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ブランドと消費者インサイトへの学びは日常にある。緑茶飲料のインサイト

日常生活での身近な体験から、マーケティングでのブランディングとインサイトについて書いています。

気に入っている緑茶

緑茶飲料の「なだ万監修 日本茶」を、最近よく飲んでいます。オフィスでの仕事中です。


緑茶ブランドは他にも、伊右衛門、おーいお茶、綾鷹などがありますが、「なだ万監修 日本茶」を選ぶようになりました。

「なだ万監修 日本茶」を好きになったきっかけ

よく飲むようになったのは、あるきっかけからでした。ペットボトルの底に緑茶成分 (緑茶のにごり) が、沈殿して溜まっているのを見つけたことです。

にごりの量が今まで見た中で最も多く、ペットボトルを逆さにしただけでは落ちていかないくらいの分量でした。逆さのまま、何度か振ってようやくにごりは落ちていき、お茶と混ざりました。

にごりを混ぜられたので飲んでみると、他の緑茶飲料よりも味が濃く、おいしかく思いました。飲む直前に、沈殿しているにごりを実際に見たから余計にそう感じました。

それ以来、他の緑茶飲料よりも、烏龍茶などの他のお茶と比べても「なだ万監修 日本茶」を飲むようになりました。

なだ万とブランド体験

「なだ万監修 日本茶」を選ぶ理由を、マーケティングのブランドの観点から考えてみます。

一言で言えば、五感による体験から感情移入と知覚価値形成によって、「なだ万監修 日本茶」へのブランドが形成されたからです。

ポイントは3つです。ブランドは、この順番でつくられます。

ブランド形成プロセス
・五感による体験
・感情移入
・知覚価値の形成

それぞれについて解説します。

[プロセス 1] 五感による体験

五感とは、見る (視覚) 、聞く (聴覚) 、触れる (触覚) 、香り (嗅覚) 、味わう (味覚) です。

5つのうち、「なだ万監修 日本茶」を初めて飲んだ時に当てはまったのは聴覚以外の4つです。

「なだ万監修 日本茶」のユーザー体験
 視覚:ペットボトルの底に緑茶のにごりが沈殿しているのを見つけた。にごりの量が多くて驚いた。ペットボトルを逆さにして振ると、にごりが混ざって見えなくなった
触覚:にごりを混ぜるためにペットボトルを逆さにしたり振った。にごりが混ざり切るために何度か繰り返した
嗅覚:飲む際に緑茶のいい香りがした
味覚:実際に飲んでみると、他の緑茶飲料よりも濃い味でおいしかった

以上の一連の体験から、「なだ万監修 日本茶」は他とは違う緑茶飲料になりました。

初めて飲んだ時は、五感からの体験を言葉にできませんでした。次にまた選んだのは、こうした体験を無意識的に覚えていて、もう一度、体験したかったからです。

[プロセス 2] 感情移入

私が考えるマーケティングにおけるブランドの定義は、消費者の望ましい感情を伴った商品やサービスです。

望ましい感情とは、好き・満足感・共感・誇り・憧れなどです。感情が強いほど、その人にとって思い入れのあるブランドになります。

感情移入は、商品・サービスを利用した体験を通して起こります。体験が魅力的で、体験した時間や体験量が多く、体験の中身が一貫しているほど、ブランドは強くなります。

「なだ万監修 日本茶」の体験は、他の飲料では経験したことがなく、ユニークなものでした。先ほど見たような五感での体験を通して、おいしいと感じ、味の濃さに満足し、飲んでいて気持ちがすっきりしました。

[プロセス 3] 知覚価値の形成

ここまでご紹介した体験と感情移入により、「なだ万」へのイメージができました。なだ万を手にし、飲むことを通して得られる価値イメージです。自分の頭の中に、なだ万の知覚価値が形成されたのです。

以上が、ブランドができあがったプロセスです。
五感による体験 → 感情移入 → 知覚価値の形成、という流れです。

自分自身のインサイト

「なだ万監修 日本茶」を、消費者インサイトという切り口で見てみます。

消費者インサイトの私の定義は、人を動かす隠れた気持ちです。インサイトとは、普段は本人も意識していませんが、それと気づかされれば関心を持ったり購入するなどの行動を起こす、奥にある気持ちです。

「なだ万監修 日本茶」のケースに当てはめると、自分にとってのインサイトは「濃い緑茶を気軽に飲みたい気持ち」でした。

今までは気づいていませんでしたが、ペットボトルでコンビニや自販機に売られているような緑茶には、濃い緑茶を期待していませんでした。しかし、「なだ万監修 日本茶」の沈殿した「にごり」を見つけ、振って溶かして飲む五感体験によって、濃い味の緑茶を飲みたいという気持ちがあぶり出されました。

ペットボトルの底に沈殿しているにごりを見つけたのは偶然でした。にごりがきっかけになり自分の奥にある「人を動かす隠れた気持ち」というインサイトが、自分でも意識できるくらいに表に出てきたのです。


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