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Apples to Apples な比較をするために、リサーチ設計の方法を具体例で解説します

今回は、調査やリサーチについてです。

適切な比較をするためのリサーチ設計について書いています。

Apples to Apples な比較

何かを分析するとは、最もシンプルに言えば比較をすることです。

大事なのは、比べたいこと以外は比較対象において極力同じ条件にします。これを、Apples to Apples と表現します。リンゴとミカンの比較ではなく、リンゴ同士の意味のある比較をするという意味です。

では、Apples to apples の適切な比較をするためには、どうすればいいのでしょうか?

3つのリサーチ設計の考え方

リサーチ設計の考え方は3つあります。

リサーチ設計
・同一対象者へのプレ・ポスト
・別対象者へのプレ・ポスト
・別対象者へのコントロール・テスト

架空の例 (ある睡眠薬の効果を検証するケース) を使って解説します。

1. 同一対象者へのプレ・ポスト

最もシンプルな方法は、睡眠薬を飲んでもらう前に通常の睡眠状態を答えてもらい、睡眠薬を飲んだ後にアンケート等で睡眠に対する項目を答えてもらうやり方です。同一対象者へのプレ・ポスト形式です。

睡眠薬投与の前と後に同じことを聞いているので、前後においてどのように睡眠状態が変わったかを比較します。

ただし、このやり方だと、睡眠薬を飲む前のアンケートに答えてもらうために、自分の睡眠をあらためて振り返ってみるなどの「睡眠意識」が高まってしまい、睡眠薬投与にそれが影響を与えてしまう懸念があります。アンケートバイアスと言います。

2. 別対象者へのプレ・ポスト

アンケートバイアスを除去するために考えられる工夫は、睡眠薬投与前後のアンケート回答者を別の人にするやり方です。

テスト対象者の条件をなるべく等しくし、対象者たちを2つのグループにランダムに分けます。グループ A には睡眠アンケートだけを実施 (プレグループ) します。グループ B には睡眠薬を投与し、その後にアンケートを実施します (ポストグループ) 。

プレグループとポストグループで人を分けるので、上記1の「同一対象者のプレポスト」にあったようなアンケートバイアスをなくすことができます。

3. 別対象者へのコントロール・テスト

さらに厳密に Apples to apples にするやり方です。

対象者たちをランダムに2グループに分け、グループ A には偽薬 (コントロールグループ) 、グループ B には睡眠薬を投与します (テストグループ) 。

グループ A も B も、与えられる薬が何のためかを伏せて行ないます。これをやる意図は、薬のプラセボ効果を除去できることです。プラセボ効果とは、それを薬だと信じ込むことによって何らかの改善がみられる現象です。

2つめの「別対象者へのプレ・ポスト」方法との違いで、2つめのこの方法では、睡眠薬投与グループに効果があっても、それが実際の効果なのかプラセボ効果なのかを分解することが難しいです。しかし、コントロール・テストのの方法であれば実際の効果かどうかを比較することができます。

さらに厳密にやるとすれば、被験者に薬を渡す担当者にすら、それが偽薬なのか本物の睡眠薬なのかどうかを伏せておきます。担当者の渡し方で被験者に偽薬あるいは睡眠薬なのかがわからないようにするためです。

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