マーケティングリサーチの本質、マーケティングリサーチャーの心構えを解説
今回は、マーケティングリサーチについてです。
この記事でわかること
・マーケティングリサーチと何か
・マーケティングとマーケティングリサーチの関係
・マーケティングリサーチャーとしての心構え
仕事でマーケティングに関わる方には参考になると思います。ぜひ、最後まで読んでみてください。
マーケティングリサーチャーとしての経歴 (インテージと Google)
最初に、私自身とマーケティングリサーチの関わりについてです。
新卒で入社したインテージは、マーケティングリサーチの会社です。インテージでの経験が、自分のキャリアのベースになっており、マーケティングリサーチ全般の専門スキルを得ることができました。
その後、Google に転職してからも、ポジションは 「マーケティングリサーチ マネージャー」 でした。Google では BtoB マーケティングと BtoC マーケティングの両方に関わりました。
最終的には 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 となり、Google ならではのマーケティングリサーチの経験を積むことができました。
マーケティングリサーチとは
あらためて、マーケティングリサーチとは何でしょうか?
マーケティングリサーチを一言で言うと、マーケティングの問題解決のために行う調査です。
マーケティングの中の1つの役割で、マーケティングリサーチとは言ってしまえばマーケティングのための 「手段」 です。
マーケティングリサーチの役割を知るには、マーケティングとマーケティングリサーチの関係を見ると理解しやすいです。
マーケティングとマーケティングリサーチの関係
マーケティングリサーチの上位にはマーケティングがあります。
具体的には、以下の並びになります。
マーケティングとマーケティングリサーチの関係
・マーケティングの目的
・マーケティング目的達成のために解くべき問題
・マーケティングリサーチの目的 (= マーケティングの問題解決)
・マーケティングリサーチ課題
マーケティングリサーチの目的は、マーケティングの問題解決への貢献です。
マーケティングには目的があります。そして、目的を達成するために何かしらの問題があることが通常です。
調査によって、マーケティングの問題解決を行っていくのがマーケティングリサーチの位置づけです。これがマーケティングリサーチの目的になります。
つまり、「マーケティングの問題解決 = マーケティングリサーチの目的」 です。
そして、マーケティングリサーチの目的を、マーケティングリサーチ課題に落とし込みます。調査課題という論点に分解し、論点ごとに仮説を立て、調査から明らかにします。
マーケティングとリサーチの具体例
では、マーケティングとマーケティングリサーチの具体例で、先ほどの関係を見てみます。
マーケティングとリサーチの具体例
・マーケティング目的:新規ブランドのカテゴリーシェアを 8% 獲得する (6ヶ月以内で)
・マーケティング問題:ブランドターゲットの絞り込みと理解が不十分なため、具体的なマーケティング戦略に落とし込めていない
・リサーチ目的:ブランドターゲット像を明らかにし、マーケティング戦略および施策の検討・意思決定に使う
・リサーチ課題:ターゲットの人数ボリュームやカテゴリー購入頻度等の定量情報、消費者インサイトやニーズ、既存利用ブランドの購入理由等の定性情報を取得する
マーケティングリサーチャーの心構え (5つ)
ここからは、マーケティングリサーチャーの心構えです。
リサーチャーとして、どういう姿勢で調査やマーケティングに臨むとよいのでしょうか?
私が大切にしている心構えです。
マーケティングリサーチャーの心構え
・真実を追求する
・答えは自分で見い出す
・健全な批判的精神を持つ
・自分なりの示唆や提案まで提示する
・人間を理解する
以下、それぞれについて解説します。
[心構え 1] 真実を追求する
マーケティングリサーチの上位にはマーケティングがあります。
時として、マーケティングから暗黙に求められるのは、マーケティングにとって都合がよい結果です。
しかし、マーケティングリサーチャーは汲みしてはいけません。マーケティングリサーチャーが持つべき心構えは、都合の良い結果を出すのではなく、リサーチによって真実を追求する姿勢です。
真実とは、ともすればマーケティングには都合の悪い内容にもなります。
たとえ不都合な真実であっても、リサーチャーの役割は真実を明らかにし、マーケティングに共有する責任があります。
[心構え 2] 答えは自分で見い出す
リサーチ課題の答えは、他人から与えられるものではありません。調査対象者から、答えそのものを直接もらえることを期待しないようにします。
大事なのは、答えを自分で見い出すというスタンスです。
調査対象者の回答や発言、時には非言語の振る舞いや仕草を観ることによって、気づきを得て、自ら答えに行き着くのです。
[心構え 3] 健全な批判的精神を持つ
調査データを鵜呑みにせず、健全な批判の目でデータや情報を確認するようにします。
調査への信頼を持ちつつ、一方では疑いの目で批判的に見るという、矛盾する姿勢です。
自分が調査データを集計する場合も、またはリサーチ会社に依頼した調査結果を見る場合も、両方で批判的な姿勢を忘れないようにします。
[心構え 4] 自分なりの示唆や提案まで提示する
リサーチャーがつくる結果レポートに、どれだけの自分ならでは価値を出せるかです。
単に集計結果の数字やグラフを載せるだけではなく、自分なりの考察や意見も提示します。レポートによってはファクトだけを書けばいいケースもありますが、少なくとも自分の頭の中には、マーケティングの問題解決への示唆、提案を持っておきます。
マーケティングリサーチの役割は、マーケティングの問題解決に貢献することです。
問題解決にどれだけ踏み込めるかが、マーケティングリサーチャーには問われます。
[心構え 5] 人間を理解する
マーケティングリサーチは、日本語にそのまま訳すと市場調査です。
市場とは、突き詰めると一人ひとりの人間の集合です。
マーケティングリサーチによって明らかにするのは、人間理解です。人間へのあくなき好奇心と興味があり、それを原動力にどれだけ人間を理解できるかです。
リサーチのベースに、人間理解を常に持っておきたいことです。
まとめ
今回は、マーケティングリサーチについて書きました。
マーケティングリサーチとは何か、マーケティングにおける役割、そして、マーケティングリサーチャーとして大切にしたい心構えを解説しました。
最後に今回の記事のまとめです。
マーケティングリサーチとは、「マーケティングの問題解決のために行う調査」 。マーケティングリサーチとはマーケティングのための手段。
マーケティングリサーチの目的は、マーケティングの問題解決への貢献。
マーケティングとマーケティングリサーチの関係は、次のように並ぶ。
・マーケティングの目的
・マーケティング目的達成のために解くべき問題
・マーケティングリサーチの目的 (= マーケティングの問題解決)
・マーケティングリサーチ課題
マーケティングリサーチャーの心構え
・真実を追求する
・答えは自分で見い出す
・健全な批判的精神を持つ
・自分なりの示唆や提案まで提示する
・人間を理解する
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