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書籍「ワーク・シフト」まとめ。孤独と貧困から自由になる主体的な生き方とは

今回は、WORK SHIFT (ワーク・シフト) - 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 [2025]  という本についてです。

なお、英語の原本は2011年に発売され、邦訳版の発売は2012年です。2018年現在で本書を読んでも、あらためて示唆深いので取り上げます。

本書の内容

副題は「孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 [2025] 」です。読者に問いかけるのは、2025年に私たちはどんなふうに働いているのかです。

本書の構成は大きく3つです。

本書の構成
・未来を考えるにあたって私たちに影響を与える5つの要因
・2025年の未来シナリオとして「暗い現実」と「明るい未来」の2つを提示
・明るい未来を築くために必要な3つのシフトとは

このノートでも、同じ3つについて書いています。

未来を変える5つの要因

未来を形づくる5つの要因は、次の通りです。

未来を変える5つの要因
・テクノロジーの進化
・グローバル化の進展
・人口構成の変化と長寿化
・社会の変化
・エネルギー・環境問題の深刻化

以下、それぞれについてご説明します。

[未来を変える要因 1] テクノロジーの進化

技術発展によって私たちの生活や働き方は変わります。

具体的には、コンピュータの性能向上、世界中の人がネットでつながる、モバイルやクラウドが当たり前のように使われ、電子書籍等のあらゆる知識・情報がデジタル化されます。

SNS などでのつながりが形成・活発化します。より高度な人工知能や動作ができる技術・ロボットが普及していきます。

このようなテクノロジーの進化で生産性の向上や生活スタイル自体が変わっていくのです。

[未来を変える要因 2] グローバル化の進展

人、モノやサービス、マネー、情報のグローバル化が進みます。既に起こっている現実で今後も加速していきます。

グローバル化によって、24時間365日を絶え間なく情報やお金が動く世界です。中国やインドなどの新興国が台頭し単なるモノの生産国から消費する国へ、新興国からも高度な技術・スキルを持った人材が登場します。

競争がますます激しくなり、人々は時間に追われるようになります。

[未来を変える要因 3] 人口構成の変化と長寿化

先進国のみならず今後は中国などの新興国でも少子高齢化を迎えます。

特に生産年齢人口の減少が社会に与える影響は大きいです。世代ごとに異なる価値観を持っており、社会の中心を担う世代が変わることで世の中が変わっていきます。

寿命が長くなるために、現役年齢が長くなります (60 → 65 → 70歳) 。一方、介護など含め人生の晩年をどう過ごすかも課題であり、社会に影響を与えます。

[未来を変える要因 4] 社会の変化

家族形態が小さくなり (核家族、単身世帯の増加など) 、離婚・再婚・事実婚などの多様な形態をとります。女性の社会での活躍が広がり、結果的に女性の影響力が大きくなります。男性の生き方も多様化します。

大企業や政府への不信感が高まります。幸福感が弱まり、余暇時間が増えるなど、社会変化により人々の価値観も変わります。

[未来を変える要因 5] エネルギー・環境問題の深刻化

エネルギーコストが上昇し、環境負荷も高いままです。

エネルギーは、人が生きていくために、社会を支える上で不可欠なものです。エネルギーの問題が、生活や働き方のボトルネックになります。気候変動により住む場所の変更が余儀なくされます (例: 海水面の上昇、砂漠化等で済む場所を変わらざるをえない) 。

環境問題への意識の高まりから、エコや持続可能な生活という文化が形成されます。

2025年のシナリオ:暗い未来と明るい未来

本書の構成の2つ目は、2025年の未来シナリオ提示です。

上記の5つの要因は、私たちの未来にプラスにもマイナスにも働く可能性があります。以下、暗い未来シナリオと明るい未来シナリオです。

[2025年のシナリオ 1] 暗い未来シナリオ

いつも時間に追われている未来。朝起きて、分刻みであらゆるもことが進んでいく。ゆっくりできる時間はなくなり、まとまった考える時間も失われる。テクノロジーの進化やグローバル化の影響が大きい。

ネットワークはあるが人間関係が孤独な未来。人と直接会わなくても生活や仕事もできてしまうので、コミュニケーションはあっても表面的で人間関係が充実しない。同僚との気軽な関係や家族関係も希薄になってしまう。

一見すると便利な環境に囲まれるが、生活や仕事から幸福感は得られない未来。

[2025年のシナリオ 2] 明るい未来シナリオ

異なる立場や場所の人と協働し、新しい価値を人々が生み出す未来です。

一人ではできないことでも、皆の力で大きな仕事をやり遂げる仕事形態。社会の問題に対して、積極的に関わり、働き方は様々なバックグラウンドの人たちとのコラボレーションで解決していく。

大企業ではなく、自分たちが「ミニ起業家」としてビジネスをする。ネットインフラが整い、より少ないコストやより小さなリスクで挑戦でき、人生を切り開いていく。

では明るい社会を築き、未来を変えるためにはどうすればいいのでしょうか?

未来を変える3つのシフト

本書での主張は、3つのシフトが必要というものです。3つのマインドチェンジです。

未来を変える3つのシフト
・知的能力のシフト
・人間関係のシフト
・価値観のシフト

以下、それぞれについて解説します。

[未来を変える 1] 知的能力のシフト

広く浅くというゼネラリストではなく、自分の専門性を持つスペシャリストを目指すシフトです。ただし、1つのことを突き詰めすぎるのではなく、連続的に専門性を広げかつ深めていきます。

自分のこれからの専門性を考えるにあたって、提示されるのは3つの問いでした。

専門性への問いかけ
・その専門技能は価値を生み出せるのか?
・その専門技能は希少性があるか?
・その専門技能は真似されにくいか?

[未来を変える 2] 人間関係のシフト

本書で具体的に提言されているのは3つです。

人間関係のシフト
・精神的な安らぎを分かち合う絆の人間関係
・少人数の同じ志を持つ仲間
・アイデアや意見交換をする大きく多様性のあるつながり

これらを積極的、主体的に築くことです。

[未来を変える 3] 価値観のシフト

お金と消費を美徳とする価値観から、経験に価値を置く生き方へのシフトです。

お金を稼ぎ、モノを消費し幸福感を得るのではなく、働く目的もお金を稼ぐことではなくなります。仕事を通じて新しいことを学び、問題解決にやりがいを感じる、自分を成長させられる、という充実した経験・体験を重視する価値観です。

明るい未来のためには「主体的に生きること」

最後に、本書で思ったことです。

本書が提示する2025年シナリオは、暗いものと明るいものの2つです。

2025年シナリオ
漠然と迎える未来:孤独で貧困な人生や社会
主体的に築く未来:自由で創造的な人生や社会

印象的だったのは「主体的に築く」という表現です。

この先も漠然と生きるのではなく、よりよい未来を実現するために、私たち一人ひとりが未来について考え「どうすればよいか」と自分事化することです。これが「主体的に築く未来」につながります。

社会というのは人間の一人ひとりの集合体です。一人ひとりが、家族、会社や学校、地域、国、世界と様々な社会を形成します。

最小の構成要素である自分自身のあり方、働き方、生き方の集合体が、社会となり未来となっていきます。

未来をより良くするためには、「今」を少しずつ変えることです。まずは自分のできることからやり、自分がコントロールできる範囲を広げていくことです。コントロールできない自分の身に何が起こるかを過剰に不安になるよりも、自分がどう行動するかが大事です。


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