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ネイチャーフィールドnote

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2021年3月の記事一覧

里山大百科「春」春のきざし

落ち葉を踏みしめながら、木々を仰いでみよう。 目を凝らして枝先を見れば、冬芽がほんのりと膨らみかけている。 林の中で出会う春のきざしが、日一日と増しているようだ。 まだ肌寒い風が通る林――、出番を待つ春植物が落ち葉の下から次々と顔を出し始めるのも、このころである。 ▲カバキリガ キブシの花粉を口吻につけたカバキリガ。キリガ類はキブシの花粉媒介に役立っている。

中川雄三「カワセミの四季」春その1

▲春遅い雪に体をふくらませる(3月下旬) カメラ(ペンタックスME)レンズ(500mmF4.5)絞り(f4.5)シャッター速度(1/30秒)フィルム(KR) 富士山麓の蓮池にも、ようやく遅い春が訪れる。 朝霧に包まれたモノトーンの世界の中、カワセミまでもが色を失い、まるで凍り付いたように水面を凝視したまま動かない。 ▲富士山麓、蓮池(明見湖)の春 カメラ(キヤノンニューF1)レンズ(28mmF2.8)絞り(f8)シャッター速度(1/125秒)フィルム(KR) ▲時

里山大百科「春」虫の目覚め

雑木林の木々は、芽吹き、若葉への展開と駆け足で変化していく。 その息吹を早くから察知し、寄り添うようにしてさまざまな虫が活動を始める。 ほころんだばかりの新芽に潜り込むもの、 まだ若葉が柔らかいうちに急いで産卵するもの、かじるもの。 進行する春の勢いに取り残されまいと、虫たちの営みも懸命だ。 ▲クダマキモドキの孵化(埼玉県所沢市/新開孝・撮影) ゴンズイの細枝の中に産み込まれて越冬したクダマキモドキの卵が、春の陽射しを浴びて孵化を始めた。

中川雄三「カワセミの四季」カワセミ そして蓮池との出会い

「KINGFISHER カワセミの四季」は、1996年に平凡社から出版された、動物写真家・中川雄三さんの写真集です。 昨今では都市部にある公園の池や河川でも見られるようになったカワセミ。あまり鳥に詳しくない人も、名前は知らなくても写真でその姿を見た事があるかと思います。「KINGFISHER カワセミの四季」は、カワセミの暮らしぶりを四季を通じて感じることができる写真集です。 現在は絶版となっていますが、今回、著者の中川雄三さんのご厚意により、「ネイチャーフィールドnot

「チョウゲンボウ」著者インタビュー03「意図していない出来事」を撮る

noteにて無料公開された野鳥写真集「チョウゲンボウ 優しき猛禽」 撮影当時の思い出話などを著者・平野伸明にお聞きしました。 第3回目、どうぞお楽しみください。 平野 伸明(ひらの・のぶあき) 映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビュー。その後、アフリカやロシア、東南アジアなど世界各地を巡る。38才の頃、動画の撮影を始め、自然映像制作プロダクション「つばめプロ」を主宰。テレビの自然番組

里山大百科「春」爛漫

春は誰もが待ち望む季節。 風の匂いのなかに、畦道に咲く小さな花に、せせらぎのきらめきのなかに、誰もがそれぞれの四季の始まりを見つけようとする。 ヤマザクラの満開、田んぼに水が引かれる日も近い。 ▲花満開の農家(埼玉県嵐山町/新開孝・撮影) ▲キジのオス(埼玉県日高市/平野伸明・撮影) レンゲ畑の花摘み咲き乱れるレンゲ畑に立てば、草花遊びの記憶がよみがえる。 童心に返って一本づつ花を摘みたい衝動が誰にもわく。 お花畑は不思議の空間、田んぼを桃色の絨毯に変える魔法の

ふじまる虫時間・第8限「木の芽の成長にあわせて変化するアオムシ」

前回、枝に変身(擬態)したクワエダシャクの幼虫を紹介しましたが、今回は木の芽に変身したカギシロスジアオシャクという蛾の幼虫を紹介したいと思います。 カギシロスジアオシャクの変化・その1 冬芽にソックリこちらの写真、なんてことない植物の冬芽・・・ ではなく、この中に幼虫が潜んでいます。 どこにいるかわかりますか? さらにアップしたのがこちらです。 よーく目をこらしてみてください。まんなかのいちばん小さいものが、コナラの冬芽に擬態しているカギシロスジアオシャクの越冬幼虫で

里山大百科「冬」オオタカ

冬の雑木林の主人公は、オオタカだ。 獲物を食べ終えたオオタカが、鋭い目で一点を凝視している。 目線の先は新たな獲物か、それとも、春の息吹か。 ▲オオタカ(埼玉県所沢市/平野伸明・撮影)

自然よもやま話「メジロの巣作り その3」(最終回)

自然に 自然に もっと聞きたい自然のお話 生き物のお話 「自然よもやま話」 はじまりはじまり 前回に引き続き「東京都檜原 都民の森」で自然ガイドを務める浦野守雄さんによるメジロの巣のお話、今回で最終回です。 浦野守雄(うらの・もりお) 昭和32年生まれ、東京都あきるの市出身。あきる野市・檜原村を中心に活動している自然ガイドのプロフェッショナル。さまざまな生きものの写真や動画を日々撮影。「東京都檜原 都民の森」にて自然ガイドや林道の整備、展示企画などを行う野外利用指

里山大百科「冬」定点観察~雑木林の道~

雑木林は射し込む陽の光で季節の変化を感じさせてくれるところだ。 芽吹きのころのやさしさから、 緑陰のころの暗さ、 紅葉の華やいだ明るさ――、 一年の変化は何度見ても見飽きることがない。 (観察場所:埼玉県比企郡滑川町/大久保茂徳・撮影) ▲11月、紅葉見物にたくさんの人が来ている。

里山大百科「冬」虫の冬越し

虫たちは冬にはかき消えたように姿を隠す。 どこかに潜り込んでいるのか、卵や蛹などに姿を変えて寒さをじっと耐えているのか―― それは虫によって事情がまるで違う。 冬の里山を歩いてそんな虫たちを訪ねてみるのも、ちょっとしたハンター気分が得られて楽しいものだ。 ▲ウスタビガの繭(埼玉県所沢市/新開孝・撮影) ウスタビガの繭がケヤキの枝にぶら下がっていた。すでに秋に成虫が出ていってしまった空き繭だが、外壁には卵がしっかりとついている。 この繭にいたのはメスで、飛来してきた