実はイノベーションの源泉だった!??~会社の喫煙所~
先日までTBSで放送されていた「不適切にも程がある」
阿部サダヲが主演を務めるドラマにおいて興味深いことを小川市郎(阿部サダヲ)が言っていた。
「昭和の時と賃金が全然あがっていない!」
この発言の真偽は置いといて、小川市郎の発言とドラマの中で度々出る喫煙や飲みニケーションのシーンを見て「昭和も捨てたもんじゃないな」と感じたのがこの記事を書きたいと思った背景である。
最近、経営学の本を読んだときに興味深いことに気づいた。高度成長と呼ばれていた時代、今では敬遠されている喫煙が日本企業ひいては日本社会の発展に寄与していたことを・・・
私は禁煙や喫煙どちらを肯定している訳ではない。ただ私たちは企業(組織)経営における喫煙所の役割、そして時代を経てそれがどのように生まれ変わっているのか、、経営理論においてどのように説明できるか、、私たちはそれをどのように捉え考え行動していくのか、、を知っておく必要があると私は考える。
今回私が紹介したい経営理論は
『シェアードメンタルモデル(SMM)』と
『トランザクティブメモリーシステム(TMS)』である。
これは組織の記憶理論に分類されるもので、この理論は組織として獲得した知恵や知識、経験を保存し、引き出せるようにするため方法を説明したものである。
シェアードメンタルモデル(SMM):
簡単に言うとSMMとは組織における共通認識のことだ。
例えばミーティングをするときのルールやマナーである。具体的には「相手の意見に否定から入らない」、「些細なことでも疑問に思ったら口に出す」、「結論ファースト」など話し合いをする上でメンバー間で共通して持つ価値観や認知のことを言う。このような共通認識を持つことで話し合いのパフォーマンスを高めることができる。
またSMMは企業理念における社員の認識にも非常に有意義な示唆を与えてくれる。「我々は何の会社なのか」「最終的に何を成し遂げたいのか」「究極、顧客に何を売っているのか」という共通認識(SMM)が重要であるということだ。
SMMが高い状態というのは組織での共通認識度が高いことを意味し、これが業務の効率化や知の創造につながる。
トランザクティブメモリーシステム(TMS):
TMSとは、組織内の知の分布についての理論である。簡単に言うと
who knows what(誰が何を知っているか)がメンバー間で把握されていることである。
例えば基幹システムのことについて聞くなら基幹システム部の〇〇さんに聞けば解決できるなどを把握していることである。
なぜTMSが重要なのかというと人一人で蓄積できる情報量には限度があるからだ。だからこそ他者と協力することで組織としての成果を出すことができる。そのため誰がどのような情報や能力を持っているかを知っていることが組織には重要なのである。
喫煙所におけるTMS
ここで、この記事のテーマである「喫煙所におけるイノベーション」について述べたい。
先ほどwho knows what(誰が何を知っているか)を知っていることがトランザクティブメモリーシステム(TMS)だと説明した。ではを知るためにはどのようにすればいいのだろうか・・・
まさに昭和の時代の喫煙所がこの役割を担っていたのではと考える。昔は各階に喫煙所が設けられ各部署の多種多様な社員がタバコを吸いに来ていた。ほとんど男性社員が喫煙者だった時代において喫煙所でのコミュニケーションは部署を越えて関係性を構築する場所になっていた。これがTMSを高め企業のイノベーションにつながっていたのではと考えた。
ではインターネットプラットフォームが生まれ非対面でのやり取りが増えた昨今において、喫煙所のような役割はどのように変化しているのだろうか?
今では社内のカフェテリアやビリヤード場などに代わっているのではないだろうか。意図としては働きやすさや人間関係の促進が考えられるが、果たして私たちは本当の意図を理解して利用できているのだろうか。
ここでもう一度確認しておきたいのがTMSとはwho knows what(誰が何を知っているか)が浸透していることである。
昭和の喫煙所の役割をカフェテリアやビリヤード場が担っているといえるだろうか、そして私たちは経営理論と企業の意図を理解し落とし込めているだろうか。
デジタル社会が浸透し、リモートワークなど働き方が重視される世の世の中において、何となく同じ屋根の下で必要最低限付き合うとという関係性が以前より増えているように思える。
私はそんな時代だからこそ人間同士の関わり合いを深め、世の中に問い続けることが、簡単ではないが必要なのではないかと考える。
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