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『美人画 麗しきキモノ』展は、着物好きは見逃せない!

現在、太田記念美術館で開催中の『美人画 麗しきキモノ』展に行ってきました。
浮世絵に描かれた女性たちの着物の着こなしに注目しているので、見逃せない展覧会だとチェックしていましたが、満足度の高い展示内容でした。



当時のトレンドを「美人画」から知る

『美人画 麗しきキモノ』展では、江戸時代前期から昭和初期にかけて描かれた「美人画」がテーマ別に展示されています(前後期で展示替えあり)。

テーマ別に順番に見て回ってもいいですし、自分の好きな順番でじっくり見て回ってもいいと思います。展覧会のタイトルは「美人画」ですが、粋でかっこいい和装男子の浮世絵も展示されていました。

「美人画」は浮世絵のジャンルの一つ。当時の最新モードをまとった女性を描いていたり、話題の女性を描いていたり、広告タイアップのものもあります。
「美人画」は当時のファッション、ヘアスタイルなどのトレンドを伝えるものでもありました。現代のファッション雑誌のグラビアのような存在だったと言えるかもしれません。当時の女子たちは、「美人画」からトレンドを知り、真似をしたのではないかと思います。

三代目歌川豊国、二代目歌川国久「江戸名所百人美女 人形町」 
国立国会図書館デジタルコレクション

『美人画 麗しきキモノ』展でも展示されていた、武家の娘を描いた1枚。手にしているのは「寿々女香すずめこう」という白粉おしろいです。コマ絵に描かれているのは、人気の歌舞伎女形・瀬川菊之丞が経営していた化粧品店で、「寿々女香」も販売商品の一つだったそうです。


浮世絵を近くで見るからわかること

時代によっても異なりますが、浮世絵は、ある程度サイズが統一されています。
「大判」とよばれる多くの浮世絵のサイズは約39×27cm。A3よりも少し小さめのサイズなので、浮世絵は意外と小さかったりします。
現在では高価な美術品のように扱われる浮世絵ですが、作られた当時は、手に取って見て楽しむものでした。

このため、大きな展示会場での浮世絵の展覧会の時は、
「浮世絵をじっくり見たいけれど、人が多くて近くに寄れない……。」
ということが多いかもしれません。
でも、太田記念美術館は展示会場がコンパクトなので、展示されている浮世絵を近くで好きなだけ見ることができます。もちろん、混雑時は譲り合って鑑賞。人の波が過ぎ去った頃を見計らって、戻って、気になった絵をじっくり見直すことができるのがありがたいです。

三代目歌川豊国、二代目歌川国久「江戸名所百人美女 浅草寺」 
国立国会図書館デジタルコレクション

細かい線や模様、微妙な色づかい、紙の凹凸など、実物ではないとわからないこともあります。また、掛け軸に表装された作品は、裂地きれじが凝ったものである場合もあります。

私が訪問した日は外国人の方も多かったのですが、外国人の方向けに、できれば展示作品すべてに英語のキャプションがあると良いかもしれないと思いました。


後期展示も行かなくては……。

今回の展示は前後期に分けて行われますが、全期間展示は2作品のみで、ほぼ入れ替えとなります。このため、「後期展示にも行かなくては!」と思っています。
『美人画 麗しきキモノ』展は「きもの割引」があり、着物(浴衣を含む)で来館すると、100円割引となります。今回はあまりにも暑すぎて、着物はパスしたのですが、後期展示に行く時は着物で行きたいですね。

今回の展示の図録は販売していないのですが、展示のキュレーションを担当した学芸員の赤井さんが本『美人画で味わう 江戸の浮世絵おしゃれ図鑑』が出版されています。展示を見て
「江戸の女子たちのおしゃれ事情を知りたい」
と興味を持った方は必読の本です(私は、太田記念美術館で購入しました)。


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