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不登校のその後(最終回)/松村

この春、とうとう、長かった不登校児の親を卒業しました。

最近は不登校児も増えて、会社をすぐに辞める若者も増えて、世の中の価値観がぐわんとすごいスピードで動いているのを肌で感じています。

娘ちゃんどうしてる?という声をもらったので、報告を兼ねて、不登校シリーズの最終回を書くことにしました。

不登校は、彼女にとっては何の問題もなく、いい事だらけでした、と前回は書きましたがしかし、思い返すといい事だらけは嘘で、まだ小さいのに本当にしんどい思いをさせてしまい、私も反省点は山ほどあります。

とにかく学校から焦点をずらすことを心掛け、結局そのまま(たまに気になりながらも)学校とは距離をおいた5年半でした。
中3では高校進学したくて何度か学校に通いましたが、多くのルールにうんざりし、早々にあきらめ、家やツバメルーフや祖母の家、フリースクールなどで気ままに過ごしました。

将来のことは気にせずに、いま、楽しいことをとことん追求しました。ギターにベース、絵を描いたり、映画や旅行にカラオケ・・と毎日遊んでいました。フリースクールで同じ思いをする仲間や、行動力のある先輩たちの影響は大きく、自分たちが楽しくあるためにはどうしたらいいかを常に考えていました。

私も「子どもの将来なんてわからんから本人に任せる」と開き直りにも近い気持ちで教育を放棄しました。義務教育と言われているのに放棄するにはちょっとだけ勇気と覚悟がいりました。

そしてこの春、その娘が自分で考え、情報を集め、地域みらい留学という制度で地方の高校に入学しました。
中学校は出席せず、テストも受けず、内申点もない娘が学校推薦をもらい、更に地域の支援を多く受ける地域留学生として合格したのです。(面接と作文は練習しました)

ただし、その学校は不登校児に配慮しているわけではない普通の公立高校です。あんなに学校嫌いだったのだから、すぐに迎えに行くことになるかもしれない…と、夏の制服は買っていません。

たまに届くメッセージは、

「それが結構楽しいねん」
「友達めっちゃできた」
「クラブはバレー部とバスケ部に入った」
「1回も休んでない」
「自炊も掃除も頑張ってる」
「授業がめっちやおもしろい」
「陶芸部にも入ろうかな」
「毎週、地域の交流会に参加してる」
「勉強もしてる」
「バイト決まったよ」

へ?なんですと?
毎日行って、掛け持ちでクラブまで?勉強もしてるの?交流会に毎週参加し、バイトまで。なにそれー!
あいかわらずギャグ漫画のような振り幅です。
田舎のアットホームな雰囲気も彼女にあったのだと思います。
先日あわてて夏の制服を申し込みました。

娘は学校に行かなかったおかげで、人と比べない強さと、自分で考え行動する力を手に入れました。
私が安心してるのは、「学校に行けてよかったね」ではなく、いつでも学校を辞められる選択肢を彼女が持っていること。
「子どもたちにかかわる仕事がしたい」という夢もあります。それには学歴を身に着ける方法も、学歴がなくてもできる方法も、彼女なら見つけられると思います。

親という立場では白旗を上げ、毎日楽しむだけの実験のような育児でしたが、
なぁんだ、これでよかったんや。というのが今の私の感想です。

最後に
世の中には信じられないくらいたくさんの人が不登校児を否定せずに応援していることや、不登校に関係なく、世の中にはいろんな場所(環境)があることは、今悩んでいる子どもや保護者に知ってもらいたいと思います。そしてそんな人や場所とぜひとも知り合ってみてください。


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