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「顧客が欲しいのはドリルではなく、穴を空けること」 への違和感と持論

今回は、マーケティングについてです。

この記事でわかること

この記事でわかるのは、マーケティングのある格言についてです。

マーケティングでは有名な 「ドリルを買う人が欲しいのは "穴" である」 についてです。

マーケティングの 「ドリルと穴」 が意味すること
本当に欲しいのは 「穴」 なのか? (格言への違和感) 
顧客ニーズを理解する方法

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。

格言が意味すること

マーケティングでよく言われる、「顧客が欲しいのはドリルではなく、穴を空けること」 を聞いたことがあるでしょうか?

People don't want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole.

意味するのは、ドリルはあくまで手段であり、顧客の本当のニーズを知ることの重要性です。

格言で顧客ニーズを指しているのは、「穴を空けたい」 です。

一方のドリルの売り手からすると、お客に買って欲しいのは自分たちが製造したドリルです。ドリルが買われるごとに、売上と利益が得られます。

格言が言わんとするのは、売り手と買い手の認識のギャップです。

売り手はドリルを買ってもらっていると思いますが、顧客が買っているのは穴を空ける手段であり、本当にやりたいことは穴を空けることです。

格言の意味はその通りです。しかし一方で、私はこの格言に違和感を感じます。

格言への違和感

何に違和感を感じるかと言うと、顧客がやりたいのは 「穴を空けること」 としている点です。

顧客が望んでいるのは、穴を空けることなのでしょうか?

先ほど、ドリルは手段であると書きました。穴を空けることも手段です。つまり、穴を空けた先に、最終的な顧客の望みがあるはずです。

では、本当の顧客の望みとは何でしょうか?

穴を空けた先にあるもの (顧客価値) 

例えば、DIY のガーデニングの棚を作りたいケースで考えてみましょう。

ドリルでネジ用の穴を空けるのは、棚を作るためです。顧客のニーズは庭に合う自作の棚です。

穴を空けた先を見据えてみましょう。

穴を空けた先にある楽しみ
・休日の晴れた日にガーデニングを楽しむ
・季節ごとに咲く花や実になる果実を眺める
・四季折々の自然を身近に感じる

棚すらも、これらの手段です。マーケターに求められるのはまさにここです。

穴よりももっと先に何があるかを掘り下げることによって、顧客が求めていること、あるいは顧客自身が気づいていないようなレベルにまで、マーケターは想いを馳せられるかです。

奥にある消費者インサイト

消費者本人が気づいていない気持ちが、消費者インサイトです。

消費者インサイトとは、人を動かす隠れた気持ちです。普段は消費者本人も自覚していませんが、そうだと気づかされれば買うなどの行動につながる奥にある感情です。

ドリルと穴の話に当てはめれば、穴を空けたいは消費者インサイトではありません。すでに顕在化しているニーズです。

では、顧客自身も言語化や自覚ができていないような奥にある気持ち (消費者インサイト) は何でしょうか?

ガーデニングでの消費者インサイト
・ガーデニングの棚を自分で作った時に得られる充実感や自分自身への誇り
・棚に置かれた植物の成長を見守る我が子を愛するような気持ち
・季節の移り目を自宅で身近に感じられること

まとめ

今回は、マーケティングの格言 「顧客が欲しいのはドリルではなく、穴を空けること」 について思うことを書きました。

最後に今回の記事のまとめです。

マーケティングの格言 「顧客が欲しいのはドリルではなく、穴を空けること」 が意味するのは、ドリルはあくまで手段であり、顧客の本当のニーズを知ることの重要性。
この格言に違和感を感じるのは、顧客がやりたいのは 「穴を空けること」 としている点。穴を空けることも手段であり、穴を開けた先に、最終的な顧客の望みがあるはず。
例えば DIY のガーデニングの棚を作りたいケースでは、顧客のニーズは庭に合う自作の棚。もっと先を見れば、休日の晴れた日にガーデニングを楽しんだり、季節ごとに咲く花や実になる果実を眺めて、四季折々の自然を身近に感じること。
マーケターには求められるのは、穴よりももっと先に何があるかの掘り下げ。顧客が求めていること、あるいは顧客自身が気づいていない消費者インサイトを見い出す。

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