マーケティングを「製品・市場戦略」 と捉えると、マーケティングの本質がわかる
今回はマーケティングについてです。
マーケティングを「製品・市場戦略」と捉え、戦略と実行をどのように進めるかを書いています。
誤解の多い「マーケティング」という言葉
大前研一氏の著書 企業参謀 に、マーケティングについての記述があります。
以下は、該当箇所の引用です。
マーケティングという言葉は、人や会社によって捉え方が異なります。
戦略のレベルで使われたり、広告宣伝を指していることや、市場調査を言っていることもあります。
マーケティングを「製品・市場戦略」と表現すると、そもそもマーケティングとは何をやることかが明確になります。
マーケティングを「製品・市場戦略」と捉える
英語で Product market fit と表現するように、いかに自社製品を市場、つまり競合他社がいる中で、想定する顧客のインサイトやニーズを満たすことができるかです。
マーケティングを広く捉えれば、製品の売り方だけを考えるのではなく、開発段階から顧客志向で売れる製品をつくることからです。
つくってからどう売るかを考えるのではありません。売れるものをつくり、売り方の戦略から、売るための施策 (例えばマーケティング 4P) に落とし込みます。
開発、戦略、戦術と、どれだけ一貫性をとれるかです。
製品・市場戦略の7つのステップ
本書 企業参謀 には、製品・市場戦略を策定し実行するための7つのステップが説明されています。
✓ 製品・市場戦略の7つのステップ
市場性の動的把握
内部経済の分析
競合状態の把握
自社の強さと弱さの把握
改善機会の仮説の抽出・評価
改善実施計画作成と実施
モニターおよび必要な軌道修正
以下、それぞれについて補足です (私の理解です) 。
[ステップ 1] 市場性の動的把握
狙う市場のサイズと成長性を把握します。さらにセグメントに分け、それぞれの傾向を知ります。
市場性の把握とは、想定する顧客やターゲットとなる顧客のことを理解することです。3C では Customer に相当します。
[ステップ 2] 内部経済の分析
会社内での当該製品の持つ経済的重要性を分析します。例えば、製品の損益分岐点、開発から営業までの事業フローです。
自社の視点で製品を理解するのがステップ2です。3C では Company です。
[ステップ 3] 競合状態の把握
市場におけるシェアを見ます。シェアという定量的な情報だけではなく、どのような競合状態なのかの定性的な分析も行ないます。3C では Competitor です。
[ステップ 4] 自社の強さと弱さの把握
なぜ自社製品は買われるのか、買われないのかを分析します。強みと弱みの把握とは、市場における自社と競合の相対関係の理解です。
ステップ1から3までで、3C が整理されています。ステップ4では、ここまでの文脈から自社製品の立ち位置を見極めます。
ここまでの 1~4 までを俯瞰すると、1~3 が分析、4 が3つの分析を踏まえてのまとめです。
[ステップ 5] 改善機会の仮説の抽出・評価
ステップ4までを踏まえ、戦略の方向性を定めます。どこに機会があるかです。抽出した戦略が複数あれば、それぞれを比較し評価をします。
例えば、製品と市場の二軸で考えると、次の通りです。
✓ 戦略の方向性
製品を新しくし既存顧客に提供する (多様化)
製品は変えずに新規顧客を狙う (新市場)
製品も顧客も新しい市場に打って出る (多角化) 。多様化や新市場に比べて高投資・高リスク
いずれの場合も、戦略は仮説であるという前提が重要です。
[ステップ 6] 改善実施計画作成と実施
戦略を実行可能な計画に落とし込みます。戦略が絵に描いた餅にならないよう、具体的な計画をつくります。そして、戦略という仮説を実行に移します。
[ステップ 7] モニターおよび必要な軌道修正
戦略を実行して、後は単に結果を待つだけではなく、実行状況を追いかけます。
実行するにあたっての中間目標とのズレが見られれば分析をし直します。必要に応じて実行計画を修正します。場合によっては戦略レベル (仮説) にまで戻ります。
マーケティングの本質
今回は、マーケティングについて考えました。企業参謀 という本に、マーケティングを「製品・市場戦略」と呼ぶと書かれていたことが強く印象に残りました。
最後に、私の考えるマーケティングの本質は次の3つです。
✓ マーケティングの本質
製品を理解し、市場を理解する (自社、顧客と競合の把握)
顧客に自分たちが選ばれる理由をつくる (売り物と売り方によって)
選ばれるための施策を実行し、顧客が自社製品を選ぶ確率を上げる
ニュースレターのご紹介
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