもしれないね。

山本：そこで元の早稲田が戻ったって言っていただけることもあるよね。
岡崎：コロナでパフォサーが壊れたから、もう一度作れるのが多分この代ぐらいだった。それぞれ代表ないし、チームないし、いろんな思うことがあってどこを目指すか。例えばメンバーの数が増えてきたから、大会頑張ろうってなる人もいれば、1回呼ばれたイベントも全部なくなっちゃったから新しいイベント探して頑張ろうって出演数を増やしに行く人もいれば、何か全く新しい活動の形を探していくような人たちもいたりとかっていう。
　そこがうちの特徴で、多分みんながみんな元の早稲田を目指したかっていうとそうではなくて。やっぱり共通認識として、コロナ前の早稲田祭の最盛期と言われている2019年度の早稲田祭に対して、みんなそれぞれの憧憬の念みたいなのはあって、それをベースにしたところでどうしようかっていうのが光っていたから。決して元の早稲田を目指していたわけではなくて、それを超えていくよっていう意思はやっぱり共通してみんなあったのかなっていうふうに思っているし、代表会でもそういう話は結構出てたりはしました。2019年の世代を超えていこうねっていう気概、気運があったよっていうところで、戻ったことはすごく嬉しいけど、戻っただと超えてない。そこにちょっと悔しさもある。
山本：コロナを言い訳にできないよね。

Q.早稲田に誇りを感じていると思うのですが、他の大学のパフォーマンスサークルと比べて何か自慢できることがあれば教えて下さい。
内田：明治大学にはパフォーマンスサークルっていう概念がないみたいで、早稲田が一番そういうのが活発なのかなっていうふうに思っていて。やっぱり早稲田っていうのは、もちろん早稲田内のイベントでもコラボがあるし、早稲田の外のイベントでもコラボとかがあるので。距離感もめちゃめちゃ近いし、たまに代表会みたいなのを開いて、その悩みとかも話せるし。一体感があって本当に盛り上げられているんじゃないかなっていうふうに思います。
西井：慶應大学もGMARCHももう全部、どのサークルもコラボとか一切しないって言っていて、ジャズダンスサークルだけかもしれないけど。こんなに横の繋がりというか、サークルのジャンルとか概念を超えて、みんなライブとかでコラボするのは本当に早稲田だけなのかなって。本当にいいなって思います。

Qずばり代表会のメリットは何でしょうか？
岡崎：お互いの公演前に練習場所を譲り合ったりできますよね。色々なことがうまく行きました。
山本：フェアになった感はあったかも。パフォサーの中でも序列が何となくあって。でも意外と話してみたら、そういう他の団体への偏見とかなくなって。
岡崎：ただ、誰がどこまで何をパフォサーと認識するかっていう問題が大きくて、分断を招くきっかけになってしまったのは課題だったと思っているかな。誰かが決めたくくりじゃない分、仲間外れみたいなのが起きちゃって、一種のパフォサー嫌いな層からすると煙たい感じもあるのかなとかね。

Q.代表会として早稲田全体を盛り上げるために、取り組んだことがもしあったら教えてください。
山本：運動会とかいいんじゃない？
西井：代表だけじゃなくて、サークル全体で仲良くなれたらもっと楽しいかなということで、サークルの合同運動会みたいなのを凪君と企画して、夏単独ライブとかが終わった頃ぐらいに1回やりました。

ー開催に向けて苦労したことはありますか？
岡崎：みんな忙しい時期だったので、シンプルに進度が難しいっていうのがあったね。
西井：そうね、急ピッチで決めなきゃいけなかったよね。
岡崎：飲み会で決まったしね。（笑）いろんな団体の人がいる分、どういうふうにまとめていくのかとか、本当にできるのかとかいうのもかなり…。役職（代表、会計など）についていない子がいろいろ手伝ってくれて、実現に向かえたっていうところではパフォサー内では盛り上がったのかなって…。早稲田を盛り上げるっていうか、パフォサー内でのそういう関係構築みたいなのは、メンバーにも浸透できるようにしたかな。あと、コラボも増えてない？今年は。
山本：コラボによって、「早稲田にパフォサー文化あり」みたいなものを証明する一つのきっかけが生まれたから、また広がっていけばなとは思います。
岡崎：長くならないようにいうと、今年1個やったものとして、その早稲田らしさが伝わるものみたいがパフォーマンス中にあったらいいなって思って…。
　今まで一応使っていた定番曲（下駄っぱーずのfestivo）があるのだけど、新しいものを作ってそこに応援歌の『紺碧の空』の歌詞の一部を入れてみました。早稲田らしくパフォーマンスできる演目を作って披露する場を作っていったかな。まだ定着してないと思うけど、向こう何年かでどんどん定着していけるように振り付けを観客の方も踊れるようにもしました。例えば早慶戦でも披露させていただきました。
山本：早慶戦に出させていただけるなんてうれしくない？
岡崎：学注（学生注目の略で、応援団が自己紹介をする際に使ったのがはじまり）とかも出させてもらった。こんな感じで、自分らで自己満足しているパフォーマンスだけじゃなくて、大学を背負ってやっていけるようになれば、より学生文化豊かな早稲田ってところ出していけるんじゃないかなって思っていますね。
山本：パフォサーへの変な偏見もそういうところから消えて欲しいなと思っています。
全員：そうだね。

Q.新しいことに取り組む原動力を教えてください。
岡崎：内田が一番すごいよ。早稲田コラボとか。
内田：今まで大体1回のショカフェス（SHOCKERS主催で行われる単独公演）で2団体としかコラボしてなかったのだけど、今回は全体的に仲良くなっていたから、どうせやるならいろんなサークルがあった方が絶対に盛り上がるし、見ている方も楽しいと思うから大変だけどチャレンジしてみようということで早稲田コラボをやりました。本当に「見ている人を楽しませる」っていうのが、俺らのやっていることの目標というか、最終地点だからそれを達成するためには絶対に早稲田コラボっていうのは向いていると思うし、やるべきだと思った。難しいし、かなり壁は大きかったけれど、それを原動力に動いたっていう感じです。

西井：私は運動会とかは、もちろん団体同士、メンバーたち同士が知り合いになることも大事だなと思ったけど、パフォサーとかのライブを見に行く層って、大体同じような踊りに興味がある子たちだから、ターゲットを増やすことが原動力でした。やっぱり仲いい友達とかの踊る姿とかは絶対見たいだろうなと思ったので、運動会の途中とかにその団体紹介でちょっと踊るコーナーとかを設けて次の公演に行こうって思えるようにしました。
山本：いっぱい角立つと思うけど、なんか俺たちの代が羨ましいと思ってもらえたらもう…。あの代には、かなわないって言われたいし、最初はバンカラの中で考えていたけどそれこそ代表なんかやって、その規模が広がっていって。23の代（2023年度に活動した代を指す）が羨ましがられたいと思っていたかな、19の代（前述と同様）みたいに。

Q.最後の質問になりますが、今後のパフォーマンスサークルに期待していることがあれば教えてください。
内田：これからもずっとうちの代みたいに距離感の近いサークルであってほしいっていうのは一つ思うし、早稲田といったらパフォサーと連想されるようになってほしいですね。早稲田のシンボルみたいな！

山本：ずっと言っていることとして、内向きにやって欲しくないというか、自己満足でやって欲しくないなっていうのがあって…。一歩間違ったら俺たちは自己満足のサークルに成り下がってしまうというか、そうなったら早稲田のパフォサーではなくなってしまうと思う。だから、外に対して常に「誰かのために」みたいなものを思ってパフォーマンスをして欲しい。その過程で自分たちのかっこよさとかにこだわって欲しいなって思っています。手段と目的を入れ違うみたいな勘違いをしないで、常に外に向かって発信していってほしいなと思いますね。

土田：FALCONSのことでいうと今までは外部との関わりがほぼなくて、コラボとかもあんまりしてなかったから、閉ざすのではなくて、もちろん大会で成績を残すのもそうだけど、それと並行してその他のパフォサーとも仲良くコラボとかで関わりを持ってやっていってほしいと思っています。

西井：みんなが言っていたように早稲田のシンボルがパフォサーになるくらい、横の繋がりを大切に楽しくやってほしいなっていうのと、あとやって後悔することは本当にないと思うので、怖いとか不安とかもあると思うけど、いろいろ挑戦して、後悔なく、今しかできないことを楽しんでほしいなって思います。

岡崎：そうですね。僕は2つあって、まずパフォサー全体にっていう意味で、「パフォーマンスを見せるサークルである」というところは絶対忘れちゃいけないのかなっていうふうに思っています。OBの人とかに見せるのではなくて、「一般の方々に向けてパフォーマンスを披露しているのだよ」っていう一体感を忘れちゃいけないのかなって思う。
　もう1個は、散見されている問題として、創業理念みたいなものが徐々に年次が経ってくると薄くなっていること。今パフォサーで一番新しいものでも、漣（書道パフォーマンスサークル）の4年前。仲良くなっているからこそ、1つにまとまっていく感じって早稲田のパフォサー文化として正しいものではないと思っていて、それぞれがいろんな色をどんどん出してくれるといいのかなって思っていますね。

Q.何か言い残したことあれば、是非お話しください。
岡崎：はい、告知をしますね。（笑）まず今年度もですね、ありがたく早稲田祭で「4年生でも委員会」という毎年ステージの時間をいただいてやっている「パフォサーを引退して卒業を控えた4年生がもう一度ステージをやる企画」が今年も進行中でございます。現時点で220人ぐらいの出演者もいて、既に去年より50人超えでこれからまだまだ増えていくのかなっていうところで、歴代最高のものを最高の人数で見せられるように計画中ですね。
　パフォーマンスとか演技とか、あとはダンスとかそういうもの自体にもっと興味を持ってもらえるように、そういう文化がどんどん根付いていくようにOBとして活動していきたいなっていうふうなのは常日頃から思っております。はい、以上です。

ーということで、本日はご協力いただきありがとうございました！
全員：ありがとうございました！

◎インタビューを終えて

　今回、早稲田大学のパフォーマンスサークル代表にインタビューすることで、各サークルの情熱が伝わり、それぞれのサークルが持つ独自の文化や価値観を理解することができました。また、彼らがいかにしてそのサークルに参加し、代表としての役割を担うに至ったかについてお話いただいた際にはサークルにかける思いが伝わってきました。
　特に印象に残ったのは、どのようにして困難を乗り越えたのかという点です。チームで一つのものを作り上げるためのまとめ方やコロナ禍における活動方法、対処方法といったパフォーマンスサークルの代表ならではの困難があり、興味深かったです。
　各サークルの活動内容についてお話いただいた場面では、全国大会への出場や様々なイベントでのパフォーマンスなど、サークルメンバーの努力と成果が伺えるエピソードがあり、各サークルが力を入れていることが何であるかがわかりました。
　この座談会を通じて、早稲田大学の多様な学生活動の一端を垣間見ることができました。各サークルがどのように自己表現するのかを追求している様子に非常に刺激を受けました。今後も、彼らのような熱意を持った代表達が、早稲田大学の文化や伝統をさらに盛り上げていくことを期待しています。この記事を通じて、読者の皆様にもパフォーマンスサークルの魅力と、作品を創り上げるサークルメンバーの努力を感じていただければ幸いです。

左から
内田（SHOCKERS）山本（バンカライズム）土田（FALCONS)　西井（Oasis)　岡崎（下駄っぱーず）

文責：大屋、田中、亀谷