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甘柿と渋柿

柿は「国果」であり、日本人にとってとても身近に感じる果物の一つだと思います。日本の気候にとても合った、秋を代表する果樹で今まさに旬と言える果物です。

甘柿と渋柿の違い

甘柿と渋柿の違いは、柿の渋みのもとである水溶性タンニンで、これが口の中で溶けて渋みを感じるか否かの違いです。甘柿も幼果のころは渋みがありますが、収穫時になるとタンニンが「水溶性」から「不溶性」へ変化する為、渋みがなくなります。
また、渋柿はアルコールや炭酸ガスを使って渋抜きすることでタンニンが「不溶性」に変化して甘くなります。干し柿にしても渋みは抜けます。

果実の形でも見分けられます。
一般的に甘柿はボリュームがあって丸い形をしているのに比べて、渋柿は先が尖っていたり、平べったく四角い形をしているのが特徴です。

甘柿はこちら(富有柿)

渋柿はこちら(蜂屋柿)


富有柿と蜂屋柿

岐阜を代表する甘柿 富有柿 と渋柿 蜂屋柿を紹介します。

富有柿は、居倉御所(いくらごしょ)が起源となる完全甘柿で、居倉御所は江戸時代末期に岐阜県の居倉村の小倉家によって栽培された柿で、食味がとても優れていたそうです。その柿枝を1884年(明治17年)に福島才治という人物が接ぎ木して育て、のちに「富有」と命名。重さは230~280gくらいの丸みのある形をしており、果皮はツヤのある橙紅色。甘味が強くて柔らかく、食感はサクサクしているのが特徴です。


蜂屋柿は、岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古くから栽培されている渋柿の品種です。蜂屋町でつくられ特産品ともなっている事で「蜂屋柿」と名付けられています。蜂屋柿は、先が尖った釣鐘状で、外皮は濃厚な橙色・果肉はオレンジ色となっています。
蜂屋柿を干柿にしたのが「堂上蜂屋柿」と呼ばれ1000年もの長い歴史があります。天皇や朝廷にも献上されるほど美味しい干し柿となったこともあり、天皇の日常生活の場に昇る事を許された公家などの家柄・殿上人を指し示す言葉である「堂上」が名前として名付けられたほど貴重な存在となっています。

つちやの自家農園でも、約800本の蜂屋柿を栽培しており11月1日より始まった収穫も終え、柿干し場に吊るされた「柿カーテン」が広がっています。

次回は堂上蜂屋柿の干し柿「御前白柿」のことを書きます。

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