見出し画像

ティール組織とは何か?ティール組織の本質を考える

今回は、ビジネスでの組織についてです。

ティール組織を取り上げます。

この記事でわかること

・ティール組織って何?
・今までの組織と何が違うの?
・どうすればティール組織はつくれる?

こんな疑問に答える内容で書きました。

記事の前半では、2018年の始め頃から話題になった 「ティール組織」 とは何か、ポイントを絞って書いています。

後半では、ティール組織が機能するために何が必要かを考えています。

ティール組織とは

ティール組織について、ティール組織 - マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 という本に詳しく書かれています。


ティール組織とは、「上司や経営者などの管理者のマネジメントを少なくし、メンバーで共有・共感される組織のビジョンや目的を達成するために各自が自律的に動く組織」 です。

目的を実現するために、全員がお互いの信頼に基づき、独自のルールや仕組みで工夫しながら組織運営を行います

明確な組織階層はなく個人が主体的に判断し、自律的に動く組織です。

ティール組織は、生命体や生態系にたとえられます。

自然の世界では、生態系の全体を管理する存在はいません。お互いの生物が、それぞれの働きをします。結果的に全体としてエコシステムが構築され、維持されています。

ティール組織出現の背景

ティール組織が注目されるのは、従来型組織であるピラミッド型の限界や弊害からです。

ピラミッド型は、中央とその下に労働者を配置する組織形態です。効率的な組織運用で成長を目指します。

一方で、行き過ぎた成果主義や過剰な管理体制になると、人間らしく働くことを難しくする弊害があります。

ピラミッド型の組織が大きくなれば、階層ごとの上下、部署ごとの左右において、情報共有や意見調整に時間と手間を取られます。次第に硬直的な組織になっていきます。人々は組織の内向きの対応に時間を使い、外の変化に組織が取り残されます。

こうした背景から、変化への適応、個人のエンパワーメント、人間尊重が求められ、ティール組織が生まれました。

3つのキーワード

ティール組織には、3つのキーワードがあります。

ティール組織の3つのキーワード
・存在目的 (evolutionary purpose) 
・全体性 (wholeness) 
・自主経営 (self management) 

以下、それぞれについての補足です。

存在目的 (evolutionary purpose) 
・組織が何のために存在し、今後どの方向に向かうのかを常に探求し続ける
・生き物には生きるという目的があるように、組織も生きていて、進化し存続するための目的があるという考え方
・存在目的は、組織が描くビジョンや、そのために何をやるかのミッションに相当する
全体性 (wholeness) 
・個人が組織の中で一体感を持てること。メンバー全員の能力が存分に発揮される
・そのためには、組織で本来の自分でいられること、自分自身が他のメンバーに受け入れられていると実感できていることが大切。不安やメンバーとの関係で気になることがあっても、組織として寄り添うことができている
・考え方や物の見方に多様性があり、かつお互いがお互いの違いを尊重し、多様な能力を発揮できる環境
自主経営 (self management) 
・組織内の特定の立場の人 (例えば社長や管理職) の指示命令からではなく、メンバーが自律的に判断し行動する組織
・必要なのは、情報共有の透明化、意思決定プロセスの権限委譲 (自分たちで決める) 、評価や採用の人事プロセスの公平化と明確化
・組織メンバーの全員が主体的に関われるような組織環境であること

ティール組織の3つのキーワード(存在目的・全体性・自主経営) において、興味深いのは1つめの 「存在目的」 です。

 「存在目的」 の深掘り

存在目的とは、組織で共有されたビジョンとミッションです。ビジョンとミッションは次のような関係です。

ビジョンとミッションの関係
ビジョン:自分たちが理想とする創りたい世界観。未来を描いた絵
ミッション:ビジョンを実現するために自分たちがやること。使命感を持ってやること

組織内で、各自が自分自身の考えるビジョンと、ビジョンを実現するためのミッションに向き合います。各自それぞれのビジョンとミッションが共有され、組織で1つのビジョン・ミッションになります。

組織にはすでにビジョンとミッションがあれば、メンバーの一人ひとりが自分にとってどういう意味があるのかを考えます。個人のビジョンやミッションに落とし込みます。

ボトムアップもトップダウンのいずれであっても、個人と組織のビジョンとミッションがすり合わされることによって、ビジョンとミッションは組織内で共有されます。

存在目的があるからこそ、ティール組織は成立します。判断や行動指針になり、組織の皆で共有がされているので管理がなくても自律的に動き、組織全体では一枚岩になります。

では、話をティール組織の3つのポイントに戻します。

ティール組織のフラットはあくまで 「結果」 

ティール組織の3つのポイントへの私の理解は以下です。

ティール組織の理解

存在目的:組織が目指す星とそこに至ったらどんな世界になっているか (ビジョン) 。そのために自分たちがやること (ミッション) 

全体性:多様性とオープンマインド、心理的安全性。組織内の一人ひとりがありのままを出せ、自分の居場所を感じお互いを必要とし・されていると実感できる環境

自主経営:ミッションや行動の判断基準とする価値観に沿って、一人ひとりが主体的に行動をとっている

ティール組織について私がメディア等で聞いたり議論を目にするのは、従来型の階層組織との対比です。

従来型組織では、階層がありトップダウンの一方向で意思決定と事業推進が行われます。対して、ティール組織では今後は階層をなくしてフラットにするという文脈です。論点は、組織をフラットにしていくことを起点に、どうすればそのような組織になるかでした。

しかし、ティール組織に見られるフラットという目に映る組織形態はあくまで結果であり、因果関係において 「果」 にあたるものです。

存在目的があり、組織に全体性があることによって、各自が自主的に振る舞います。

これらを組織が理解し実践した結果、存在目的・全体性・自主経営の3つを体現するのに最適なのが、結果としてフラットな組織形態であるティール組織ということです。

まとめ

今回は、ティール組織を取り上げました。

最後に記事のまとめです。

ティール組織では、目的を実現するために、全員がお互いの信頼に基づき、独自のルールや仕組みで工夫しながら組織運営を行う。明確な組織階層はなく個人が主体的に判断し、自律的に動く組織。変化への適応、個人のエンパワーメント、人間尊重が求められ、ティール組織が生まれた。
ティール組織には、3つのキーワードがある。
・存在目的 (evolutionary purpose)
・全体性 (wholeness)
・自主経営 (self management) 
ティール組織に見られるフラットな組織形態はあくまで結果であり、因果関係の 「果」 。
存在目的があり、組織に全体性があることによって、各自が自主的に振る舞う。存在目的・全体性・自主経営の3つを体現するのに最適なのが、結果としてフラットな組織形態であるティール組織。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?