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USJ の顧客ターゲティングから、マーケティングで学べること

今回は、マーケティングについてです。

この記事でわかること

・USJ のターゲティングとセグメンテーション
・ターゲティングのセオリーとはあえて逆をやった理由
・USJ の事例からマーケティングで学べること

マーケティングのものの見方や考え方は、ビジネスで汎用的に使える知識や技術です。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。

セオリーとは逆の USJ の顧客ターゲティング

まずご紹介したい本があります。


USJ のジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? で、著者は森岡毅さんです。

この本に書かれていて興味深いと思ったのは、当時の森岡さんが実施した顧客ターゲットの変更と、それに伴いポジショニングを変えたことです。

顧客ターゲットを広げました。USJ を 「映画だけ」 から、「最高のエンターテイメントを提供する場」 に変えました。映画だけではなく、アニメや漫画、ゲームもありのテーマパークです。

ターゲット顧客を広げるのは、一般的にはセオリーとは逆です。顧客ターゲティングは、絞るのが通常です。しかし USJ は絞るどころか、ターゲットを拡大しました

なぜ USJ は、定石とは反対のことをやったのでしょうか?

マーケティングに唯一の正解はない

USJ の顧客ターゲティング変更と、それに伴ったポジショニングの変更からは、マーケティングでの学びが得られます。

1つ目の学びは、マーケティングに唯一の正解はないです。

マーケティングは前提によって常に変わり得ます。前提とは、目的、顧客や競合などの外部環境 (市場) 、自社内の状況です。

マーケティングとは、大きく捉えれば戦略です。では、戦略とは何でしょうか?

戦略と目的

戦略とは、目的を達成するためのリソース配分の指針です。リソースとは企業であれば、人・モノ・金・ブランドなどの知的資産などです。

ポイントは、戦略の上位には目的があることです。

マーケティングのターゲット設定に話を戻すと、重要なのは、そのターゲット設定で目的が達成できるかです。いくらターゲットが明確でストーリーが美しくでも、そもそもの目的達成ができなければ本末転倒です。

話を USJ に戻します。

セオリーとは逆をやった理由

USJ のケースでは、目的とは何でしょうか?

一言で言えば、事業の存続です。USJ というテーマパーク事業が生き残り続けることです。

USJ の当時のビジネス規模を維持するためには、つまり、損益分岐点を超えて持続的に利益を上げるためには、映画だけのテーマパーク需要では成立しませんでした。顧客ターゲットを 「映画メインのテーマパークに来てくれる人」 では、USJ はビジネスを継続できない見通しだったのです。

そこで森岡さんの決断は、映画以外にも広げることでした。アニメや漫画、ゲームなどの総合的なエンターテイメントを提供するセレクトショップのようなテーマパークです。

確かに、ターゲットだけを見れば、「映画だけ」 とテーマを縛ったほうが明確でわかりやすいです。しかし、マーケティングの観点では正解に見えても、事業全体で見れば正しくないわけです

目的から逆算すると、「ターゲットはむしろ広げるべき」 だったのです。

マーケターは思考停止になってはいけない

USJ の顧客ターゲットの話からは、他にも学べることがあります。

それは、マーケターは思考停止に陥ってはいけないのです。

今回の文脈で思ったマーケターに求められる姿勢は、次の通りです。

マーケターに求められる姿勢
・常に疑いの目を持つ (前提, 過去の成功事例への踏襲, 常識を疑う) 
・目的に立ち返る (手段の目的化に注意する) 
・自分の頭で考える

こうした姿勢を貫いた結果、時には一般的にマーケティングで言われていることが、自分のケースでは不正解となることもあります。USJ の例がまさにこれでした。

マーケティングや戦略には、唯一の正解はありません。つくった時には正解も不正解もなく、戦略を実行して自分たちで正解にしていくのです。

まとめ

今回は、マーケティングの顧客ターゲットについてでした。

最後に今回の記事のまとめです。

USJ は顧客ターゲットを広げた。「映画だけ」 から、「最高のエンターテイメントを提供する場」 に変えた (映画だけではなく、アニメや漫画、ゲームもありのテーマパーク) 。
ターゲット設定のセオリーは絞ること。しかし、USJ のアプローチは逆だった。
マーケティングに唯一の正解はない。マーケティングは、目的、顧客や競合などの外部環境 (市場) 、自社内の状況という前提によって常に変わり得る。
USJ の事業目的は事業の存続。USJ というテーマパーク事業が生き残り続けること。
顧客ターゲットが 「映画メインのテーマパークに来てくれる人」 では、USJ はビジネスを継続できない見通しだった。目的から逆算し 「ターゲットはむしろ広げるべき」 に変えた。
マーケターは思考停止に陥ってはいけない。マーケターに求められる姿勢は、
・常に疑いの目を持つ (前提, 過去の成功事例への踏襲, 常識を疑う) 
・目的に立ち返る (手段の目的化に注意する) 
・自分の頭で考える


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