見出し画像

Suicaはどこで失敗したか?

Suicaが日本向けのiPhoneに搭載さてれている時点で、Suicaはキャッシュレスの世界で十分に成功していると言える。
とはいえ、それは、既に過去の栄光と考えたほうが良いだろう。

交通系ICカード払い廃止へ クレカ決済導入方針 路線バス5社https://www.asahi.com/articles/ASS5X4GK0S5XTLVB002M.html

というように、交通系ICを使い続ける事ができないという、ローカル交通の事情が表面化してきているのである。

キャッシュレス決済を単純化すると
「QRコード系」「クレジットカード」「交通系IC」
に区分される。

価格の面で言うとQRコードは安価、場合によっては、紙にもできるので、QRコードを使ったキャッシュレスは、当面ニーズが見込まれ、既に鉄道でもQR併用で磁気タイプの切符を廃止しようという動きになっている。

Suicaが残念なポイントと言われるのが20,000円チャージの問題。
2万円以上の商品って、それなりにあるわけで、そうなるとクレジットカード、デビットカードとの併用になると思う。

逆にクレジットカードがあるのに、なぜSuicaを使うのかというと、少額決済なら、クレジットカードより、ちょっとスピーディーに処理が完了する点にある。

その点で言えば、Suicaが少額決済としてちゃんと進化できれば、20,000円問題というのは大きな問題ではなく、使い分けで生き残る。というのが正しい戦略だと思う。

Suicaや、クレジットカードにない、QRコード系の機能として、個人間送金が挙げられると思う。

現金だったら、手軽に自由な金額を、他人に渡す事ができ、その点でQRコード系のキャッシュレスサービスは比較的現金の利便性をカバーできていると思う。

一方でQRコードが他より少し弱いのは、スマホがないと利用できないとか、画面の表示に少し時間がかかるとか、使い勝手の部分ではちょっと手間がかかる。

Suicaはどう終わっていくか?

現在、JR系ICカードの統合が計画されているようだ。交通系ICカードとして相互運用は既に行われている。それでも、同じ規格が、違う名称で日本中にバラバラと存在するのは、ユーザーの観点で不便だし、それを使用する事業者も不便である。統合というのは、前向きな改善のように見えるが、実際には、すでに時は遅し、交通系ICの終わりの始まりとなると予想している。

統合は難しい
某銀行システムの統合もそうだが、鉄道各社の予約システムの統合も全然進んでないのに、キャッシュレス分野だけうまく統合が進められるとは、到底思えない。交通系ICのシステム自体はおそらく、ほぼ共通。既に統合に向けた準備も着々と検討されていると思う。それにもかかわらず、統合がうまくいかないというのは、トップのテクノロジーの理解不足と、ボトムの綻( ほころ)びに足を取られ、すってんころりんというのは日本の社会構造なのかもしれないが、まあともかく、統合というのは言うは易し、行うは難しである。

もうひとつ、蛇足で、言っておきたいのは、この際、統合ブランドの新名称を公募で募集しようなどとは、くれぐれも思わない方がよい。近年、公募できまる名称というのは、けっこう外しているパターンが多い。

JRE BANKという切り札
話はもどって、JRE BANKが登場。Suicaの成功を過去の成功談としてそのまま終わらせるわけにはいかないという、意気込みは感じられる。
今後、 Suicaの2万円問題の部分も、なんらかの方法でカバーされていくことになるだろう。

クレジットカードとQRコードのデメリットをカバーする形でSuicaのような交通系ICも当面残ると思う。少なくとも交通の分野においては、独占禁止なんとかというメスが入らない限り、そこは、JRの土壇場であり続けるだろうから、そこだけは少なくともキープできる。

少額決済のジレンマ
Suicaが最も求めらている領域というのは、少額の決済を全国どこでも子供から大人まで安心して使える。簡単に使える。というものだと思う。
一方で、 Suicaの決済導入には、手数料、システム負担が重くのしかかる。

本来、少額決済は、小さな手数料もしくは、手数料なしで、誰でも簡単手軽に安心してつかえるという所に、ゴールがあるべきで、最終的にはこの手数料の部分がJRが攻め切れるかというものなのだが、そこはJRには難しいだろうなと思う。

PaypayがNFCやICカードに対応すれば、かなり強力になると思うし、Paypay以外の海外勢が突如日本に入ってくる可能性もあるだろう。
ある一定までは、どのように市場を取るかが勝負だが、ある程度市場が確立した後は、決済手数用をいかに抑えるシステムに変更できるかにかかってくると考えている。

そう点で言えば、クレジットカードも、他の決済システムに取って代わられる可能性は十分にあるわけで、決済手段に絶対安泰というのはないのである。

あとがき
今回は、あーだこうだと、未来を予測したような書きっぷりだが、筆者、未来の事は正確には、わからない。今後Suicaが全国統一を図り、Felicaなしで海外に広げていく可能性もゼロじゃない。Felicaも、キャッシュレスおよび本人確認の技術として残る可能性は十分ある。SuicaをQRコードと連携もしくは二本立てにして、JREポイントと連携をさらにすすめ、個人間送金にも対応。など、やるべきことをやれば、まだチャンスはあると思う。とはいえ、これまでの日本のサービスの栄光と挫折には、いくつかの共通点があり、その辺も機会があれば、改めて紐解いていければと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?