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「プロダクトアウト vs マーケットイン」 への持論。プロダクトアウトに注目したい理由

今回は、マーケティングについてです。

この記事でわかること

この記事でわかるのは、プロダクトアウトとマーケットインについてです。

・プロダクトアウトとマーケットインの違いは?
・マーケットインが良いと言われるが、本当?
・マーケットインがうまく機能しないケース
・プロダクトアウトの重要性と成功させる方法 (Google のマーケティングからのヒント) 

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。

プロダクトアウトとマーケットイン

マーケティングには、プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。

この2つは何が違うでしょうか?

それぞれを簡単にご説明すると、次のようになります。

プロダクトアウト
・自分たちがつくりたい・つくれるものを基準に商品開発をする
・つくったものを売る
・能動的
マーケットイン
・顧客の声やニーズから商品開発をする
・売れそうなものをつくる
・受動的

一般的には、プロダクトアウトよりも顧客が欲しいものからつくっていくマーケットインが良いとされます。

この考え方は本当でしょうか?

マーケットインが機能しない時

確かに、マーケットインのやり方は顧客のニーズを汲み取って商品をつくるので、理に適っているように見えます。

しかし、マーケットインは常にうまくいくとは限りません。では、どういう時にマーケットインは機能しないのでしょうか?

具体的には、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合です。これまでの過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、それによる今までになかったユーザー体験が提供されるケースです。

こういう状況では顧客に聞いても本当に知りたいニーズは出てきません。

例を1つご紹介します。

携帯電話への価値観の変化

携帯電話とスマートフォンの例です。

携帯電話へのニーズ・要望を、顧客の声だけをそのまま取り入れていたとしたら、今のようなスマホへの進化はなかったでしょう。

こんなツイートを見かけました。ぜひ動画を見てください。


街頭インタビューでは、次のような声 (不満やニーズ) がありました。

不満やニーズ
・携帯はボタンがあるほうが使いやすい
・画面に指紋がつく。タッチパネルは絶対いらない
・iPod があるのでスマホは不要
・スマホにはワンセグがない

携帯電話への価値観だけでも、時代とともに変わっていくのです。

プロダクトアウトと 「未来の当たり前」 

過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適しています。

消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるからです。

先ほどの携帯電話で当てはめると、人々が携帯電話で映像コンテンツを見るために 「ワンセグ」 というニーズに応えるのではありません。YouTube や TikTok の動画を電車内でも当たり前のように見ている世界です。

さらに未来になると、スマホのような端末を手に持って見るのではなく、グラス型のウェアラブル端末で見るようになるユーザー体験になるでしょう。

5G 回線が普及すれば通信量制限がなくなるはずで (いわゆる 「ギガが足りない」 が起こらない) 、今よりももっと動画や音声コンテンツが当たり前になります。

それでは、どうすればプロダクトアウトからのアプローチを成功させられるでしょうか?

プロダクトアウトを成功させる方法

プロダクトアウトで誤解しないようにしたいのは、ユーザーのニーズを全く無視していいわけではありません。

最初はプロダクトアウトから入っても、どこかでマーケットインの発想が必要になります。プロダクトアウトを成功させるために大事なのは、プロダクトとマーケット (消費者や顧客) をつなげる存在です。

ヒントになるのは、私の前職である Google のマーケティングの考え方です。

Google のマーケティング

Google のマーケティングの考え方に、”Knowing the user, knowing the magic, and connecting the two.” というものがあります。

マーケティングとは、「knowing the user と knowing the magic の2つをつなげるものである」 と。

Knowing the user
・生活者やユーザーの理解
・何を望んでいるのか、理解する過程で得られた発見やインサイトは何か、そして、彼ら彼女らに対して自分たちがどう役に立つか
Knowing the magic
・生活者やユーザーに提供する自分たちのサービスや商品を深く知る
・単に商品やサービスのことを知るだけではない
・商品やサービスをつくる人たちの思いまで理解。なぜその商品やサービスがつくられたかまで
Connecting the two
・2つをつなげるとは、生活者と商品・サービスを結びつける
・マーケターとは2つの間を取り持つ仲人のような存在
・顧客を知り、提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解した上で、両者をつなげる

プロダクトアウトも、マーケットインも

そろそろ、今回の記事の結論に入りましょう。

ここまで考えてきた内容をまとめます。

ここまでのまとめ
・マーケットインはいつも正しいわけではない (機能しないケースがある) 
・プロダクトアウトがうまくいく場合
・どうすればプロダクトアウトを成功させられるか

言いたいことは、マーケットインとプロダクトアウトの両方が重要ということです。

どちらか一方ではなく、2つの視点を持ちます。そして大事なのはプロダクトとマーケットをつなげることです。

プロダクトアウトから入っても、マーケットインから始めても、最後は両方のアプローチを入れ 「Connecting the two」 を実現するのです。

まとめ

今回は、マーケティングの話でした。プロダクトアウトとマーケットインについて掘り下げたことを書きました。

最後に今回の記事のまとめです。

プロダクトアウトとマーケットイン
プロダクトアウト: 自分たちがつくりたいものを基準に商品開発をする
マーケットイン: 顧客の声やニーズから商品開発をする
マーケットインが機能しないのは、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合。過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、今までになかったユーザー体験が提供されるケース。
過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適している。消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるから。
プロダクトアウトかマーケットインのどちらで始めても、最後は両方のアプローチを入れる。提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解し、顧客を知り、両者をつなげる。

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