ある姉妹の喧嘩から学ぶ、交渉を成功させるための3つのポイント
今回は、交渉についてです。
ある姉妹の喧嘩から学ぶ、ビジネスなどでの交渉力を高めるために気をつけたいことです。
姉妹の喧嘩はなぜ解決したのか
武器としての交渉思考 という本に書かれていた、ある姉妹の話です。
引用します。
2人の姉妹が、ひとつのオレンジをめぐって口喧嘩をしています。「半分に分けたら?」と親が言いましたが、2人とも「ひとつ分が必要なの!」と言って譲りません。
しかし数分後、話し合いの結果、姉妹で無事に分け合うことができました。いったい何が起きたのでしょう?
(引用: 武器としての交渉思考)
1つしかないオレンジを、お互いが「1つ分を全部ほしい」と譲りませんでした。
しかし、問題は解決しました。ポイントは、お互いに欲しいものが違っていたことでした。
具体的には、オレンジの中身と皮を分け合いました。姉はオレンジ (中身) を食べたかった、妹はオレンジの皮でマーマレードをつくりたかったようです。
意地悪クイズみたいですが、このエピソードからは交渉への示唆があります。
一見すると主張がぶつかっている場合でも、実は双方で求めているものが違うことがあります。相手の主張を正しく理解すれば、問題は解決するのです。
交渉を成功させる3つのポイント
ここからは、ビジネスでの交渉力を高めるために、どんなことに気をつければよいかです。
具体的には3つです。
交渉を成功させるポイント
・交渉では相手の主張をどれだけ聞けるか
・譲歩をうまく使う
・交渉は準備が8割
以下、それぞれについてご説明します。
[ポイント 1] 交渉では相手の主張をどれだけ聞けるか
交渉と聞くと、自分の欲しいものや意見を多く言ったほうが勝つというイメージがあるかもしれません。自分の言い分をどれだけ相手に飲んでもらうかです。
しかし、姉妹のオレンジの話では、自分の主張だけでは解決しませんでした。
大事なのは「相手の主張を聞き、相手を理解すること」です。相手の利害に焦点を当てることです。そのためには、相手の立場を理解し、自分が話すよりも相手の言い分をまずは聞く姿勢が大切です。
[ポイント 2] 譲歩をうまく使う
交渉では譲歩はつきものです。ただし、間違った理解をしてはいけないのは、譲歩したほうが負けではないことです。
大事なのは、譲歩をうまく使うことです。
確かに自分たちの譲歩なしに交渉が成立することが良いですが、現実的にはそうはなりません。お互いの主張や利害が成立しない時は、譲歩をし歩み寄り合意を目指します (あるいは全くの第三の道を模索することもあります) 。
譲歩の対象になるのは、「相手にとって価値があること」と「自分にとっては価値の低い条件」です。
譲歩から相手にとっては新しい情報を伝えると、相手の反応を見ることできます。相手の交渉の判断基準を理解することにもつながります。
[ポイント 3] 交渉は準備が8割
交渉がうまい人は、交渉のテーブルで話術を駆使するというイメージがあるかもしれません。しかし、実際は交渉で勝負が決まるのは、事前準備をいかにできるかです。
具体的な準備
・理想の交渉ゴール・落としどころ・絶対に譲れないところを明確にする
・相手の立場・主張を可能な限り理解しておく。交渉の争点も洗い出す
・選択肢を多く持っておく
3つめの選択肢について補足です。選択肢の意味は2つあります。1つは交渉相手との交渉材料や譲歩の選択肢です。
2つめの意味は、交渉相手以外との選択肢です。交渉相手に、「自分はあなたと合意しなくても、別の選択肢がある。それよりも良い条件でなければ合意しない」と言えれば、交渉では優位な立場になれます。
たとえ相手に伝えなくても、自分の中で他の選択肢を持っておけば精神的な余裕が生まれます。
最後に
交渉は相手があってのコミュニケーションです。
私の仕事での交渉の経験から言えるのは、交渉相手は初めは闘う相手だったのが、何度も交渉の場で膝を突き合わせてやりとりをする間に、いつしかパートナーのような存在になっていったことです。
互いの後ろには上司がいて、会社のメンツもある制約条件の中、何が満たされれば合意できるのかという、交渉の上位レベルで共通認識を持てました。
この経験からの学びは、今回ご紹介した交渉で心がけたい3つです。
交渉を成功させるポイント
・交渉では相手の主張をどれだけ聞けるか
・譲歩をうまく使う
・交渉は準備が8割
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