「小鳥のくる水場」:1日の撮影スケジュール・失敗エピソード
「小鳥のくる水場」(秋冬編)エピソード
著者平野より、水場での撮影時のエピソードを掲載します。
野鳥写真集「小鳥のくる水場」無料公開しています→第1回・第2回・第3回・第4回・最終回
1日の撮影スケジュール
水場に鳥たちがやってくる時間はじつにさまざまで、決まりはありません。夜明けとともに朝一番にやってくる鳥もいれば、夕方近くにしか現れない鳥もいます。なので、必然的に撮影時間は昼間のほぼ一日となってしまいます。
当時の水場での私のスケジュールはだいたいこんな感じです。
朝3:00 起床 朝と昼のお弁当を作り、機材を車に積み込み、出かける
4:00 水場に到着。すぐにカメラをセットし、次にブラインドをセットする。
5:00 撮影準備完了、ブラインドにお弁当や飲み物を持って撮影開始。
6:00 ブラインドの中で朝食。
11:00 ブラインドの中で昼食。
16:30 撮影終了、カメラ機材撤収。
17:30 帰宅。
今のようにビデオ撮影やデジタルカメラでの撮影ならば帰宅したあと撮影したものの見直しをするのですが、当時はスライドフィルムで撮影して現像に出し、見られるのは早くても数日後ですから、撮影が終わってしまえば、その日の作業はこれで終了です。
それでも夕食を済ませ、機材のメンテナンスや現像から上がってきたフィルムの整理などで寝床に入るのは夜10時を回ってしまったりします。
▲「小鳥のくる水場」の舞台となった水場(右下)11月
▲同じくこちらは初夏の様子
情けない失敗談
水場で撮影しているときは「どんな鳥が来るか」とワクワクドキドキなのですが、時には1時間以上も鳥たちが全く姿を見せない時もあり、そんなときに襲ってくる一番の天敵は睡魔です。
いつ、だれが水場にくるかわからないので必死に眠気を振り払うのですが、ついついウトウトしてしまいます。
そういうときに限って珍しい鳥が来ていて、鳥の気配にハッと目を覚ますと「もうぼくは、水浴びは終わりましたよ」と水場の近くの木の枝で羽づくろいをしています。
あの鳥がようやく水場に来てくれたのにウトウトしてしまったばっかりに撮影を逃してしまった。後悔してももう遅い・・・。羽を整え終えて飛び去る鳥のうしろ姿をいつもあぜんと見送る情けない私なのでした。
水場に訪れた珍客
▲ネコが来ると鳥たちが逃げてしまいます 動物好きの私にとって悩ましい存在でした
▲水場にザブンと座り込む散歩中のイヌ
平野 伸明(ひらの・のぶあき)
映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビュー。その後、アフリカやロシア、東南アジアなど世界各地を巡る。38才の頃、動画の撮影を始め、自然映像制作プロダクション「つばめプロ」を主宰。テレビの自然番組や官公庁の自然関係の展示映像などを手がける。
主な著書に「小鳥のくる水場」「優しき猛禽 チョウゲンボウ」(平凡社)、「野鳥記」「手おけのふくろう」「スズメのくらし」(福音館書店)、「身近な鳥の図鑑」(ポプラ社)他。映像ではNHK「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」「さわやか自然百景」や、環境省森吉山野生鳥獣センター、群馬県ぐんま昆虫の森、秋田県大潟村博物館など各館展示映像、他多数。
→これまでつばめプロが携わった作品についてはこちらをどうぞ。
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