見出し画像

SHIBUYA 109 式 「Z 世代マーケティング」 の解説書

ご紹介したい本は、SHIBUYA 109 式 Z 世代マーケティング - 若者の 「生の声」 から創る (長田麻衣) です。

著者の長田さんは 「SHIBUYA 109 lab. 」 の所長をされている方です。

これまでに約10,000人の Z 世代へのヒアリングとインタビューを実施してきた知見にもとづいて、Z 世代の価値観と消費行動を解説する1冊です。

この本を興味深く読めた視点は、次の3つでした。

  • Z 世代の価値観や買い物行動、SNS の使い方。他の世代との違い

  • 世代特有の行動や価値観はどういった時代背景でつくられたのか

  •  「SHIBUYA 109 lab. 」 のマーケティングリサーチの方法。Z 世代の価値観までをどうやって見出したか

本書からの学びをいくつか共有しますね。

不安定な時代で育った Z 世代

Z 世代は不安定で不安な時代を生き抜いてきました。5年後や10年後の世界がどのようになるのか予測が困難であり、「正解」 が存在しない時代を過ごしてきました。

こうした育った時代背景は彼ら・彼女らの生き方に大きな影響を与えています。

失敗をしたくない気持ち

Z 世代は 「事前に確認できないこと」 「その場に行かないと分からないこと」 をリスクと捉える傾向が強いとのことです。Z 世代は失敗を避けるため、SNS で情報収集を行い、他人の評価も気にしっかりとチェックします。検討に時間をかけ、オフライン・オンラインを何度も行き来することもあります。

こうした行動の奥にある気持ちは、周りから ◯◯ (ネガティブな印象) と思われたくない、周りから 「こう見られたい」 というイメージを逸脱しないように気を配る心理です。

印象的だったのは、自分のキャラクターとして 「自分らしさ = 他人からの評価」 と思っているという指摘、ここは興味深かったです。

「失敗をしたくない気持ち」を持つ Z 世代へのマーケティングは、どうすればいいでしょうか。情報が豊富に得られる環境で育った Z 世代にとって、製品・サービスの信頼性や品質をしっかり伝えることがポイントです。

また、SNS を活用した情報提供も欠かせません。作り手からの公式としての良質な製品情報を共有します。製品やサービスのユーザー体験を確実なものとする訴求することで、購入につなげられるでしょう。

メリハリ消費

Z 世代の購買行動で 「メリハリ消費」 は押さえておきたいポイントです。

タイパ (タイムパフォーマンス (時間への効率性) ) を求める一方で、価値を感じるものに対しては時間やお金を投資するというメリハリが効かせる行動です。

Z 世代の 「メリハリ消費」 の背後にある気持ちは、無駄なく限られたお金や時間を有効に使いたいのと同時に、好きなことに積極的にお金と時間を使いたいという自己実現的な欲求です。

メリハリ消費を考慮すると、製品やサービスのお客さん目線での価値を明確に示し、時間やお金を使う理由や意味合いを伝えることがより重要です。

リサーチ方法

SHIBUYA 109 に来店したお客さんに直接声をかけて、その場で簡単なインタビューをしたり、LINE を通じて約1000人の20代と直接つながるネットワークを SHIBUYA 109 lab. は構築しています。

この1000人は、調査協力やイベント企画、商品開発などに参加してもらっており、消費者パネル調査の対象者です。調査会社が保有するアンケートモニター数と比べると対象人数は多くはありませんが、質を重視しており、Z 世代と直接連絡が取れる環境を整えて運用している点が特徴です。

* * *

Z 世代の理解への解像度が上がる本なので、よかったらぜひ読んでみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?